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第六十五話 メギドの結果は

「おい空をを見ろよ、あれは何なんだ」

「まさか奴らの仕業なのか」


 私の魔法だと知らない獣人族の兵士が砦の上から空を見上げて騒ぎ出すが、それに答える余裕は無いし、そもそもまだ完成はしていない。

 リシオは唱えたら直ぐに発動したのだが、やはりそれも魔力の差なのだろう。


「静かにしてよ、あれはシューヤの魔法なんだから」

 

 魔法を見上げている暇があったら下の敵の相手をして欲しいのだが、その手を止めてしまっている獣人族に対してアーリアが怒鳴っている。


(あんまり大声を出さない方が良いと思うんだけどな)


 アーリアの声が届く兵士はまだいいが、離れている兵士はやはりさっきと同じように騒いでいる。それは下の連中も同様で城壁を登ろうとしていた連中もどうしたら良いのか対処に困っているみたいだ。


「アーリア、悪いけど伝えてくれないか、俺は大きな声は出せないんだ」


 魔力がガンガン削られて行くし、少しでも集中していないと全てが無駄になってしまうように思うので、私に代わりにアーリアに伝言を託す。

 すると、アーリアと一緒に騎馬隊の兵士も声を揃えて叫んでくれた。


「あれが落ちたら熱い風が来るから直ぐに伏せるんだ、いいか顔は風が治まるまで伏せろ」


 その言葉の終わりと同時に【メギド】は敵の集団の中央に落ちて行った。


 あの大きさからは想像もつかない程の速さで地上にぶつかると、その何倍もの大きさの炎のドームが完成し、その周りから波紋のように爆風が広がって来る。


「これは……」

 

 私の予想を超えそうなので慌てて砦を守るように障壁を張るが、範囲が広い為か簡単に障壁が破られ熱気を帯びた爆風が砦を襲ってきた。

 

 そして被害状況を確認する為に立っていた私は、急坂を駆け登ってくる爆風になすすべなく吹き飛ばされてしまう。



 ◇



(う~ん、頭が重いし、苦いぞ)


「びゅぅっぱはぁ、おいムック、何で口を塞いでいるんだよ」


 寝かされていた私の顔の上にムックが座っていたので鼻や口をその身体で塞いでいた。顔を左右に振ってムックをどかすと一気に身体の中に酸素を取り込む。


『申し訳ありません。つい寝てしまいました』

「まぁいいけど、これからは顔の上で寝るなよ」


 寝ころんだままムックに話し掛けるが、視界の端にアーリアが立っていて、哀れみを帯びた表情で私の事を見ている。


「あんたねぇムックといきなり会話しないでよ、頭でも打ったの?」

「違うよ、ちょっと混乱していただけだよ」

「ふ~ん、まぁいけどね」


 どうしてなのかアーリアはムックが只の犬ではない事を知っているのに、話せないと決めつけているのが不思議でならない。

 だからと言って耳に聞こえるムックの声は犬の鳴き声なのであえて訂正はしないが。


「それよりもさ……あれっ、あれれ、あのさ身体が全く動かないんだけど」


 ただ普通に起き上がろうとしたが顔以外の部分は全く動く気がしない。力を込めようにもどうしたらいいのか不明だ。


「あんな魔法を使ったんだからそうなるのも仕方が無いとは思うけど……ねぇ何で知らないの」

「いや、知識だけで初めて使ったんだよ」

「あのさ、こんな時に実験何てしないでよ」


 そう言いながらアーリアが俺の身体を突っついているが、何処を突かれているのかさえ感じない。


「そうだけどさ、俺は何時動けるようになるかな」

「そんなの知る訳無いでしょ、あんたが無茶をするからいけないんでしょ」

「平気かなって思ったんだよ」



 ◇



 あの魔法を使ってから翌日の朝を迎えたが、未だに身体は動かない。ただそれでもどうなったかが知りたい気持ちが高まり、様子を見に来た副隊長のモデストに連れて行ってくれるようにお願いをした。


「これぐらいならお安い御用さ、君のおかげであれからやって敵は来ないんだからな」

「あれだけで昨日は終わったんですか」

「あれだけの被害を出したからな……まぁ今日はどうなるか知らんが、それでもあと三日耐えればいいんだ」

 

 外にでるとまだ薄暗かったが、次第に光が差してきて砦の下の様子が徐々に浮かび上がって見えてきた。


 森を巻き込むような形で深い穴のクレーターが出来ているし、その周りは広範囲にわたって焼け野原が続いている。昨日までは立派な森だったのに私というか、リシオの魔法のせいで粉風にしてしまったので獣人族の兵士がどのように思うのか気になってしまう。


「見てみろよ、君が森を燃やしてくれたおかげで視界が良好になったぞ、これなら敵が何処から来るのか見やすくなったな」

「何と言ったら良いのか……」

「良いんだよ、君が気にする必要はないさ、戦いの最中なんだからな」


 砦にも爆風の被害があるようだから下にいた連中は…………それでも全滅という事にはなっていないんだろうな。


 その事についてモデストに尋ねると、死体はそのまま燃え尽きてしまったが、かなりの数が身体を引きずるようにして去って行ったそうだ。

 追撃も考えたそうだが、無傷の後続部隊が怪我人を庇うように前に出てきたのでそれを見送る事しか出来なかったようだ。


 リザードマンは知らないが、オーガは回復が早いんだよな。




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