表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/106

第五十七話 貴族達の行方

「なるほどな、エマールン帝国の皇帝は中々癖のある男かも知れんな、まぁ良い、その子爵の直属の部下の五人も前に出て来い」


 どうあがいても無駄なのに彼等は自ら前に出て行こうとはしなかった。その彼等に向かってオスカリは振り返り、前に聞いた事がある冷たい声を出し始めた。


「可哀そうだとは思うけど諦めた方が良いな、貴族何だからあみっともない真似はよそうよ」

 

 オスカリが指示を出すと騎馬隊の兵士が一斉に五人を取り押さえて前に連れ出した。


「何をするんだ。私は何も関係がないぞ」

「命令を受けたんだ。逆らえる訳無いだろ、なぁ貴様も気持ちが分かるよな」


 五人の貴族たちは自分の運命を予測してしまったのか、見ている此方も胸が痛くなるほど狼狽している。


「黙らんか貴様ら、ゆっくり調べ上げてから処分を下すから安心しろ、ただ少しでも嘘をついたらどうなるかは分かっているだろうな」


 国王が怒声を上げると観念したかのように五人の貴族は黙り出すが、ファーウス子爵は涙を浮かべながら震える声を絞り出した。


「もう一度お考え直しを、その手紙は偽造されたに決まっています。その男が皇帝様からの密書など持っているはずはありません」 

「子爵よ、いいかこの封蝋は特別な物だろ、これには魔力が込められているんだ。どうやったら偽造が出来るんだね」

「それは……分かりませんが、絶対に何か秘密があるはずです」

「儂もこの手紙だけで貴様らを断罪しようとは思わんが、先程貴様の部下が命令がどうのと言っていたがそれは何なんだ」


「くっ……オスカリ~、貴様良く儂を嵌めおったな、絶対に許さんぞ」


 あの細い身体で良くあそこ迄の大声が出せると思ったが、屈強な獣人族の兵士は彼等を取り押さえ奥に連れて行ってしまった。


「膿は出さないとな、そうだろシューヤ君」


 オスカリは僕の方に笑顔を見せながら親指を立てて来たが、出来る事なら仲間扱いは止めて欲しい。


「もういいか、此処に書いてある通り今からは貴様が交渉相手なのだな」

「はい、国王様。私はそのように皇帝から言葉を受けておりますので」

「そうか、儂がお願いをした騎馬隊も連れて来てくれたようだしな……さて、先ずはこっちだな」


 騎馬隊が何をするのか知らないが、彼等はしっかりと前を見ているのでその事は既に知っていたみたいだ。


『ご主人様よろしいですか、連れて行かれた男達の悲鳴が聞こえるのですが助けた方が良いんでしょうか』

『もうそうなってるのか、そうだね、可哀そうだけど無視していいよ』


 私ならもしかしたら救う事は出来るかも知れないが、そうなると獣人族の兵士に血を流させる事になるだろうし、それに彼等が誘拐に何らかの関わりがあった事は明白なのだから助ける気はしない。


「何だかとんでもないことになったね」

「そうだな、まぁここもそうだけど帝国内でも混乱が起きているだろうね」

「何が起こってるのよ」

「皇帝が知っているんだろ、国王軍が動いているだろうな、まぁ誰が黒幕なのかは知らないけど」


 私の予想だと少なくとも領主が絡んでいるのは間違いないだろう。オスカリがどうやって皇帝に訴えたのか分からないが、かなり内密に調べているはずだ。



 ◇



 帝国が原因の騒ぎが治まると、次は共和国に話が移り、クラメール公爵は本筋をさりげなく誤魔化して説明をしているのでこの問題から逃げようとしているのが透けて見える。


「……と言訳ですので。私どもといたしましては賠償金を支払う準備がございます」

「そうか、それでだな、これ以外の金は怖い思いをした子供には当然、渡してあるんだろうな」

「いえっ先ずは国王様にと思いました」


 公爵の額には薄っすらと汗が浮かんできたように見える。

「儂がその金を貰ってどうするんだ? 被害者に渡すのが筋じゃないのかね?」

「こちらは只のご迷惑料と言いますか……勿論これだけではありません」


 国王は公爵を睨みつけると、急に何かを思い出したように後ろに控えている私達の方を見始めた。


「こいつと話すと気分が悪くなるな、それよりも子供達の英雄は何処にいるんだ? 儂はその者と話がしたいの」


(英雄だと?誰の事を言っているんだ?)

「ねぇあんたの事じゃないの」

「恥ずかしいから声を小さくしてくれよ、俺じゃ無いに決まっているだろ」


 アーリアはそんな大きな声を出してはいないが、それでも誰かに聞かれたくないので小声で注意をした。


 オスカリにも聞こえていないはずなのだが、彼は再び振り返り顎で私を指してきた。


「何をしているんだシューヤ君、国王様が呼んでおられるぞ」

「そうなるのかよ……リプレイ」


 何度か【リプレイ】を駆使してこの場を乗り越えようとしたが、これを回避する方法が無く、嫌々ではあるが前に出るしか無かった。


「ほうっ君が英雄か、かなりの人数を倒したと聞いていたからどんな男かも思ったが、どういうタイプとは違うようじゃな」

「運が良かっただけです」


 これから褒められるだけならいいがどんでん返しだけは止めてもらいたい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ