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第四十二話 船団出発

 港町エライサで一泊した後、たった三隻で船団というのか分からないが。いよいよリーボルト王国に向けて出発をする。


 三隻の船は斜めに並んで進んで行き、中央の船に子供達と僕等、そしてオスカリとその部下が乗り込んでいる。執事達は雑用をしなければいけないのでそれぞれの船に分散した。


 そして私が何より驚いたのはこの船を動かしているのはたったの三人だった。

 それも、一人は必ず休憩をしているので実質二人だけで動かしている。


 昔の世界でこの規模の船を動かすのにどれぐらいの船員が必要なのか知らないが、魔道具というのは科学を超えている事があるのだろう。


「どうしたの、何か考え事?」

「いや、そうじゃなくてさ」


 気持ちを切り替えた私は折角若返ったのだから船首で定番のポーズをやってみたくなった。

だが、何てアーリアを誘ったらいいのか分からないし、理由を説明する事も難しい。


 それにオスカリの視線を感じるので下手な事はやらない方が良いだろう。


 バキバキバキバキバキバキバキ。


 斜め右で先頭を進んでいるファーウス子爵の乗った船が激しい音と水煙を上げ始めた。


「何が起こったんだ……あっ」

「あれはリバイアサンじゃない」


 甲板を突き破ったのは、細長くて緑と紫が混ざったような色をしたうつぼの様な海獣だ、


「ただの水竜だな、まぁこんな船なら簡単に沈められてしまうんだけどな」

「ちょっとオスカリさんはそんな事を冷静に言わないで下さいよ……リプレイ」


 あいつは何処から来たんだ。海の中とは分かっているが、せめて上から中が見えないものか。


「どうしたのよ、危ないあからここでは走らないでよ」

「いいからアーリアも海の下を見てくれよ、水竜が来るんだよ」

「えっ何でそんな事が分かるのよ」

(駄目か、湖じゃないんだからそこまで透明度がある訳じゃないよな)


 バキバキバキバキバキバキバキ。

 

 そうなるよな、だったらもうやるしかないか……リプレイ。


 インベルガーの能力を引き出そうと思いながら船首に向かって走り出す。後ろからアーリアが何かを言ってくるがそんな事に答えている場合じゃない。

 今回は方向を突き止めるターンだ。


(あぁそうか、やはりそうだよな)

 

 インベルガーがやっていたように感知に集中してみると、頭の中に浮かぶ映像では水流が深海から船に向かって来ている。


(さて、どうやって倒すかな、勇者の魔法か魔王の魔法か、水中でも効果を発揮できる魔法は何だろう)


 バキバキバキバキバキバキバキ。


 考えがまとまらない内にまたしても水竜が先頭の船を沈めてしまった。

 もうこの状況なら今回も練習だと思うしかない。初めて水竜を見た時は恐怖心はあったが、もう三回目ともなると冷静にその姿を見る事が出来る。


「時間が無いからちょっとだけだな」


 【混沌の弓】を構え、二本の矢を放ってみる。只の魔力で作られた矢は水竜の身体に弾かれてしまったが、【光の矢】は水竜の身体に突き刺さった。

 これなら水中で迎え撃ってもいいとおもうが、水の中でも【光の矢】が有効なのか確かめないと……リプレイ。


 これで最後にしたいので戻った瞬間に走り出し、そのまま海に飛び込んだ。


「あ~~~~~~~~~」

「お兄ちゃんが落ちた~」


 上から驚いた子供達の声が聞こえるが、それに返事をする時間がもったいないので無視させて貰う。

 やはり此処は海の戦士であるバルドゥルの記憶から使えそうな能力を探すが……。


(そんな事ってあるのかよ、バルドゥルの俺って奴は)


 バキバキバキバキバキバキバキ。


 バルドゥルの身体に辻本の記憶が戻った時にすぐに死んでしまったから見逃していたが、どうやら勇敢な海の戦士と言うのは私の勝手な想像だったようだ。


 ……頼むよ俺よ、そんな力があったのにな。

 よしっバルドゥルの復讐と行きますか。


 あの時の私を殺したのはそれこそリバイアサンだったが、その下位種族である水竜をあの時の俺の復讐として倒してしまおう……リプレイ。


 またしても船首に向かって走り出すが海に飛び込むような馬鹿な真似はしない。

 勇者であるクレメンテの力を借りて討伐をしてみよう。


 【混沌の弓】を構えいつも以上の魔力を矢に注ごうとしたところ、私の意識が身体の中に吸い込まれそうになってくる。


(どうしたんだ、何が私の身体に起こっているんだ)


(もしかしてバルドゥルか、私に意識が辻本ではなくバルドゥルに変わっていくようだ)


 【混沌の弓】を投げ捨て、海に飛び込むと下に向かって泳ぎ出した。


 当たり前だが、魚人族では無いこの身体えは水の中で息が吸える訳がない。意識がどんどん薄れていく。


(…………リプレイ) 







 



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