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第三十四話 子供達のこれから

 暫く待っていると先ほどの兵士が戻ってきて、本来は使用できないはずの門から馬車を入れる事が許された。


「少しこの部屋の中で待っていて下さい。司令官がみえますので」


 何だか大事になりそうな予感がしたが、私としてはこの子達を託したいだけなのだが。


「ちょっと待ってよ、私達はもういいんじゃないの、あの連中から奪った物はこの子達の物として置いておくからさ」

「状況が聞きたいのでもう少しお付き合いください」


 兵士は部屋から出て行き、この部屋の中には私達と子供だけになったが、不安そうな子供の顔を見ていると、預けたら終わりで良いのか考えてしまう。


「ご迷惑をおかけします」

「そな事は気にしなくていいんだよ、それになこのお姉さんがああ言うと兵士達が直ぐに動いてくれるだろ、それ以上の意味はないのさ」


 本当にそうなのか知らないが、隣にいるアーリアは否定も肯定もして来ない。

 ただ、袋の中から小瓶を取り出して私の目の前に置いた。


「ねぇ早くあれを取り出しちゃいなよ、あの魔法は兵士には見せない方が良いと思うんだよね」

「そうだよな、早く出した方がいいのは分かっているんだけど、疲れるんだよな」

「若いくせに何言ってんのよ、それに回復薬があるでしょ」


 目の前の回復薬は身体を癒す事は出来るが失った魔力は少ししか回復しない。

 これだとたいして意味は無いのだが、そんな事は言っていられないようだ。


「分かったよ、全部出すから机の上を綺麗にしてくれ」


 全てあそこで手にした物を出し終わった後で小瓶の液体を飲みこむ。

 この前はどんな味なのか分からなかったが、味わうと無味無臭で、ほんの少しだけ魔力が回復したので良しとするしかない。


 すると扉が開いて兵士が続々と部屋に入り、私達と向かい合わせになるように座り出した。


「それでは宜しいか……」


 座っている兵士達は机の上に乗っている物には触れず先ずは自己紹介を始めたが、髭で覆われた初老のアズリと高身長でスタイルのいいドルストイ警備隊長の名前だけ覚えればいいだろう。


 それからは私達の自己紹介をしてあそこで見たりやったりした事を嘘を交えないようにして正確に伝えた。

 そして子供達に使って欲しい戦利品が目の前にあるこれだと言うと感心したような溜息が聞こえてくる。


「君一人でか、信じられんが信じなくちゃいけないのだろうな、すまんが死体を放置している場所を教えてくれんか、我々も調べたい事があるんでな」


「勿論です。ただこの子達はどうなるのですか」


 私達が真面目な話をしている横では子供達はジュースとお菓子を貰っているのでそれに夢中になっている。


「この街の孤児院に入る手配をしている。そこの職員が彼等を直ぐにでも迎えに来るだろう」


 てっきりもっと出来る司令官かと思ったがどうやら見誤ったようだ。この司令官は孤児院に責任を渡す気でいる。


「孤児院に預けてどうするのよ、この子達の国は分かっているんだよ、だったら送り返したらいいじゃない、それに奴らから奪った物を換金すれば路銀になるでしょ」

「悪人の所持品をすべてこの子達に渡すかどうかは簡単には決められんし、そもそもこの子達を誘拐したのはこの国の人間かまだ分からん。だからその死体を調べて責任の所在を掴まないといかんのだ、それになそれをいくら換金したとしても港町に行くまでの路銀になればいい方だ」


「あのねぇ、いい加減にしなさいよ」

「暴れちゃ駄目だって……はぁ、リプレイ」


 いくら暴れても司令官が良い人に変わる訳では無いので、そんな事をしたら私達はここから追い出されるだけだ。

 少しでもいい方向に進めたいのだったら冷静に対処しなければいけない。


「孤児院に……」

「だったら僕達が送っても良いですかね、直ぐにと言う訳にはいきませんが」


 暴れ出そうとするアーリアの手をしっかりと握って司令官に嘆願してみる。

 そんな事を言い出すとは思ってもいなかったようで驚いた顔になったが、直ぐに真顔に戻った。


「それは良いかも知れんな、それになそこに置いてある物は見なかった事にするから早くしまってくれ。


 あっ勝手に出てくるなよインベルガーさんよ……。


 何が気に食わないのか分からないが、身体を支配された私はただ目の前の兵士が殴られているのを見ているだけだ。

 止めに入ったアーリアの腕を払い、その顔を殴る形になったので怒りで身体の支配権を取り戻す事が出来た。


「いい加減にしろよな、この単細胞め、リプレイ」


「孤児院に……」

「あの、子供達が目の前にいるのですからその話は此処ではしない方が良いんじゃないですか」

「そうだな、おいっ別室を用意しろ」


 アーリアにはこの場に残って貰い、私と司令官たちは部屋を移動した。またしてもインベルガーが出て来そうになったが、あのアーリアの姿を思い出して俺の思い通りには私はさせない。


 それにしてもインベルガーだけはどうしてこんな真似が出来るのだろうか、俺も私であるが、俺は私を認めていないのだろうか。


 話し合いの結果、子供達は一時的に孤児院が預かる事になり、私達は奪った物を持って此処から出て行った。


 兵士に任しているとあの子達が国に戻れるには時間が掛かるだろう。

 私にできる事を探さなければ。


 いいか、インベルガーの俺よ、私は決して見捨てたりしないから余計な事をするな。





 

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