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第三十二話 アーリア到着

 もうただ立っている事すら辛くなり、腰を地面に下ろしていると目の前に元の姿に戻ったムックがやって来た。


『ご主人様、私のやりたいようにして宜しいでしょうか』

『それは、ちょっと……いや、任せる』


 いまさら偽善者ぶっても意味無いので、ムックの好きにさせておこう。

 商会で生き残っている連中は折角私が傷を癒してあげたのだが、ムックの攻撃によってその命を散らしている。


 それにしてもこれからはもっと意識を強く持たなくちゃ駄目だな、インベルガーの好きにさせたらいつまで生きられるか分かったものじゃない。


 障壁を身に纏い、ただボーっと空を眺めていると、商会の連中の叫び声が聞こえてくるが、あえて何も考えないようにした。


『終わりました。もうこの辺りで生きている人間はご主人様しかおりません』

『そうか、それならいつもの姿に戻ってくれないか、今のままだと子供が怖がるからな』


 ゆっくりと立ち上がるが、あいつがこの身体の限度を超える動きをしてくれたせいで直ぐに眩暈がして倒れてしまう。


 どうしたら良いのかな、こんな場所にいつまでも子供を置いておきたくないしな。


『ご主人様、直ぐにあの小娘を連れて来ましょうか』

「あぁそうしてくれると助かるよ、ただその前にあの鎖はどうにか出来るかな……」


 瞼がどんどん重くなり、私の身体が空の彼方に行ってしまうような感覚がある。せめてもう少し意識を失わないでくれ…………。



 ◇



 気持のいい風が頬に触れ、このまま目を閉じていたいが無理やり目を開けて身体を起こすと、私は草の上に寝かされていて、周りには獣人族の子供が心配そうな顔をしてこっちを見ていた。

 すると、一人のこの中では年齢が高いと思われる少年が私の手をしっかりと握ってきた、


「助けていただき本当にありがとうございました。ずっとあなたの様子は見えはしませんが感じていました」


 この少年もインベルガーと同じなんだな、それならば話は早いが変な嘘もつかない方が良いだろう。


「本当はもっと綺麗に助けられれば良かったんだけどね、それより君達はどうしてこんな事になったんだ」

「それはですね……」


 私に話し掛けて来た少年は人間で言うと10歳前後だがしっかりしていて、親友と一緒に此処にいる子供達と釣りをしている時に突然攫われてしまったと細かい事迄教えてくれた。


「君の親友とやらは誰なんだい」

「子供達を逃がそうとして奴らに殺されました」


 どうやら俺は余計な事を言ってしまったみたいだ。その少年は声をあげて泣き出してしまった。しっかり者に見えるとはいえ彼はまだ子供なのだから……リプレイ。


「僕と一緒にいた犬はどれぐらい前に此処を離れたかな」

 

 その時間でアーリアが此処に到着する時間が読めそうだが、子供達はムックが消えた時間を覚えていなかった。


 まぁそんなに時間は掛からないだろう。


「あのさ、まだ俺の身体は言う事を聞いてくれそうも無いんだ。もう少ししたら仲間がやって来るからこの場所から離れないでくれるか」

「分かりました」


 少ししてから私には何も感じられないが、子供達は一斉に同じ方向を向いて心配そうな表情を浮かべているが、多分アーリア達だと思う。


 直ぐにアーリアを背中に乗せた姿が見えたので子供達に安心するようにと伝えると、緊張していた空気が和んで行った。


「お待たせぇ~って何なのこの状況は?」

「説明はちゃんとするから助けてくれないか」

「どうしたのよ? あ~魔力が切れかかっているじゃない」


 アーリアは腰袋の中から小瓶を取り出し、口で蓋を開けると無理やりそれを口の中に流し込んでくる。


「ぐぅ、かなり苦いな、これは何だよ」

「高い回復薬なんだから吐かないでよね、これで魔力も回復するからさ」


 元の世界のエナジードリンクより効果はあるらしく、限界だった身体から疲れが取れ力がみなぎって来る。


「凄い効果だな、これは助かるよ」

「お礼ならムックに行ってよ、ここまで相当早く私を連れて来てくれたんだからね」

「あぁそうだな、有難うムック」

 

 今の凛々しい顔にはその仕草は似合わないが、私の身体に顔を擦りつけて甘えてきている。


「それでこの状況は何なの?」


 ムックを子犬の姿に戻らせ、子供の元に行ってもらう。

 私とアーリアは現場を見ながら知っている事を全て話した。


「本当は国に返してあげたいけど、街に連れて行けばいいよな」

「そうねぇ、それでいいんじゃないかな」


 もう一度子供達には馬車に乗って貰っている間にアーリアは他の馬車の中に入ってしまった。


「何をしているんだ。そっちはどうでもいいだろ」

「あんたも手伝ってよ、金目になるものを確保しないと」


 当たり前の様に言ってくるアーリアに対して少しだけ嫌悪感を感じてしまう。まだ一緒に行動するのなら黙ってはいられない。


「そんな事止めろよ、卑しいじゃないか」

「何言ってんのよ、子供達はこの国の子じゃ無いでしょ、帰るなら金が必要になるかも知れないじゃない。それにこんなにひどい目にあったんだよこれぐらいは渡してあげたいでしょ、えっもしかしてだけど私が欲の為に漁っていると思った訳?」


「え~完全に誤解をしてすみませんでした。リプレイ」


 謝ったところで許してくれそうも無いので【リプレイ】をして、私も如何にも当たり前のように何も言わず金品を集め始めた。 

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