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第三十話 正義の味方?

 ムックは俺を乗せたまま森を抜け、その先にあった川を泳いで渡って行く。


『次は茂みに入りますので姿勢を低くして下さい」

「あぁ気にしないでくれ」


 ムックは更に速度を上げていくが、私は現場に到着する前にどうしても試したい事がある。

 それは勇者の記憶を覗いた時にいい魔法を見つけたからだ。

 

 先ずは勇者に寄り添わせないといけないな。


 何だ、意外と簡単じゃないか……。



 ◇




『もうすぐです。このまま行っても良いですか』

「分かった。まだ全滅していないんだな」

『そうですね、多少気配は消えていますが』


 ムックが話しながら大きくジャンプすると三台の馬車が固まっていて、その周りを十人程の男達が盾を構えているのが見えた。

 襲っている方はわざと距離をとって、弓で攻撃していた。


 ムックが一台の馬車の屋根に着地し、私はこの周りを包むように障壁を張った。

 やはり練習の時よりも興奮しているせいか頭で浮かんだイメージ通りに魔法が発動してくれる。


 向こうの矢は障壁によって弾かれ、この障壁の中は多少ではあるが癒し光が包み込んでいる。


「おいっテメェは誰だ。そこから降りて来い」

「そいつを引きずりおろせ」

 

 ムックと一緒に屋根から飛び降りると血相を変えた男が剣を突き刺そうとして来たが、隣の男によって止められた。


 俺達が怪しいのは分かるけど、随分と気性が荒い連中だな。


「お前は敵なのか、それとも味方なのか」

「おいおい、ちょっと見てみろよ、矢が止まっているぞ」

「奴らは何をする気なんだ」


 名乗らずに飛び込んできたこっちが悪いのかも知れないが、頼むから少し冷静になって欲しい。


「あれは俺の障壁だよ、もう少しの間は敵の攻撃を防げるからさ、それよりこの状況はどうなっているんだ」

「かしら~この男がこれをやったそうですよ」


 呼ばれて馬車の向こう側から現れた男は、身なりはしっかりとしているが、剣呑な雰囲気を纏っている細身の中年だった。


「それはお前がやったのか」

「そうだね、良くは理解していないけどあんた達が襲われていたので助けたんだよ、それよりこの状況を端的に説明してくれないかな」


 この会話をしている最中にも矢は撃たれているが、そのどれもが障壁を超える事ができないので、向こうの連中もどうしたら良いのか困惑しているようだ。


「あいつらは今回の取引相手なのだが、俺達に僅かな金しか寄越さないと言うんでな、取引を中止にすると伝えたら隠れていたそいつらの仲間が矢を放ってきたんだ」


 どんな連中か顔が見たくなり障壁に近づくと、向こうの連中は矢を諦めて、今度は石を投げつけている。


「おいっお前らいい加減にしろよ、これがいつまでも持つと思うなよ、てめぇらは俺達の言う事を聞けばいいんだ」

「ふざけろよ、約束と全然違うじゃねぇ~か」

「だったらこの国で商売が出来なくなるがそれでいいのかよ、最初ぐらいはサービスするもんだぜ」


 障壁を挟んで怒鳴り合いが始まったが、向こうの連中はどう見ても普通の商人には見えない。


『ご主人様、ちょっとよろしいですか』

『悪いが後にしてくれないか、お前は手を出さなくていいからこの人達を守ってくれ』


 その間も障壁を壊そうと石を投げつけられているので、徐々に障壁が薄くなっている感覚が伝わって来る。

 それに何を考えているのか知らないが、内側からも叩いたりしている奴がいるのでもう持ちそうもない。


「ちょっとあんた達をそれで守っているのに何で壊そうとするんだよ」

「奴らが痺れを切らして近づいてきたんだ。もう戦わせろや」

「おいっ止めろ、旦那に任せるんだ」


 カシラは私の言う事を聞いてくれたが、この血の気の多い従業員をどうにかして欲しい。

 

「もう一度障壁を強化するから変な事しないでくれよ」


 魔力を障壁に注ぎながら馬車に付いている旗を確認すると『コールマ商会』と書いてある。

 何の取引をしようとしていたのか知らないが、変な連中とこんな場所で商談するからこんなことになるのだと思う。


「でっ旦那はどうする気なんです」

「話し合いに決まているだろ。おいっ聞こえているだろ、これはお前らでは壊せないんだから大人しくしろって」


 障壁の向こうの連中は目の前に集まって来たが、その表情は殺気に満ちていて、障壁が無いのならこうやって対峙したくない存在の連中だ。


「てめぇはしゃしゃり出てきて何を話す気なんだよ、どこかの馬鹿貴族なのか」


 恫喝してくるその男は、どう見てもその見た目と体格は人間とは思えず、どこかの魔族なんじゃないだろうかと思ってしまう。

 それに私がこれを出したと思っているはずなのにどうしてそんな上から言ってくるのか意味が分からない。


「落ち着きなって、そもそも何で殺そうとするんだよ」

「何も全員は殺さないさ、ただ新参者には教えてやらなくちゃいけないんだ。どうしても生きて帰りたかったら馬車の中にいる攫ったガキどもをただで寄越すんだな。折角、金を払ってやるって言ったのに、お前らが悪いんだからな」


 ……えっ攫った子供って言ったよな。


『ムック、馬車の中に子供がいるのか』

『ですから居ますよ、拘束されているようですが』


 パリーン


 集中力が切れた瞬間に障壁が壊れ、向こう似た連中とこっちに連中の斬り合いが始まろうとしている。


 ……リプレイ。

 

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