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第二十一話 これから

 二人でギルドに向かっていたが、そこに同じ目的であるブルクハルトが付いてきた。

 依頼料は貰っているので少しだけ変な気がしたが、手続きを済ませると、私に思っていた結果とは違っている。


「あの、これは間違いじゃないのかな」

「どうかなさいましたか、なにかご不満でもございますか」

「いやっだってさ、盗賊を討伐したし、その死体は兵士がちゃんとがっ……」


 後ろからいきなりブルクハルトによって口を塞がれてしまった。


「すみませんね、こいつが言った事は忘れて下さい」

「そうだね、さぁ二人とも出ようよ」

「ふがっ、ふがっ」


 ちょっと何があったのか知らないがいい加減にして欲しい。あれだけ討伐したのだからD級には上がっているはずだ。


 ブルクハルトによって抱えられながらギルドを出た後で、まるで私が駄々っ子であるかのような対応をしてくる。


「あのさぁあそこで変な事を言うなよな、あれは兵士に手柄を上げたおかげでこの街までさりげなく近くにいてくれたんだぞ」

「あんたねぇ盗賊と討伐した分以上のお金も貰っているでしょ、それ以上欲を出すと碌な事ないよ」


 兵士……あ~そういえばそんな事を言われたような気がするが……リプ……無理だな。


「悪いんだけどあんまり記憶が無いんだよね、だけどさ、護衛の依頼は達成したのに何でD級に上がれないんだろ」

「知らん」

「知らないよ」


 そろそろD級に上がっても良いと思うのだが、今までギルドに貢献しなかった事が私がD級に上がれない原因なのかも知れない。


 オスカリがあえて手柄を兵士に渡したのは峠の通過を安全にするためと、恩を売る二つの目的があったようだ。

 私達に支払われた決して安くない金は、本来ならば死んでしまった冒険者に支払われるお金なのでオスカリにとっては得でしかない。


「お前な、あれだけの戦いだったからボーっとする気持ちは分かるけど、勘弁しろよな」

「ホントだよ、まぁギルドからも依頼料を貰ったし、打ち上げでもしようか」


 それから三人で今回の護衛の打ち上げをしたが、心の片隅ではほんの少しだけ罪悪感があるがあえてそこに目を向けないようにした。

 目の前の二人も死んでしまった冒険者の話は一切しなかったので、もしかしたらわざとその会話を避けているか、それとも死が隣り合わせの仕事だから本当に気にしていないのかも知れない。


 少しだけ不自然な飲み会だったが久しぶりに楽しかった。

 最近の飲みは同じ会社や接待でしか飲まなくなったので、年々楽しいだけの飲みとはかけ離れて行ったからだ。


 あまりいい思い出がある訳では無いのだが、何故か久しぶりに接待飲みをして見たくなったのは気持ちが沈んでいるせいなのだろうか。


「お~い、お前はもう酔っているのか、ちゃんと話を聞いていたんだろうな」

「えっ……あぁこの先の事だよね、そうだな、俺は暫くこの街にいようと思うんだ」


 向こうに戻る理由は無いし、フレイクとして育てられたあの村にも血縁はもう居ないのだからシューヤとして生きていくにはあの場所に帰らない方が良いだろう。


「なぇそれだったら少しだけ私と組まない? あんたのサポートがあると楽そうだからさ」

「お前らは完全に前衛と後衛だもんな、いいんじゃないか」

「ブルクハルトはどうするんだ。3人でやるのも良いと思うけどな」

「嫌だよ、俺はパルケスに戻るさ、向こうにはかみさんやガキが待っているからな」


 そういえばどう見ても40に届きそうな風貌なのだから守る物がいてもおかしく無いだろう。

 私にも妻や娘がいたと思うと涙が出て来そうになる。


「ねぇねぇ私がパーティのリーダーでいいよね、これを最初に決めておかないと問題が起こるからさ」

「別に構わないけど年下がリーダーか、何か昔を思い出すな……いたっ」


 私の言葉が気に食わなかったのか、飲みかけのコップを投げつけてきた。


「ねぇ何が言いたいの、それに喧嘩を売って楽しいの?」

「あ~今のは馬鹿にしたお前が悪いな、女性に年齢の事でからかうのはよくないぞ」


 つい本当の年齢と比較してしまったけど、鏡が高級品のこの世界では自分の姿を滅多に見ないのだから分かるもんか。そういえばこの身体はたしか20歳位のはずだ。


「違うんだよ、本気で若くて可愛く見えていたんだから仕方が無いだろ、田舎者だから女性の年齢なんて見た目じゃ分からないんだよ」


 あくまでも女性にあまり免疫の無いおじさんとしての私に意見なのだが、思いのほかアーリアは分かってくれたようで大人しくなってくれた。


「お前って意外と見た目と違うのな」

「はぁ? どういうことですか、本心で言っただけですけど」

「もういいから飲みなおそうよ、コップを投げてごめんね」


 アーリアは私に対して優しくなってくれたのでそこから飲みは更に楽しく飲めた。


 翌日になるとブルクハルトは別れの挨拶も無いままにこの街を去り、僕とアーリアはギルドに向かって行く。


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