第十九話 麓の街にて
麓の街に戻ると、私とアーリアは自由行動が許されたが、ブルクハルトは新たな護衛を選ばなければいけないらしくオスカリと共に何処かに行ってしまった。
「暇になっちゃったね、商店街でも見に行こうか」
まさかこの年齢になって若い女性から誘われるとは思わなかったが、この見た目だと傍から見れば私の方が年下に見えるだろう。
「そうですね、ちょっと疲れたんで何処かの店に入りましょうよ」
「それでもいいか、弔いの酒を飲むのもいいかもね」
私は死んでしまった者達とは特別に仲が良かった訳では無いが、それでもその死には何か思うところがある。
ただ、その気持ち半分、若いアーリアと飲む事が出来るので嬉しさも半分あった。
女性と二人きりで飲みに行くなんていつ以来だろうか、辻本としてなら20年は無かったように思える。それに元妻以外となると30年ぶりでは無いだろうか、30年ってなんだよ。
「どうした? 何かおかしなことでもあるの」
「いや…あの……期待に……リプレイ」
勝手な想像をして変な事を口走りそうになってしまった。そもそも元妻以外知らない私には免疫が全くない。
変な事を想像しないように話をしないといけないな。
「あのさ、前の方は見えていなかったんだけど、どうなっていたんだ」
「そうねぇ、二日酔いだからみんなの動きは悪かったよね、盗賊の数がもう少し少なければ助けてあげられたんだけど、あの時は足手まといにしかなっていないから、少し離れちゃったな、それよりあんたの方はどうだったのよ、殆ど一人で倒したんでしょ」
分裂する【光の矢】が使えなかったら数で押し込まれていたかもしれない。危機になって勇者としての私が手を貸してくれたように思える。
「たまたま上手くいったとしか思えないな」
「たまたまね……それにしても逃げずに戦えたんだね、それなのにどうしてゴブリンから逃げるかな」
やはりその事は知っていたらしい。やはり何時まで経ってもあの事件の事は付いて回るのだろう。
だったらもうあの街に帰るのは止めよう。なんだかこれからも汚名返上するのが面倒に思えてきた。
家は借りたままになってしまっているけど、ギルドに依頼をして解約の手続きをして貰うしかない。多少金はかかるが、戻るよりましだ。
「ねぇ、一人の世界に入らないでよ、プライドを傷つけたんだったら謝るからさ」
「リプレイ」
「たまたまね……」
「あの当時は覚悟が出来ていなかったんだよ、それだけさ」
軽く酒を飲んで宿に戻る事になったが、私は近くの公園に向かって歩いて行く。アーリアも付いて来たがったが魔法の練習をしたいので断った。
辿り着いた公園の中はカップルで一杯だったのでこの中で魔法の練習は出来ないので、街を出て少し歩いた先にある川原で練習をすることにした。
先ずはあの感知を試してみたが、この辺りには魔獣がいるはずなのに、全く気配すら感じられないし見える事も無い。
それならば【混沌の弓】を出現させるが、通常の矢は出す事は出来ても【光の矢】は現れはしたが、飛ばせる程の強度はそれにはなかった。
「何だよ、どうして使えないんだ。もう全然わかんね~よ」
それでも懲りずに何度も試してみて、何となくだか理解し始めた。
1、ちゃんと集中するか、もしかしたらあのような危機が訪れない限り使えないのかも知れない。
2、頭の中では魔法を覚えているのに使えないのは魔力が足りないからかも知れない。。
3、風魔法だけはこのフレイクの身体が使っていたので使用する事が出来た。
全然理解出来ないが、【混沌の弓】が使えるし【光の矢】でなくても魔力で矢が出せるのだから良いとしようと思う。
その内になにかが好転するかもしれない。




