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第十五話 B級冒険者ブルクハルト

 何なんだこの馬車は、こんな目立つ馬車を護衛しなくてはいけないというのか。


「金持ちの考えている事は分からないね、ここまで派手にしなくていいのに」


 私に話し掛けて来た女性は流れのアーリアと言う冒険者で階級はC級だそうだ。E級の私を蔑むことなく話し掛けてくれるのは嬉しいが、いわゆるビキニアーマーというのを身に着けているので目のやり場に困ってしまう。


「これじゃあ狙われやすいですよね」

「……あのさぁ、あんたは貴族なの?」

「いえ、違いますけど」

「だったらそんな気色の悪い話し方は止めてよね」


 誰にでも敬語の方が揉めることなく楽なのだが、この世界か、もしかしたら冒険者には不向きなのかも知れない。ただこのアーリアはあの世界の娘と大して変わらないだろう。


「分かったよ、普通に話すけど良いんだよね」

「直ぐにか……まぁいいけど、それにしてもあんたが噂になっている万年F級君だよね」

「噂は事実だよ、ただね、私……いや、俺はもうE級なんだけどな」

「へ~そうなんだ。たったの一人で14人を仕留めたんでしょ、見かけにはよらないね」


 えっ14人? 俺はそんなに殺したのか? 途中までは数えていたけど、あまり記憶がない。


「あのさ、数えてはいないけど14人は大袈裟だと思うんだよね」

「ふ~ん、そうなんだ」


「おい、お前ら、護衛は一度こっちに集まるんだよ」


 がさついた声で怒鳴って来たのは、今回の護衛達をまとめるB級冒険者のブルクハルトで、彼は盗賊討伐には参加しなかったが、依頼人の商会からの指名依頼でここにいる。


 走って近づくと、他の護衛をする冒険者が集まっているが、どういう訳か何か異様な空気が流れている。


「なんだかむさくるしい奴しかいないね」

「聞こえるから言わない方が……」


「おいっ静かにしろ、ったくもっと緊張感を持てよな、遊びじゃないんだぞ」


 そんなに向きになって怒鳴らなくても良いと思うし、そもそも本当の私、いや、俺よりも年下じゃないかと思う。


「怒鳴れば言いう事を聞くと思っているのかね、この単細胞が」

「はぁ? もう一度言ってみろ」

「リプレイ」


 走っている最中に戻ったのでバランスを崩し、転がりながらブルクハルトの足元に行ってしまった。


「お前は何をやっているんだ。それで護衛が務まるのかよ、あぁもういいやお前は帰れ、邪魔なんだよ」

「ちょっと、そんな言い方は無いでしょ、これでもこの前は14人を一人で仕留めたんだってさ」

「こいつがかよ、弱虫のF級野郎じゃないか」

「だったら試してみればいじゃない」


 何だか知らないが勝手に話が進んで行ってしまっている。それに俺が弱虫だと呼ばれていたことに少しだけ悲しくなってくる。

 お前が全て悪いんだからな……それも俺なんだよな。


「おいっぼさっとしてんな、お前は後衛なんだよな、だったらいいかあそこに旗が見えるだろ、それに当ててみろ、当たんなきゃもう帰るんだな」


 距離としては20m位で風があるせいか、はためいているので狙いやすいが、この国の紋章を打ち抜いて良いのだろうか。


「あの、旗だと面倒な事になりそう何で、先についている飾りでいいかな」

「はぁ~、てめぇにそんな事が出来るのかよ、そうか、外した言い訳がしたいんだな」

「違うって、まぁ見ててくださいよ」


 敬語とそうでない言葉が混ざってしまうが、その内になれるしかない。そもそもまともな敬語を使っていたのは辻本とたまに勇者が使っていたぐらいだ。


 左手を前に伸ばし頭の中で呼びかける。すると【混沌の弓】が現れ、黒色の矢も同時に現れた。


「何だお前、その弓は」

「貰いもの……ですかね」


 俺自身、この弓がどうして手に入ったのか思い出せない。勇者が使用していた魔法やその当時の仲間の事は思い浮かべる事が出来るが、細かい事は靄に包まれているようだ。

 一つだけ思い出したのは【混沌の弓】には意思があり、契約者と死と言う別れが来るまで必ず願えば現れると言う確信だけだ。


「透明化するマジックアイテム何だろ、少しは驚いたがそれに何の意味があるんだよ、だからお前はずっとF級なんじゃないか、そんな奴と一緒に護衛なんかやりたくねぇな…………」


「ぐちぐちと五月蠅いおっさんだな、いいから黙って見てろよ」

「何だと、良くもそんな口が効けるな」

「はいはい、リプレイ」


 言いたい事を我慢せずに言えるなんて本当にいい魔法だな、こんな使い方をしていいのか分からないけど。


「何だお前、その弓は」

「いじゃないか、もう撃つよ、はいっ」


 矢が纏っている風魔法が全てをやってくれるので直ぐに矢を射ると、何度か方向を変えながら旗の上の飾りを打ち抜いた。


「あの軌道はありえんだろ、お前すげぇじゃないか、どうしてそれでF級なんだよ」

「あの、もうE級なんだけど」

「変わんねぇよ、まぁいいや嬉しい誤算だぞこりゃ」


 ほんの数分前は嫌そうな顔をしながら話掛けてきたのに、どうしてこんなに笑顔で俺の肩を組んでくるのか分からない。冒険者ってのはこんなに単純な人達なのだろうか。


 あぁブルクハルトだけだよね、周りの冒険者は引き気味にブルクハルトを見ているもんな。


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