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第十四話 決断

 このアジトは住処と言うより奪ったお宝の保管場所だった様で、一度では馬車に積みきれなかった。その為に二回に分ける事となり、私は最初に戻らせて貰った。


「どうした。どんな心変わりがあったのかは知らんが、良い働きをしたじゃないか」

「あぁ……そうですか、有難うございます」


 ギルド長は私の事を少しは見直してくれたみたいだが、そんな言葉も今の私には煩わしく感じてしまう。


「お前はもしかして後悔しているのか、もしそうだとしたら冒険者なんか辞めた方が良いぞ、狩人にでも戻ったらどうだ」


 好きな時に森に入り狩りをして、近所の人に配ったり街に売りに行ったりするのも良いのかも知れないが、それだと何か前と変わらない様な気がする。

 もう安定を求めない生き方を選んだんじゃないのか。


「いえっ、もう少し続けてみたいです」

「まぁいいけどよ」


 

 ◇



 数日後、報酬の分配が確定したとも連絡が入り、指定された部屋の中には数人しか集められていなかった。


 職員が報酬の入った小袋を配り、私達が中身の確認をしているとギルド長のわざとらしい咳が聞こえてきた。


「お前らだけにもう一つ依頼があるんだがやってみないか」

「何故、あっしらだけなんですかね、戦力って訳じゃなさそうですが」


 一枚一枚銀貨を袋から出しては声を上げて数えていた背の小さな男が、ギルド長の方一度も見ないで質問した。


「お前らはあの木箱に興味が無いようだったからな、あの輪の中にいなかった奴を集めたんだ」

「そんなことで決めるなんて変ですな」


 依頼人の商人はこれから向かう街に何か貴重な物を運ぶらしい。それはかなりの高額な商品らしいので興味本位で見たがる奴は信用したくないそうだ。

 そして依頼は護衛で10日の拘束となるが、報酬はけた違いとなっている。


「この依頼はなんか美味すぎないか」

「心配は分かるが、それだけ運ぶものが重要なんだろうよ」


 どうしたらいいのだろうか、未だにF級の私にとっては信じられない程の報酬だけれども、何か怪しく見えてしまう。

 私は昔の癖が出て慎重に構えてしまうが、他の冒険者は報酬に釣られたのか即座に依頼を受けるのを決めたようだ。


「なぁフレイク、悩んでないでやって来いよ、E級のお前には勿体ない位の話だぞ」

「……えっ、私はまだF級何ですけど」

「今日からE級なんだよ、只な今迄に一度でも討伐をしていたらD級だったのにな」


 なんだかんだで僕の事を気に掛けているのであったら、せめてF級の僕にアドバイスをして欲しかった。

 それにしても元狩人のくせに二年間一度も討伐しなかったなんて僕は何を考えていたのだろう。怖いのだったら冒険者なんて辞めれば良かったのに。


 結局私は依頼を受ける事を決め、謎のテストを合格した面々もこぞって参加する事になった。


 それから私は財産の殆どをギルドに預け、ついでに名前をシューヤへと変更した。

この街でも汚名は少しは返上出来たかも知れないが、どうせ離れた街に行くのだからそこで新たな人生を再スタートさせてみたくなったからだ。


 村の誰かには言った方が良いのだろうか。

 …………こいつ、村で失恋してやがった。それに食堂を辞めたのも看板娘に振られたからじゃないか。

今迄何故か思い出せなかったが、この街を出ると決めた瞬間に一気に思い出した。


『街を出るのはいいけど、君の記憶が眠ったらフレイク君としての君は驚くだろうね』


 あのな、どうしていきなり話し掛けてくるかな。


『じゃあどうすればいいんだい。どうせ君の事だから何をやっても文句を言うんだよ』


 はいはい、そうかも知れないね、それよりまた私は眠りにつく事があるっていうのか。


『冗談だよ、それに今の君はフレイクと辻本を別人格だと思うかい』


 そう言われてしまうと何だかよく分からなくなってきたし、その質問も私にとってはどうでもいいように思える。


 どうだろうな、ただこの身体では簡単に死にたくないな。


『そうだね、君にはやって貰いたい事があるんだから簡単に死なないでくれよな、それにこの転生が最後なんだからね』


 そう言えば、此処から離れるけどいいのか……お~い、まだ会話の途中じゃないのかよ。


「あのっシューヤさん、大丈夫ですか、身体が辛いのなら依頼を受けない方がいいんじゃないですか」


 目を開けると私は床に寝かされていて、目の前には心配したような顔の受付の女性と周りを囲んでいる野次馬の姿が見えた。


 あいつめ~、この状態で会話する事は無いだろうが、次に話す機会があったら絶対に文句を言ってやる。


「あの、すみませんでした。リプレイ」


 五分前の私は名前の変更をしている最中でだったので、同じように改名をし、借り住まいの家を片付けに戻って行った。



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