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第八十九話 山の中で

『ようやくここまで来てくれたね、それでは居場所を伝えるよ、君はここからラマット山に行くんだ。王国を見渡せる中腹に目的の男がいるからよろしくね』


『あのさ、もう少し早く教えてくれてもいいんじゃないか、無駄な時間を過ごしちゃったじゃないか』


『まぁこっちにも色々あるんだよ、早く彼に会って助けるかそれとも見捨てるか決めてくれたらいいさ、どっちにしてもこれが最後の頼みになるからね』


 本当にこれが最後だと思わないし、もし違った場合の事を尋ねたのだが管理者は何も答えてくれず、そのまま朝が来るまで夢か現実か分からないまどろみの中に取り残された。


「ねぇどうしてそんなところで寝てるのよ、ちゃんとしなよ」

「えっ、あっそうかな」


 確かベットの潜っていたはずなのに何故か窓際の椅子に座っていた。


(勝手に部屋に入ってきていきなり声を掛ける方もどうかと思うけどな)


「あのさ、これからの事なんだけどラマット山に行かなければいけないんだ。だから山越えのルートになるな」


「相変わらずだね……まぁいいわ」


 変な事を言い出したのは理解しているが、アーリアははそれについて何も聞かずに了承してくれた。



 ◇



 街を出てから10日を過ぎてようやくラマット山の全貌が見えてきた。この辺りの山の中では特に大きい方では無いのだが、この山だけは殆ど草木が生えてなく岩山とも言える寂しい山となっている。


「ねぇ本当にあそこで良いの、あんな所は魔獣すらいないんじゃない」

「俺もそう思うんだけどね、まぁ反対側に行くしか無いんだよ」

「全く、おかしなことを言っている自覚はあるんでしょうね」

「これが終わったら俺は解放されるだろうから全てを話すよ……さぁ行こうか」


 その時に信じるか信じないかはアーリア次第だ。それに全てを話す気で今はいるが本当に話していいのだろうか、まぁこの考えを分かっているはずなのに止めないという事はそう言う事なのだろう。


『ご主人様~早く行きましょうよ~』


 ラマット山に近づいてからのムックはやけにテンションが高く、飛び跳ねるように動いている。

 その動きに私もアーリアもつられてしまい登山のペースがかなり早くなっている。


「ほらっ王国側に出るわよ、それにしてもこんな岩肌しかない場所で誰がいるのよ」

「俺も同じ意見なんだけどな……いや、空間倉庫が使えれば食料の心配はいらないし、それに魔魔獣もいないんだから安全じゃないか」


 そうなるとこの場所で私が助けなくてはいけない男は只者ではないはずだ。そんな男が世捨て人の様に此処にいるのだとしたら一体私に何を求めているのか。


(山から下りるように説得するだけとかだったら良いんだけどな、まぁそれなら失敗したとしても【リプレイ】の没収はなさそうだな)


「どうしたの、にやけながら歩かないでよ気持ち悪いんだけど」

「あぁごめん、それよりさ、此処から見える王国はどうだ? 懐かしいんじゃないか」

「そう感じるかもと思ったんだけどね、実際は何も感じないかな」


 てっきりアーリアはこのまま王国に帰るのかと思ったがそうと決まった訳ではなさそうだ。


(よし、だったら言ってみるか……駄目だな、まだ勇気がないな、その時が来るまで保留にするか)


『ご主人様、どの辺りにいるのでしょうか』

『中腹としか分からないんだ。悪いが気配を探ってくれ』


 こんなに視界が良好な山は無いのだが、何故か目的の人物が見当たらない。


 下を見ると豊かな草原が広がっていてのどかな風景となっているが街や村の姿は何処にも見えない。


「何もないんだな」

「そうね、一番近い村でも一日じゃ着かないわよ」

「そうか、それなのに何で此処にいるんだ。麓の方が暮らしやすいのにな」


 管理人が間違えてるのかも知れないとも思ったが、何も話し掛けて来ないという事はこの近くにいる事は間違いない。


『ご主人様、もう少し上の斜面を見て下さい』

『上がどうかしたのか? まぁ大きな岩があるけどな』

『魔力を目に集めて見て貰えますか』


 ムックに言われた通りに魔力を目に集めると、上の方にはまるで広いバルコニーがあり、山と平行に立てられた平屋の家があった。


「あんなところに家があるぞ」

「えっ何処よ、何も無いじゃない」


 ムックはいきなり駆けだして山を登っていく。


「あれっムックが消えたわよ」

「消えてないさ、魔法で隠してあるんだよ」


 ムックが消えた場所はその家の庭の入口で、その前には呼び鈴のような物が付けられている。

 

 試しに鳴らすと、ムックの頭の上に手を置いた老人がゆっくりと家から出てきて庭を歩き始めた。


「あっいきなりおじいちゃんが歩いている」

「その言い方は止めろって」


 何者か分かっていないのに、その老人が気分を害する可能性がある呼び方は止めて欲しい。



 

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