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その一 復活の魔王リシオ

「おい誰かいないのか……」


 何てことだ。あれからどれぐらい年月が過ぎたのかは知らんが、儂の城は滅茶苦茶になっているじゃないか、それにどんなに探しても誰もおらん。

 あの勇者は……いや儂がこれをやったんだよな。


 しかしあれは本当に儂なのか、どうしてあんな真似を……。

 何故、あんなにも怒りを覚えたんだ。たかが勇者のガキを殺しただけじゃないか、それなのに……儂の大事な部下もろとも……。

 それに儂自身も消滅しようとするなんて……。



「いやぁ~これはこれは魔王リシオ様ではありませんか、最近になってこの辺りに魔素が集まった原因は貴方でしたか、随分と探したんですよ、何年もよく逃げていたものですな」


 儂の前に現れた男は悪魔族のドボクで、魔王グスタフの副官なのだがあの時は客として儂の城にいた。前は腰が低くて気の良い魔人だったはずだが今は儂に敵意を向けている様な気がする。

 こやつも被害者の一人なんだよな。


「儂は逃げてなどおらん。ついさっき目覚めたばかりで、それにな、あの時の儂は勇者に何かやられたんだと思う」

「何を訳の分からない事を、貴方はあの時、人間どもと一緒に自分の部下や私の部下さえも道連れにしたのですよ、私でさえもう少しで死ぬところだったんだ。敵も味方もほぼ全滅したと言うのにそんな言い訳が通用するか」


 儂の記憶にあるドボクはこんな生意気な口を言う男ではなかったし、種族は違えど仲良くやっていたのに……。


「頼む、儂を信じろ、だからあの時は誰かに操られていたんだ。……そうだ、確か名前は……」

「貴方に精神攻撃が通用する訳ないでしょ、いいですか、もう貴方には全魔王から抹殺命令が出ているんですよ、ふんっ、後悔しながら死になさい」


 ドボクは目を血走らせながらその掌に魔力を集め、それが炎の固まりとなって儂に投げてくる。


「儂にその魔法を使うとはな」


 リシオが左手を前にかざしただけで、ドボクの炎は霧散してしまう。


「くっ、そんな力がありながら何故あんな真似を……貴方のせいで不死族のこの国は滅んだのですぞ」

「何だと、それではこの国は誰が治めておるんじゃ、儂に国なんだぞ」

「何を言っているのですか、もう此処は貴方の国じゃない。この場所を支配しているのは人間なんですぞ」

「バカな……魔王連中はそれを良しとしたのか」

「全て貴方のせいなんですよ」

 

 リシオは言葉の意味を考えていると、曇り空の上から真空の刃が降り注いだ。


「貴様、まだ分からんのか」

「馬鹿なのですか、最初に攻撃をしたのは貴方じゃないですか」

「ふざけろ、悪魔族の分際で」


 身体は完全ではなく魔力も昔の半分にも満たないが、小僧にやられる程の落ちぶれた訳じゃない。


「さぁ魔王リシオ様、いや裏切り者リシオよ、塵となってしまえ」


 リシオの身体の崩壊が始まり、末端部分から塵と変化していく。


「くっ」

「弱いですな、これが魔国最強の魔術師と言われたお方ですか、あの膨大な魔力は何処に消えたのです」


 もういいわい。貴様は儂を侮辱した事を後悔しながら死んで逝け。


 リシオの身体は全てが塵となったが、その小さな一粒一粒にに意識が宿っているかのようにドボクに纏わりついていく。


「貴方は一体何をするんだ」


 答える術を持たないリシオの塵はドボクの身体のあらゆる場所から侵入し徐々にその身体の支配権を乗っ取り始めた。


「儂に敵うと思うのが間違いなんじゃ」


 ◇


 慣れないドボクの身体で森を抜けて行くと、儂の記憶には無かった人間の国がそこにあった。


 クソがっ、この大きさの街が此処にあるという事はドボクの話は本当なんだな……。

 儂の、儂の国が……。


 悔しい気持ちを抑え、目を瞑りながら違和感の元である記憶の断片を探り当てた。


 何者か知らんがこの変哲もないような人間があの時に儂の身体を乗っ取ったというのか。

 こやつは…………なんて変な世界の住人なんだ。

 まぁいい、今度はこの記憶を儂が利用する番じゃ。

 どの国に……いや、人間の国も面白いかも知れん。

 力が戻る迄、商人として生活するのも良いだろう。


 身体に魔力を流すと、ドボクのいかにも魔族だという身体が記憶の中にあるシューヤの姿に変化していく。


 この姿でいれば何の問題も無いだろう。勇者にさえ近づかなければバレる心配はないな。

 儂は決めたんだ絶対にシューヤをこの手で八つ裂きにしたやらないと気が済まない。

 儂だけでなく、我が種族の恨みを話す為に。


 あれっこやつは生きているのか?

 

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