96話 副団長の戦い
sideチャイリー
私は、チャイリー・マルティンと言います。
エルスドール王国の騎士団長……ではなく、副団長です。女ながら副団長の地位に就いているため、色々と厄介ごとはありますが、実力のみで、(と言っても、貴族の三女なのですが)今の地位に就いているので、実力は認められています。
そんな私が、ある日、何の抵抗も出来ずに、意識を奪われてしまいました。
最後に見た光景は、黒い鎧を着たものが黒い剣を携え斬りかかろうとしているところでした。
そして、現在。
いつも使っている、騎士団の訓練場にいます。それも、私だけでなく、団長も、前に一度だけ会ったことのある他国の団長も、そして、冒険者として名を上げている者数名が、この訓練場に集められています。
手足も縛られず、武具類もそのままにしてあります。
この集められた者たちに共通しているところは、多分ですが、強い、ということだと思います。強者だけが、ここに集められているのです。
目覚めて周囲の会話を聞く限り、全員が私と同じように気絶されたようです。
それほどの強者が私たちを集めて何をしようとしているのかは、疑問なのですが。
と言っている間にもまた一人が目覚め、辺りに喚き散らします。
「おい!ここはどこなんだよ!?」
それに対し、一人の騎士鎧の男性が答えます。
「ここは、エルスドール王国の訓練場らしい。それに、お前は覚えていないか?ここに来る前を」
「あ?あ……そういえば、黒い鎧のやつが……」
「俺たちも、ここにいる全員が同じ相手にやられている。そして……」
剣を引き抜き、
「お、おい!」
男を無視し、壁の方に歩いていく。
「はあ!」
剣を一閃。
キーンッと音がし、弾かれる。
「こういうことだ。この壁全体に防護魔法と思われるものがかかっている。本気で斬りつけても同じ結果になるだろう」
「それで、なんでここに集められてんのかって聞いてんだよ!?」
「それは、分からん。お前も一瞬で気絶させられたのだろう?」
その問いに、機嫌を悪くしたのか、男を睨みつける。
自分は強いと思っていたのに、何もできずに気絶させられるという手加減までされたのです。他の人に言われれば、イラっと来るのも仕方ありません。
「ぐぅ……ちっ」
舌打ちをし、ドスンッと地面に座る。
その間、我が国の団長はというと……座っています。
さすが団長です。周りを気にすことなく瞑想をしている………………のではありませんね。あれは、ただ、寝ています。
私は、団長の元に歩いていき、
「せいっ!」
手刀を振り下ろします。
ですが、ひょいッと顔をずらされ、避けられました。
「何をする、チャイリー」
「団長こそ、こんな時に何を呑気に寝ているのです!」
「仕方ないだろう。暇なのだ」
「なっ……」
あまりの理由に唖然とします。
「そりゃー俺だって、試してみたさ。だが、傷一つ付かん。扉も開かず、何も出来ん」
「むぅ。確かに、そうですけど……他の国からも強者だけが集められたことといい、何か嫌な予感がします」
「あーーそれな、黒騎士にやられたんだろ?」
「何か知っているのですか!?」
団長の肩を揺さぶります。
「や、やめんか!……はぁはぁ」
「あ、すみません」
「ふぅ、それが、俺も一瞬だったんだ、悔しいことにな」
唇を噛み本気で悔しそうな顔をする。
団長というだけあり、その実力は飛び抜けています。この中に集められた強者たちの中でも、上位の実力だと思っています。
「あの黒騎士は、俺たちを集めて何かをしようとしているのは分かるが、その何かが分からん」
「そうですね……それでーー」
話を続けようとすると、扉が開く音がした。
体がビクッとなり、硬直した。
なぜなら、私たちを襲った黒騎士が二体もいたのです。
改めて相対し、その実力が分かりました。
これは、
「団長、これは……」
「ああ、やばいな。本当にやばい。これほどだったとは……しかも」
そうです。黒騎士二体だけでも絶望的なのですが、その後に入ってきた魔物が黒騎士以上の敵だと、私の感が言っているのです。この相手とは、戦ってはいけない、と。
その証拠に、黒騎士たちがその魔物に跪いたのです。
「我が主、この者らが、人間の強者と呼ばれる者たちです」
「そうか……」
重ぐるしい空気の中、骸骨の魔物が口を開く。
私の体が意思に反して、震えます。
「お前たちの国は全て滅んだ。そして、ここに集めたのは、余のためだ」
勇気のあるのか、馬鹿なのか、男が言う。
「ここから出せ!」
「ふむ、出してもよいぞ。余に勝てばな」
骨の顔のため表情は分かりませんが、笑っていることだけは分かります。
絶対強者に挑む愚かな弱者……嘲笑っているのが表情がなくても分かります。
「お前を殺せばいいんだな!分かりやすい!」
剣を構え、突撃していく男は、途中で転けたかのように、倒れました。
「な、なにが起こった?」
「団長でも分かりませんか?」
「ああ、だが、見てみろ」
指を指され、倒れた男を見ると、全身の血が抜かれていたのです。全身は干乾び、枯れ木のように細くなっています。
「血が……!」
「ああ、どうやらただのアンデットじゃないみたいだな」
言語を操る魔物、というだけでも、知性があり危険です。
「最後まで聞け、人間。余をお前たちが殺せるはずもなかろう。オーウェン如きに勝てないようではな。そこで、だ。余に一撃入れれば開放してやろう。そのために、お前たちは全員でかかってこい。人間とは群れる者だろう?出来ないならばしなくてもよい。一人の方がいいというならな」
「お前に一撃……どんな方法でもいいのか?」
「ああ、魔法でも剣でも槍でも……持ちうる全てを持って余を殺しに来い」
傲慢不遜な物言いだが、それにたる力を持っている。
私は、団長に話しかけます。
「団長、どうしましょうか」
「やるしかないだろ。この化け物を倒さない限り、俺たちに未来はない」
「しかし、国を滅ぼしたとか言ってました」
「俺たちを惑わすために嘘だろう。国とはそう簡単に滅ばないもんだ」
「そうですよね……では、団長」
「ああ、俺たちは二人でやるぞ!連携したこともない奴とやっても意味がないからな」
連携ーー共闘することは、単純に人数が増えるので、戦いやすくもなりますが、それは、お互いが息を合わせれることが前提です。
知らないものと一緒に戦っても上手く連携など出来るわけもありません。それなら、知ってる団長との二人でやった方が、勝機があるというわけです。足を引っ張られても困りますし。
「いつものようにいくぞ!」
「はい!」
回りを差し置いて、私たちは、攻撃を仕掛けます。
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