7話 暴龍騎士団結成!
ハク(白虎の愛称)を従魔にして、半年がたった。
あれから、騎士団をひとつ作った。騎士団の名前は、『暴龍騎士団』、団長は7人で、全員のレベルは500を超えて聖人に進化している。聖人とは、人族が進化すると上位人族(ハイヒューマンと言われる)その次が、聖人になる。皆、そこまで進化させた。世界中からセバスたちに集めさせた。当時のレベルではなく、才能の限界値で選んだため、後は育てるだけだった。しかも、スキルなどを与えているためレベルも上がりやすく、短い時間で最低500までは上がってくれた。特に大きいのが、騎士団の名前にある通り、暴龍つまり龍をその身に宿らせている。そのため、ステータスも爆上がりしている。この世界の最強クラスの龍王とも互角に戦えるだろう。
上位数人にいたっては、確実に倒せるだろう。7人のうち3人は、素晴らしいことに1000を超えたのだ。
そんなに上げて叛乱したりしないのかって?訓練には、五帝を相手にさせたり、俺自身が教えたりしているため、絶対に歯向かうことはしないだろう。というか、自分たちが束になってもかすり傷ひとつ付けられないのに、そんな気を起こす方がおかしいと思っている。
万が一にも操られたりしないように、精神攻撃無効などのスキルも与えている。
そして、それぞれが団長と言うことは、団員がいると言うことだ。一騎士団に、100人、計700人の組織だ。きちんと、上位人族に進化させているため、最低でも足手纏いにはならないだろう。(進化の条件は、レベル200以上で、魂が鍛えられていれば進化する。他にもあるが、今回は、精神に負荷をかけることによって強制的に上げた)
「『暴龍』。スラムからも入れたが、意外に才能がある奴がいたな。武具も聖剣魔剣クラスを与えたが、泣いて喜んでいた奴もいたし、命に変えても御守りしますっ!て言ってる奴もいたし」
クスクス笑いながら、その時のことを思い出している。もちろんハクをもふもふしながらだ。
しっかり、お風呂にも入れて清潔にしているし、毛など元々汚れないようになっている。魔法で傷つけられた場合は別だが。
「さてと、行くか」
この後、魔王に逢いに行くのだ。
★★★★★
side魔王
「四天王集まったか」
そう言ったのは、真っ黒の艶やかな黒髪を腰までのばし、紫色の眼をしている絶世の美女だ。名を、アリネイラ・グラ・フィストリア。魔王だ。頭に、捻れた角がなければ人族だと言われてもばれないだろう。それでも、放っている威圧感が王のそれだ。
それに答えたのは、
「絶望のランガルきました」
「氷死のゼルベリ参上しました」
「断罪の、ショルティーナ……きま、した」
「金光のシュウオウ陛下の前に」
4人の魔族が魔王の前に跪いた。魔王軍四天王、魔族最強の4人だ。
魔族は、実力主義だ、四天王になるには、また、魔王になるにはその相手を倒せばいい。ただし、一対一の正式な試合でだ。もちろん、毒などを使ってもいいし、相手を殺してもいい。だが、この4人は、ここ数百年顔ぶれが変わっていない。つまり一度も負けていない、ということだ。それだけで、この者たちの強さがわかるだろう。
「今回集まってもらったのは、そろそろ時期かと思ってな」
「おお!ついに、人族に侵攻するのですねっ!」
みな、一応にいろめき立つ。なぜなら、今まで人族の街を直接攻撃するのは、禁止されていたからだ。ただ、ゼルベリだけが難しい顔をしている。
「どうしたゼルベリ?」
「いえ、陛下に頼まれていた、人間の戦力を調べていたのですが、ひとつ困ったことが」
「なんだゼルベリ?臆しているのか?魔族ともがあろうものがっ」
「そうだぞ!帝国の十三使徒でさえ我らには及ばんだろうっ!」
確かに、いくら超越者と言われていてもたかが人、気をつけなければならないのは、第一使徒とと第二使徒だけだ。あの者らは、人の枠を超えている。
「確かに、第一使徒と第二使徒以外は相手にもならんだろう。その2人も、我が出るか、お前らが2人以上で当たれば確実に勝てるだろう。何を焦っている?」
魔王の問いに、ゼルベリは一瞬悩んだ素振りを見せるが、今後の障害に、なるかもしれないので答えた。
「はい。陛下は、ウィルムンド 王国をご存知ですよね?」
「ああ。帝国と双璧をなす大国だな。それがどうした」
「確かに、国が大きいだけで軍事力は大したことはないはずだぞ?」
魔王とランガルが疑問に思って聞く。それもそのはずだ、騎士団長が少し強いというだけで四天王の1人ですら勝てないほどだ。
「それが、第一王子なんですけど。噂を聞いたことおありでしょうか?」
「?いやないが、その王子がどうかしたのか?」
「実は、SSSランクの魔物の大群を一瞬で屠ったとか」
この一言に、魔王でさえも驚愕を露わにする。
それほどまでに、SSSの魔物とは次元が違う強さを誇る。魔王でも、一対一なら勝てるが、二匹を相手にした場合相性が良くなければ、負けるだろう。そんな魔物を一撃ではなく一瞬で、だ。
「それは、本当か?」
噂だとか誇張されて伝わったとかならまだ、大丈夫だ。しかしだ、その話が本当なら敵対はまずい、策を弄してどうにかなるレベルを超えているからだ。
「はい、そんなわけないだろうと思い実際に部下を潜り込ませて調べたところ、諜報に向かった全員と連絡が取れなくなり、なので、危険を犯してでも私が直接見に行きました。そしたら、」
急に黙って何事かと見ると、青ざめよく見ると少し震えていた。中々喋らないことに痺れを切らしたランガルが、怒鳴った。
「なんだっ!早く続きを言えっ!!!」
一度喉を鳴らして、続きを言った。
「私が見たのは、騎士団の練習場面でしたが、その全員が進化していました!」
『なんだとっ!?』
本日二度目の驚愕が一同を包んだ。
「そ、それは、一部とか、見間違え、ではなく、て?」
ショルティーナが、声を振るわせながら問いかける。
「本当のことです。しかも、隊長格と思われる者は、『聖人』となっていました。推定でもレベル400以上、その隊長格が7人。その騎士団は、『暴龍騎士団』と呼ばれていました。さらに、五帝と呼ばれる、暴龍騎士団以上と言われる者が5人確認できました」
「何ということだ。どうする!?」
「しかも「なんだまだあるのかっ!?」……しかも、その五帝と思われる人物からは、見つかってしまいましたが見逃してもらいました」
見逃してもらいました?ということは、ばれたととっていいだろう。もしかしたら、ゼルベリが四天王だと言うこともばれたかもしれない。それだけの強者がいるとは、
「みなよく聞け。これからの方針は、そのウィルムンド 王国は後回しで魔物だけ放っておく、その間に、帝国や周辺国家から落としていくとしよう」
『はっ』
パチパチパチ……
その時、手を叩く音が聞こえた。