72話 真夜中の襲撃者
sideミナリス
ミナリスは、宿の中にいる。高級宿に泊まっている。
そのお金は、盗賊を倒したときに奪っていたからかなりある。大きな盗賊団を4つも潰したのは伊達ではない。
止まっている宿、安楽亭では、貴族も宿泊するような宿屋になっている。
なぜそこにミナリスのような少女が入れたかというと、そこは魔法を使ったからだ。
ある貴族のお嬢様という風に認識を変えた。
「今は何時かな?」
『夜10時だ』
「なら、そろそろかなぁ」
盗賊団の頭の首は、異次元収納の中にある。
そして、実際にそれをしたとしたら、大きな盗賊団4つを一人で殺せることになる。なら、そんな危険なやつを野放しにしとくとは思えない。ということで、そろそろ夜中になる。襲撃があるとしたらこれからだろう。
『どうする?』
「一人残して他は全部殺すよ」
『そうか、と、来たようだぞ』
ミナリスは返事をせずに、布団に横になり、狸寝入りする。
しばらく経つと、扉が静かに開くのを感じた。数は、3人。気配の殺し方は一流だ。
「…………」
「……」
「……」
ハンドサインを駆使し、言葉を交わす。
前に1人その後ろに2人がいる。前にいるやつがリーダーだろう。
足音を消し、ミナリスの寝ているベットに近ずいていく。
「……」
リーダー(?)の合図で手に持ったナイフを振り下ろす。
それをミナリスは避けずに敢えて体で受ける。サクッとナイフが体に刺さる感触を感じる。そして、そのナイフには丁寧に毒を塗られている。
(まあ、効かないんだけどね)
明るければ、刺さった場所に黒い霧が覆い傷が治っていく。毒の方も耐性を持っているため効かない。
ミナリスを見て何も反応がないのを確認し、任務達成と思い帰ろうとしたが、ありえない声が聞こえ後ろを振り向く。
「やっぱこの程度のやつらしかいないよね」
「「「……!?」」」
「なぜ生きてる!?って感じだね」
ナイフを構えゆっくり後退りながら位置を整えている。
「答えを言うと、そんな攻撃や毒なんて効かないんだけどね。それに、なんで、盗賊団を皆殺しにした私にその程度の実力で勝てると思ったのかな?」
「……」
だんまりを決め込む。確かに、ミナリスがやっととしても、まだ幼いため暗殺なら殺れるとでも思ったのか……。
どっちにしろ、暗殺者が暗殺を失敗した以上直接殺すしか選択肢はない。失敗したなら、口封じで殺されるからだ。
「直す力はないから、宿を壊さないようにしないと」
小さく呟き、ベットの上から下り、タンっと床を蹴る。
一瞬にして、リーダーと思わしき人物の前まで行き、首を捩じ切る。
驚愕しながらも、すぐさまナイフを投擲する。それを、屈むことで避けながら、近づき同じようにして首の骨を折る。最後の一人は腹に手加減した一撃を加え、気絶させる。
「ふぅ。よし、こいつらは、燃やしてっと」
そこで、ドュルジから待ったがかかった。
『待て』
「どうしたの?」
『そいつらは、収納に入れておけ』
「分かったけどなんで?」
『犯人が分かった時、念のための証拠だ』
「なるほど!」
ミナリスの使っている異次元収納は、空間が出てくるわけではなく、念じると対象が消え、収納の中に入る仕組みだ。
多少飛び散った血は、消滅の魔眼で消す。
「後は、こいつから誰の差し金か聞くだけだね」
『十中八九あの門番のやつらが関係しているだろうな』
あらかたの目星はついているが、決まったわけではない。
そして、ミナリスは、尋問するのも対象が起きてからではなく寝ている間にも記憶を読んで出来るようになった。それも、浸食の魔眼を使いこなし始めているということになる。
気絶している暗殺者を仰向けにし、眼を覗き込む。ミナリスの目が紫色に怪しく光る。
しばらく経ち、ベットまで行き腰掛ける。
「結構慣れたかな」
『ああ、体力もあまり減っていないだろう?』
「うん。…………それで、やっぱりあの人が関係あったみたい。なんか貴族の子弟だったよ」
『そうか。それで、名前は?』
「名前はね…………分かんなかった!」
『おい、ダメではないか』
「なんか、下っ端には教えられてないって」
『ちっ、真ん中の奴を残しとけばよかったのか』
「そうみたい」
だが、そこまで落胆もしていない。
どうせまた、仕掛けてくるだろうと思っているからである。
「さて、もう今日は寝よう!」
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