70話 ゴブリン・エンペラー
ゲーミングPC買いました!
APEXとかやっているんですけど、フレンドがいない!ぐぬぬぬ
エンペラーとの闘いはまだ5分程しか経っていない。
しかし、100回は剣を交えていた。さすがは、エンペラーの使う武器だ。ミナリスの黒剣とそれだけあわせても刃こぼれするだけだ。
「クソガ!ナゼオレノケンガキズツイテイル!?」
「それは、私の剣の方が強いからだよ」
今まで、自分より強いものと相対したことがないため、動揺を口にする。こんなにも闘いが長引くことも、自分の大剣から繰り出される剛剣を受け止められることもなかった。
段々とイラつき始め、攻撃が荒くなっていく。咆哮を上げる。
「グラアアアアアアアアア!!!」
ミナリスはすぐさま、魔力障壁を張り、耐える。
咆哮が衝撃となって走り、地面にひびが割れる。
咆哮が終わった瞬間にエンペラー目掛け走り、股の下を潜るようにスライディングしながら左右の足の腱を斬る。
ガクンッと膝をつき、痛みが走る。
「グウウアアアアアア!?ナンデヒルマナイ!?」
エンペラーの咆哮には、受けた相手を怯ませる効果がある。自然と体が竦むのだ。
しかし、ミナリスは魔力障壁を使っていたため、効かなかった。だが、そのことを知らないエンペラーはただただ困惑するだけだった。
ミナリスは、もう返事もせずに次々と攻撃を仕掛ける。
まずは、右腕。大剣を持っている腕を落とす。
次に左腕、そして、腱を斬った左右の足を同時に斬る。
ものの一瞬で達磨になったエンペラー。皇帝の威厳などもはやない。
そこにいるのは、哀れなゴブリンだ。
四肢がなくなった激痛に耐えながら、必死で命乞いをする。
死の寸前で圧倒的な恐怖にかられたためだ。
「タ、タスケテクレ!イノチダケハ!!」
「……こうなると、醜いね、ドュルジ」
『ああ、こいつはSSSランクにまでいっているだろう。今まで、痛みという痛みを感じたことがなかったはずだ。何事も初めては恐怖だ。それが、死への恐怖ならなおさらな』
「うん。もう終わらせよう」
「タスケーー」
最後まで聞かずに、首をはねる。
その太い首から大量に血が吹き上がり、その場に血の水溜まりが出来た。
「しっかし、それほどでもなかったね。SSSランク」
『それは、お前が強いからだ。周りを見てみろ』
ドュルジにそう言われ周りを見て、惨状に気づいた。
そこには、エンペラーとミナリスの剣圧で、削り取られた洞窟の壁があった。
そしてよく見ると、魔力で補強してあるのが分かる。
「なんで?」
ミナリスは、そんなことした覚えはない。そしてもちろん、エンペラーもしないだろう。なら、他には、一人しかいない。
『我がやった。壁を支えなければこの程度の洞窟なぞ崩れるに決まっているだろう』
「ありがとう!」
『初めてのSSSランクだったため、本気でやってみたかっただろうが、あの程度の相手では、魔法もスキルも使わないで勝てるだろう』
「うん。だけど、久しぶりに思いっきり戦えたかな!」
『ならば、寄り道はここまでだ。帝都に向かうぞ』
「分かった!」
~約10分後~
「ガキ!持っているもの全部出しな!」
~約15分後~
「ヒャッハー!こんなガキが一人だぜ!?」
「死にたくなかったら持ち物全部置いていきな!」
~約30分後~
「ガルルルルルルル!」
ダイアウルフの群れが現れた。
………………
…………
……
それから、2時間が経った。もう夕方に差し掛かっている。
「やっと着いた……」
『なぜもああ、出てきたんだ?』
「知るわけないじゃん!」
暇だから出てきてほしいと最初は思っていた。
しかし、ゴブリン・エンペラーを倒してからというもの、盗賊やら魔物やらが襲ってきた。すでに、盗賊はほ4回程出会い、それぞれの縄張りが近かった。
一つの盗賊団かと思える程近く、かなり大規模だった。
それをミナリスは、すべて殺し、団の長だと思える者の首を切り取って持っている。賞金首がいるだろうと思ってのことだ。
ただの人間くらいミナリスの相手ではないがめんどくさいことに変わりはない。早くついて欲しいと願いながら、歩みを進めようやく着いた。
「止まれ」
街などとは比較にならないくらい大きな城壁がある。
高さにして15mはあるだろう。
そして、もちろん出入り口である門も大きい。
そこには、2人の兵士が立っており、入場者の審査をしている。
立てて持っていた槍を交差するように出し、ミナリスの行く手を阻む。
「帝都に何をしに来た?」
「冒険者になるために来ました!」
「なに?」
ミナリスは強くても、10歳の少女だ。
子供が、冒険者などという命の危険がある職になるために、ということを聞けば怪訝に思うのも当然だろう。
「まだ子供だろう?生き急ぐこともない」
「ううん、大丈夫だよ!これ!」
ミナリスはアイテムボックスに代わるスキル、『異次元収納』のスキルを手に入れていた。
このスキルは、空間魔法で使えるものと同じなため、中の時間が止まっている。
そしてその中から、討伐した盗賊団、頭の首を出す。
「これで大丈夫だよね!」
「!?これをどこで!?」
「おい!あれって、前々から騒がせていたバルクじゃないか!?あ!あっちも賞金首のやつだぞ!?」
「帝都に来る途中に襲われたから殺したんだ」
「そんなばかな!?」
この反応からするに、ミナリスの予想通りに賞金がかかっていたようだ。それもかなりの実力者らしい。
ミナリスが殺した、ということに愕然とする。信じられないと表情が言っているだけじゃなく、声に出してしまっている。
「ちょっとここで待ってろ!」
「なんで?」
それだけ言うと、さっさと走って奥の方へ行ってしまった。
残った兵士が返事をした。
「これだけのことをしたんだ。事情を説明してもらう必要がある」
「なるほどねぇ~」
それから、数分待ったところで、切れ長の目をした、いかにも怪しい人物が来た。
「私は、警備隊隊長のケルビンという者だ。……それで、これは君が本当にやったことなのか?」
「そうだよ」
地面に置いてある首4つを指しながら言う。
ミナリスは即答する。
すると、顎に手を当て悩む仕草をする。
「ねぇ、早く入りたいんだけど」
「ああ、分かったが、再度聞くが本当にお前ががやったのか?」
「だからそういってるじゃん!」
分かった、とだけ言って中に入ることができた。
だが、ミナリスとドュルジは、君からお前に二人称が変わったことに気が付いた。しかし、その場では何も言わずに、過ぎ去る。
『ミナリス、ここ帝国では、気を付けろよ。何かきな臭いぞ』
(ドュルジも気づいたんだ。多分あんなに盗賊団がたくさんあったのは、あの人が関係してそうだね)
『ああ、首謀者かは分らんがな。何かしら関りはあるだろうな』
門を通り、中に入ってからミナリスを見ている視線が現れた。
それに気づきながらも無視する。
気づいていないと思わせた方がいいからだ。
「でも、やっぱり面白そうだね!」
今のところ敵意も殺意もないが、いつ向けられてもおかしくないだろう。
しかし、ミナリスはそのことを楽しみにしている。
早く行動を起こしてくれないかな、と。
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