67話 戦力差
ミナリスがどんどん残酷に!?
こんな……こんなつもりじゃなかったんです!
3人程斬ったあたりで、声がかかった。
「そこまでにしてもらおう」
太い声が響き、その人物が出て来た瞬間、兵士がどよめいた。
「ブボミスさん!」「隊長!」と言った声が聞こえてくる。それ程この人物は信頼されているようだ。
確かに、一人だけ装備が違う。一ランク上の装備のようだ。
「君が、ココロンの街を滅ぼした少女であっているか?」
「そうだよ?」
「なぜ、なぜそんなことを?」
ミナリスは大して興味を持っていなかったことを質問して来たため、思わず動きが止まってしまった。
「特に理由はないよ?」
「なんだと?理由もなしに、街一つ滅ぼしたとでもいうのか?」
心底ありえない、と言った表情を浮かべながら聞いてくる。
ミナリスにとっては、どこの街でもよかった。ただ、近かった、というだけで選ばれた街だったからだ。
「そうか、貴様は危険なようだ。ここで死んでもらう」
「それより、君の名前は?」
「そう言えば言ってなかったな。冥土の土産に覚えておけ。私は、帝国軍百人隊長、ブボミス・ガルダインだ。お前の名は?」
この時、いつもならミナリス、と名前だけ言っているところだが、相手もフルネームで名乗ったため特に考えずに、自分もフルネームで名乗った。
それにより、思わぬ情報を得ることができることになる。
「ミナリス・ラーウィンだよ」
「何?ラーウィン……だと?」
その問いに、ミナリスの顔が歪んだ。
『ミナリス、この人間お前の親について何か知っているぞ』
「分かってる。予定変更だね。こいつだけは生かしておく」
ここに来て、ようやく手掛かりが見つかりそうなため、この百人隊長だけは生かしておくことになった。そして、手加減ができるようになっていたことが、幸運だった。何せ、殺さなくて済むんだから。
「何を一人で喋っている?まあ、いい。もうお喋りは終わりだ。そろそろ死んでもらうか。お前らかかれ!」
隊長の号令により、集まっていた約50人の兵士が一斉に突撃してくる。
ミナリスは、数を減らすためにいきなり魔眼を使う。
すると、突如ミナリスの眼に写っていた兵士が、消えた。初めから存在しなかったかのように、肉体も武器も防具も一瞬にして消え失せた。そしてそのことに疑問を持つ者は、この場にはいない。なぜなら、存在が消えたからだ。つまり、消えた兵士たちは、最初からいなかったことになったからだ。
それが、最強格である、『消滅の魔眼』の能力。その強さゆえに、悪魔でさえ持つ者は少なく、現在では、悪魔の王である一体しか、持っていない。
一歩間違えば、自分の存在さえ消してしまう魔眼の力を、ミナリスは、完璧にとは言えないがそれでも使いこなしていた。
大人気なくも、ミナリスを囲んで攻撃して来た、4分の1がいなくなったことにより、一気に場所が開けたことになる。
ミナリスに接触しようとしていた後ろの部隊が、天から降って来た雷により黒焦げになり死んだ。
ミナリスの放った、黒雷である。
残り、約半分。
ここに来て、目の前の少女がただの少女ではなく、人外の類だと気が付き始めた。
今まで、急に攻撃し、不意打ちで兵士を殺したため、力がないただの少女、または、街を滅ぼしたと言っても、見た目が見た目のため、舐めていたのだ。
それが、この人数で囲んでいるのに、恐怖せず、しかも自分から攻撃してくるなんて想像さえしてなかった。
そして、あっという間に半分になってしまった。
「目の前の敵を全力で倒せ!」
ここで、ブボミスが叫んだ。
あまりにも一方的だったため、看過できなかった。
その間にも、訓練していた、剣での攻撃をミナリスは準備していた。
2秒もあれば、ミナリスが魔力を込めるのには十分な時間だ。
ただでさえ、黒い霧が出ているため禍々しかった黒剣が、立ち昇るような余計禍々しい黒い炎を出し、まさに“魔剣“と言える剣となった。
それを見た、兵士は怯え後ずさる。そんな兵士に、ブボミスが一喝する。
「それでも、誉ある帝国軍の兵士か!?臆するな!!!」
その声により、竦んでいた体に力を入れ、目に殺意を募らせ武器を構える。
『ミナリス、人間どもが覚悟を決めたようだぞ』
「うん、殺気が濃くなったね」
『ああ、だが、お前はもうただの人間じゃない』
「うん!」
もう、ドュルジの中に迷いは無かった。
ミナリスが、悪に染まっていくならば、自分は悪魔としての役目を全うしよう、と。
非道で非情で残忍な悪魔としての本性を現したドュルジがついている限り、これまで以上にミナリスは、残酷になっていく。そしてそれは、ミナリスの変質をますます早めていくことになる。
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