5話
次レインサイドに戻ります。
sideとある冒険者
『Cランク昇格おめでとーーーーー!!!!!』
俺の名前は、レッド。今さっき、Cランク冒険者になったばかりだ。
冒険者は、F〜SSSランクまである。
Fランクは駆け出し、Eランクが初心者、Dランク初心者を抜けたころで、Cランクは一人前、Bランクは一流、Aランクは超一流。Sランクからは、人外と呼ばれ、SSSランクになると一人で国を相手取れるらしい。世界でも、5人しかいないと言われている。
魔物も、同じランクわけで、S、SSランクは、災害級と呼ばれ、SSSランクは、厄災級と呼ばれる。それ以上は、測定不能と判断される。(龍王など)
冒険者のランクと違うのは、同じランクだからといって、同じランクの魔物を一人で倒せるかというとそれは違う。基本、3〜6人(1パーティー)で当たれば倒せる基準だ。Sランクの魔物には、Sランク冒険者が最低5人は必要と言われるほど桁が違ってくる。
今日は、俺たち『竜の牙』で、オークの討伐に行き達成したため、ランクが上がり、晴れて一人前のCランクになれたわけでその祝勝会をしている最中だ。
「なあ、シドニー知ってるか?」
「なによー?」
「この国の、王子が新しく騎士団を作って、王子の護衛の五帝?とか言われてるやつがバカ強えって話だ」
シドニーは、猫の獣人で斥候をしている少女だ。
「その実力、かの十三使徒も敵わず!ってやつだろ?ただの噂じゃないのかそれ」
タンクのマイケルは、信じていないようだ。そういう俺も信じていない。なぜなら、十三使徒は誰も彼も人を超越しているからだ。実際にその実力を知っている人は多い。故に、帝国は恐れられている。
「やっぱりかぁ〜〜〜。でもさでもさ!あの、冥府のダンジョンを突破したのって五帝の一人らしいぞ!」
「あ!それうちも聞いた!」
冥府のダンジョン。世界で突破することができないとされている、3大迷宮の1つである。全100階層で、出てくる魔物はSランク以上。SSSランク冒険者ですら未だに10層までしか行けていなかったのに、最近になって突破されたとの噂が広まり、調査団が派遣された。その後、誰が突破したのか国から正式に公表があり五帝の実力を疑う者は少なくなった。
「なんでも、『つまらんとこだった』って言ったみたいで、傷1つなかったって!」
その話を聞くと、現実味があまりない。自分たちは、Bランク指定のオーガを倒すことすらギリギリいけるかいけないかなのに、3大迷宮の1つが突破されたなど、すごい人がいるんだな〜くらいにしか思えない。
「それにしても、最近の王都は治安がいいなー」
「なんでも、王子様がスラムを無くしたらしいですよ」
そうなのだ。この、ウィルムンド王国の王子、レイン様がスラムを無くしたのだ。それも、ただ潰すんじゃなくて全員に職を与えながら、一部の者には、騎士団にも入らせたみたいな話もある。
「いいですよね〜レイン様!すごく美しくてかっこいいです!」
「リオネは、王子様が好きなのか!?」
リオネは、うちのパーティーのヒーラーだ。好きなのか聞いたのは、剣士のシギンだ。シギンは、前からリオネのことが好きみたいだけど、そのことに気づいていないのは本人だけという。俺たちは、それを聞きながらニヤニヤしてからかっている。すごく楽しい!
「それに、五帝よりも強いって」
「あ?本当か?」
「そうなんですよ!5年ほど前に魔物の大群が来た時にお一人で殲滅したって聞きました!!」
「あーそれな。数が多すぎて冒険者ギルドと騎士団が協力しながらあたる予定だったらしいけど、王子様がさっさと終わらせたみたいだな」
実際に見てた人から聞いた話だが、敵の大群は、優に10万は超えていたらしい。それを、王子様は、当時10歳で倒したという。その戦い方は、あらゆる魔法を使いながら、剣を振るうとその一振りで数百の魔物が、死に、魔法は天変地異を起こすほどとのことで、王都にも、結界を張り誰一人かすり傷さえつけずに倒していたそうだ。それに、雑魚敵だけではなく、Aランクに、上はSSランクの魔物も10体程いたらしい。
「見てみたかったなあ〜」
確かに、みてみたかった。
そんなことを話していると、周りがざわざわとしていることに気づいた。
「あっ!ゴランさんだ!」
シギンが声をあげた。
Sランク冒険者の紫電の称号を貰ったゴラン・バーディスさんだ。3人パーティーで全員がSランクというすごいパーティーなんだ。戦っているとこを見たことがあるが、確かに、人外の強さだった。とてつもないステータスに、凄まじい連携、敵を一方的に倒していた。
「いつか俺たちも、Sランクになってその上も行きたいな!」
「そうだな、でもまずは、Bランクに上がるところからだぞ」
キラキラと少年のように夢を語っていると、急に現実を突きつけられてしゅんとしている。そのことに、いんなで笑いながら、こんな毎日が続けばいいなと思っていた。
この時はまだ平和にこのまま時間が過ぎていくと思っていた。