64話 魔眼
ある早朝に、ミナリスは激痛に目を覚ました。
「ううぅぅ……あぐぅ………!」
目が焼けるような痛みに襲われ、眠気などさっぱりなくなり、飛び起きた。
痛覚耐性を高いレベルで持っているにも関わらず、痛みにのたうち回るほど感じている。
それは、スキルを超える痛みを感じているということだ。
『ミナリス?どうした?』
「目が……!」
『何?』
ミナリスの前に、透き通った水が現れ、ミナリスを写す。
このくらいの魔法なら、干渉できるようになっていた。
『これは……!』
そこで、ドュルジが見たのは、目が赤く濁り、視点が定まっていなかった。
元のミナリスの目は、澄んだ蒼色だったのが、右目だけ紅くドロドロとしたものになっていた。
なぜ、こうなったのか理由はわかっていた。
『魔眼……か。やはり来たか』
「うわああああ!く、くぅぅ」
魔眼を得ても、ミナリスの場合は、魔眼固有の能力がなかった。それはつまり、きちんと開眼していなかったことに他ならない。
鑑定眼などでは、痛みは発生しない。特に強い眼の時などにしかならない。
しばらく、と言っても、ミナリスからすればかなり長い時間激痛に悩まされていたが、急に治った。
「ぐぅうぅ、痛かったぁ」
『ミナリス、眼を見てみろ』
「え?」
『早くしろ』
ドュルジにしては珍しく急かすような声に、焦りながらもまだ空中にある水を見る。
「え!目が赤くなってる!」
『やはりか、次はステータスを見てみろ』
「うん」
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【名前】ミナリス・ラーウィン
【種族】半人族 【性別】女 【年齢】10歳
【称号】復讐者、悪魔の契約者、虐殺少女、悪神の寵愛
【Level】294
【HP】583700/583700
【MP】∞
【STR】479.000
【VIT】483.000
【DEX】472.900
【AGI】689.000
【INT】1.925.400.000
【ユニークスキル】
[消滅の魔眼][破壊の魔眼][侵食の魔眼][不浄世界][黒炎][黒雷][悪魔の鎧装][瘴気の武器庫][魔力の供給][超速再生][魔力支配][状態異常無効][即死無効]
【スキル】
[剣術Lv.MAX][槍術Lv.8][鎌術Lv.MAX][刀術Lv.MAX][短剣術Lv.8][体術Lv.8][身体強化Lv.MAX][魔力精密操作Lv.MAX][気配察知Lv.MAX][敵意感知Lv.MAX][危機察知Lv.MAX]
【魔法】
[炎魔法Lv.MAX][水魔法Lv.MAX][雷魔法Lv.MAX][闇魔法Lv.MAX][腐食魔法]
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「おおお!!!レベルが後少しで300だ!」
ミナリスは、久しぶりのステータスを見て、テンションが上がっているが、ドュルジはじっとステータスを見て考え込んでいる。
子供ではあり得ないレベルだが、強力な魔法を使い、高ランクの魔物を狩りまくってればそうなるだろう。
それよりも、ドュルジが見ているところは、まず種族の欄だ。
半人族。悪魔に変質しているのは分かっていたが、あまりにも早い。混ざるのではなく、変質だ。人から悪魔に変わっているのだ。
そして、問題の魔眼だ。
(片目だけで、まだ完全とは言えんが、それでも3つもの魔眼が開眼している。消滅に破壊に侵食か……攻撃特化な眼だな。かなりレアだ。それと、不浄世界……我の不浄の権能の下位互換、か。人には過ぎた力のオンパレードだな)
ドュルジの感じている通り、人が持つには大きすぎる力ばかりだ。どれか一つでも持っていれば、勇者にも魔王にもなれるほど強力なものだ。
それに、通常ユニークスキルは強者でも、3、4つが最高だ。5つもあればそれは、天才の中の天才と言われる。そのユニークスキルを10個も持っている。魔眼も含めれば、13個だ。このことが周囲にバレれば化け物呼ばわりされるだろう。
どの世界でも、過ぎた力は恐怖の対象になる。
ミナリスの容姿も少女だが、その力がバレれば、排除しようとするか利用しようとするものが現れるか、そのどちらもか、だろう。
そして、後者の方が多いだろう。まず、幼いという点で、操りやすいと思われる。
だが、ミナミナリスに限ってそれはない。ドュルジがいるからだ。
「ドュルジ!魔眼って何?さっきの痛みと関係あるの?」
『ああ、魔力を目に注げば使える。だが、今はーー』
「おお!早速やってみる!」
『待て!』
ドュルジの警告も虚しく、子供ながらの好奇心で、魔力を流し出した。
すると、
「え?」
目の前の宿の壁が突如、消えた
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