60話 悪魔の能力
矛盾があったので一部修正、削除しました。
「兄者あああああああ!!!!!!」
兄が一瞬にして殺され呆然としていた、弟が絶叫を上げる。
誰が殺したかは、明らかなため兄を殺された怒りに任せ、ミナリス目掛け短剣を握り締め、走る。
「お前も死ね!」
「ッ」
ミナリスが無造作に手を振った。
すると、黒い炎が地面から湧き上がり、弟を覆い尽くした。
やはり悲鳴すら上げれずに、そこに誰もいなかったかのように消えた。
「すごい!すごい、すごい!」
ミナリスは、自分が使った魔法の威力に驚き、すごいすごい、とはしゃいでいる。
『当たり前だ。人間に我の魔法が耐えられるわけがなかろう』
「魔法?」
『さっきのは、黒炎だ』
「おおお!こくえん!」
『しかし、お前は今まで魔法を使ったことがないだろう?』
「うん!」
『…………』
元気に返事をする。
それもそうだろう。ついさっきまで、街で普通に生活していたのだ。ただ生活するのに魔法は必要ないし、魔法を習う機会も、もちろんない。
心なしか、ドュルジがジトッと見ている気がする。
『得た力を使いこなせるようになれ』
「さっきの黒炎?使えるもん!」
『あれは、悪魔が使う魔法であって、我の能力ではない』
「そうなの?」
魔法とか能力とか言われても、ミナリスにはピンとこない。
『まずは、魔力を感知することから始めろ。黒炎の使い方もきちんと知れ』
「黒炎ちゃんと使えるもん!」
子供ながらの意地を張り、もう一度黒炎を使うため、両手を前に出す。
「えい!」
可愛らしい掛け声を上げながら黒炎を放つ。
「え?」
しかし、現れたのは、圧倒的な魔力の塊だった。
魔力弾が飛び、目の前の木が消し飛んだ。それだけに収まらず、その後ろの木数本を吹き飛ばした。
『お前は、適当に自分の中にある力を放っているだけだ』
「むぅ」
『だからまず、魔力を感じることから始めるのだ』
「分かった。でも魔力ってこれ?」
そう言いながら、掌を上に向ける。
すると、黒いもやもやとしたものが現れる。
『それは、瘴気というものだ。魔力とは違う』
「へぇーそうなんだ!」
いくら親を殺した者だとしても人2人を殺したとはとても思えない雰囲気だ。
側から見てら、少女が掌から、黒い霧を出している光景だ。それに、空中に向かって1人で喋っている危ない子供と映るだろう。
『さて、魔法を教える前に、代償のことを覚えているな?』
「代償?って何?」
『…………力を与えた対価だ』
「あ、なんか言っていたね。それで代償ってなんなの?」
『魂を10万我に捧げよ』
「魂ってどうやって集めるの?」
『生物を殺せ』
「分かった!」
無邪気に応える。
簡単に言えば、人間を10万人殺せ、と言っているようなものだ。
そのことをミナリスはしっかりと理解していた。
もし、後数年経っていたなら、忌避感などを感じていただろう。しかし、そういうことを学ぶのは、これからだ。それに、親を目の前で殺されるという光景を見たことにより、殺人ということに関しての、忌避感がほぼなくなった、とも言える。
『では、そのために鍛えるぞ』
「うん!頑張る!」
★★★★★
sideレイン
「お、悪魔が干渉したか」
レインは、悪魔がこの世界に干渉したのを感じた。
その光景を実際に視ながら、笑う。
「ふふ。よっぽど助けを願ったんだろうな」
「そうでございますね。しかも、高位悪魔」
普段セバスは人の姿をしている。
しかし、セバスの正体は悪魔だ。それも、レインが直接創った原初の悪魔の1人だ。
「ドュルジですね。不浄を司っている高位悪魔です」
「悪魔は普段魔界から出てこれんが、まあ、これぞ悪魔って感じで契約を持ちかけたな」
「それも、感情を操りやすい少女を選びましたね」
よく、『七つの大罪』というのを聞いたことがあるだろう。
『傲慢』『憤怒』『嫉妬』『怠惰』『強欲』『暴食』『色欲』のことだ。
悪魔は、これらを司っている。(例外もある)
ドュルジは、これから外れ、不浄を司っている。その場にいるだけで、大気を汚染していくそんな存在だ。
「あの少女には過ぎた力ですが、大丈夫でしょうか?」
「悪魔と契約する内容によっても得る力は変わるが、今回は10万の魂だからな。かなりの力を得ているだろうな。それにドュルジの魔力を使えるってことは、魔力総量では、この世界最高だろう」
「と、いうことは。扱えきれなければ、自滅、ということもありますな」
「そこは、頑張ってもらわんとな」
「今回は手を貸さないので?」
セバスが聞いてくる。
基本的に、面白そうな要因には手を貸し(手を出すとも言う)さらに、レインが面白く感じるようにしているが、今回のことは少し迷っている。
しばらく、無言で考え、口を開く。
「いや、今回は手を出さん。ドュルジに全て任せる。魔族、人族の勢力に、第三勢力となり得るだろうからな。それに、悪魔を現界されることが出来れば、それこそ面白そうだ」
現界……悪魔を人間界に呼び出すことだ。
悪魔は魔界。神は天界。というように、存在する場所がある。力が強すぎる故に、人間界に干渉することが出来ないのだ。
だが、それにも抜け道はある。それが、契約だ。
「現界、ですか」
セバス程の大悪魔は大丈夫なのかというと、レインから創られた創造物はその理から抜け出している。
というか、セバスが力を抑えずにこの場にいれば、ただそこにいるだけで、世界が壊れる。それほど、セバスは、他の悪魔とは格が違う。
「……しかし、10万か…………中々に喰うな」
「確かにそれだけ喰えば格は上がるでしょうな」
悪魔が魂を契約の対象に選ぶのにはそれが理由だ。もちろん他にもあるが。
「さて見ものだな。少女の大量虐殺が!」
レインの顔に悪魔の笑みそのものが浮かぶ。
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