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超越神の世界旅行  作者: sena
第3章 戦争編
58/266

55話

 sideレイン


「そこだ!そこ、そこ!……あちゃー」


 俺は現在、大画面のモニターで魔物使いの魔族と兵士の戦いを見ていた。

 最初は、1000人程いた兵士も今や半分以下にまで減っていた。


 相手は、マンティコアにコカトリスだ。

 マンティコアはAランク、コカトリスもAランク。しかし、魔物使いの魔物は魔物使いの力量によって強さが変わる。

 実際、あの魔族は、魔将の1人だ。それも、魔物を使っているのは、自分が戦うのがめんどくさいから、と言う理由であり、使っている魔物より弱いはずもない。


「あーあー、もう終わっちゃうのかー」

「それも仕方ないと思われますよ」

「アストレアか」


 後ろに気配が現れ、アストレアが現れる。


「アドニスも一緒か」

「レイ様。魔将の方が才能あるんじゃありませんか?」

「そこなんだよな〜。ただ、魔将は10人いるから、パワーバランス崩れるから、四天王にしたってことだ」

「そうなんですか……それで、SSくらいには上がってますけど、人間の方は勝てますかね?」

「無理でしょう」


 俺が答えるより先に、アドニスの問いにアストレアが答える。

 アストレアの答えは、もちろん否定するものだ。

 たかが兵士に将クラスに勝てるわけがない。


「それでも、あの者は頑張っていますね」

「あいつだろ。そうなんだよ。人間らしく足掻いて足掻いて……どうしようもない程追い詰められて、死ぬ」

「確かに、レイ様の好みですね。弱者が強者に挑み、逃げることも出来ずに死ぬ」

「前読んだ、らいとのべるなる小説には、ああいった追い詰められた者が、いきなり覚醒し強くなるなんて言う物がありましたね」


 物語ではな、と心の中で、言いながら画面を見る。

 魔将の方は、さっさと終わらさせたが、魔物の方は完全に遊んでいるため、まだ全滅はしていない。


「でももうそろそろだよろ」

「そうですね」

「ええ、魔物の方もいつまでも遊んではいないでしょう」


 まさにその時、魔物に動きがあった。








 ★★★★★

 sideジーヴェル


「クソッ!いくらなんでも強すぎだろーが!!」


 ジーヴェルはつい悪態をついてしまう。

 横を見ると、仲間の死体の山。魔族の相手をしていた隊長たちも容易く全滅している。

 定石通り、部隊を分けて当たるところだが、今回ばかりは失敗だった。

 魔物一体一体がこれ程強いとは思っていなかった。


(こんなことなら、一体づつ確実に仕留めればよかった!こんなの隊長クラスを集めなければ勝てる相手じゃない!)


 ジーヴェルは、冷静に敵を見、観察する。まだこんなところでは死ねない、と。


(コイツらの情報を持っていかなければ!)


 マンティコアの方は、獲物(兵士)を殺し尽くし、食べている。コカトリスも、ジーヴェルたちを睨みながらも涎を垂らしている。早く殺して自分も食べたい、そんな顔だ。

 ジリジリと内から焦がしそうな緊張に耐えながらも何か隙はないかと探しているが、その時、魔族の声がした。


「あれ〜〜〜?まだ死んでないの〜〜〜?」

「!?」


 間延びした、この惨状を作り出したと言っていい元凶の魔族が現れた。

 最初現れたときと同じように木の上から声をかけて来た。


「でさ〜〜〜君は何遊んでるのさ〜〜〜?」

「コケッコ、コケッ!」


 慌てたようにコカトリスが鳴く。

 そして、ジーヴェルの方に殺気だった目を向け羽を羽ばたかせる。その時の風圧で、近くにあった死体が舞い上がり、血の匂いが濃くなる。


「君もさ〜〜〜周り見なよ〜〜〜あと君だけなんだからさ〜〜〜」

「それは、どう言うっ!?」


 魔族の言葉を受け、周りを見た。

 すると、そこには、さっきまでは仲間の兵士が数十人はいたはずだが、それが1人もいない。いや、正確には、ジーヴェルただ1人だけとなっていた。


「みんなは!」

「殺したに決まってるだろ〜〜〜?邪魔するからこうなるんだよ〜〜〜」

「ちくしょー!」


 あまりにも悔しく、何も出来ないことに、拳を固く握る。手の皮が裂け血が滲む程に。

 涙を流しながら、悔しさのあまり叫ぶ。

 しかし、叫んだところで何も状況は変わらない。戦力差は圧倒的で、絶望的だ。


「僕の邪魔する者は全員殺す〜〜〜死ね」


 魔族の命令に、コカトリスと食事をしていたマンティコアまで、ジーヴェル目掛け突撃する。

 剣を前に出し、防御するが、コカトリスの爪により折られる。柄だけになった剣をコカトリスの顔目掛け投げつけ、横に転がる。

 しかし、避けた先には、マンティコアが顎門を広げ噛みつかんとして来た。


(グギギギギッッッ!クソクソクソ!」


 右肩を食われながら、左手でマンティコアの顔を殴り付ける。

 レベル差もあり、全く聞いた様子もないがそれでも我武者羅に殴り付ける。

 大量の血が流れ、意識が朦朧として来ても殴り付ける。

 殴って殴って殴って、手の骨が折れ、砕け、裂けても。

 ジーヴェルにとっては、とても長い時間そうしていたよう感じたが、次の瞬間プッツリと意識が黒く塗り潰された。

 マンティコアによって、頭を噛み砕かれたからだ。


「終わった〜〜〜?」

「グルッグルルッ!」

「コケッ!


 2体の魔物が魔族の少年に、媚びた目を向けながら近づいて行く。


「はあ〜〜〜めんどくさいなあ〜〜〜今回は、人数も増えていたしさ〜〜〜。このままだと……計画に差し支えが」


 ため息を吐く。


「仕方ないか〜〜〜これ以上連れて来られてもめんどくさいし、こっちから行くか〜〜〜」

「グルゥ?」


 マンティコアが「どうしたの?」とでも言うように、首を傾げながら鳴く。


「ん〜?この近くの街に〜〜〜この軍を送って来た奴が〜〜〜いるはず〜〜〜なら、街を潰す」


 顔から表情を消し、呟く。

 主の声に、従魔たちが咆哮をあげる。喜びの声だ。


 それから程なくして、街が蹂躙された。

 そのことを、()()()()()()()()()()()()が大声で笑っていた。








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