53話
多少落ち着いたので更新出来そうです!
多分。
sideレイン
「ん?ブルムドが迷宮入りしたか……って早速死んでる。姿だけで舐めてかかったか」
ブルムドが暴龍の訓練に参加したいって言うことは分っていた。
俺が第一王子として産まれる前は、王国最強と言われていた。それを言われるだけの実力も実績もあった。
帝国の使徒と戦えるのは騎士団長だけだろう、とも言われる程。
しかし、ブルムド自身は、はっきりと感じていたから、強いと噂されている暴龍の訓練を見てみたかったのだろう。
「まぁ実際、成員の1人にすら勝てないんだけどな……」
「主人……?」
「ああ、ハクか。訓練はいいのか?」
「はい、一通り終わりましたので!」
確かに、もふもふのレベルが上がっている。
毛並みがよくなり、艶が出ている。それに、すごくさらさらだ。
まぁ、冗談はこのくらいにして、よく視ると、魂の純度が上がっている。
存在値が前の数十倍にまで、膨れ上がっている。
「うむ、うむ。このまま励めよ」
「お役に立てるよう頑張ります!」
うんうんと頷く。
さすが、神に造られた神獣と言うだけある。
「それより、他の方たちは?」
「ん?ああ、自分の担当世界にいるぞ?あいつらも管理者の1人だからな」
「担当世界……?管理者……?とは、いったい……」
「ハクは知識を与えられてないのか。今度連れてってやる。ただ、今より二段階は強くなっておけよ?」
「……どうしてでしょうか?」
ハクの強さは、出会った頃に比べて、遥かに強くなっている。
もはや、生半可な神にすら勝てるだろう強さを得た。
それでも、俺の配下が管理している世界は次元が違う。
昔から俺に仕えている者の中には、狂信者と言っていい程の奴もいて、ぽっとでのハクが俺の側にいるってだけで、消されかねない。
そのことをハクに伝えると、
「それ程の人物が……?」
「当たり前だろ?五帝に今のお前が擦り傷でも付けられるか?」
「それは……出来ません」
「正直でよろしい」
頭を撫でながら、褒める。
力の差すら感じられん愚者だったらいらないところだった。
悔しいのか目元が険しくなっている。
そんなハクの頭をぽんぽんっとしながら言う。
「その調子で頑張れ。それに気にするな、五帝は最古参だぞ?たかが数十年の鍛錬で、その領域に行けるはずもなかろうが」
そうまで言ったが、力で負けていることだけじゃなく、力がないせいで役に立てないことに悔やんでいるみたいだ。
別に気にすることもないのに。だいたい、驚くべき速さで強くなっている。本来の成長速度ではありえないことなのに、だ。
神獣……神に造られた獣。世界の調停者としての役目が来るまで基本的に眠っている。
つまり、創造者である神の力量によって神獣の強さや才能など全てが決まると言っても過言ではない。そして、ハクを造った神は、そこまで強い訳ではない。それなのに、これ程早く強くなったのは一重にハクの尋常じゃない努力のおかげだ。無茶に無茶を重ね、さらに無茶を重ねてなお、届くかどうかのレベルに今のハクはいる。一歩間違えば魂ごと消滅する訓練をしている、それも俺の役に立つ、ただそれだけのために。だから俺もハクを気にいっているし、側に、頭の上に乗せることもあるくらいだ。
「今度俺が直接鍛えてやる」
「っ!本当ですか!?」
バッと顔をこちらに向け、尻尾がちぎれんばかりに振られている。
「さてと、これから面白くなるぞ。世界を巻き込んだ戦争が始める」
「主人!それだと他の神獣がっ」
「気にするな。それに、出てくるなら出てくるで、面白い」
同類が俺には向かうのが気にかかるのか……それとも…………
「どっちにしろ、構わん。面白くなればいい。それに、な、戦争が始まれば自分たちに足りないものが何か、敵にどうやって勝つか、色々と考えるようになる。そして、結果的に強さを求めるものも出て来る。それが個人なのか国家なのかはそれぞれだがな」
人は争いの中で成長していく。
日本だってそうだ。敵を効率良く殺すために刀が生まれた。武術が生まれた。彼我の戦力差を覆すために戦術、戦略が生まれた。そして、もっと効率良く殺すために銃器が生まれた。爆弾が爆撃が……。
たくさんの人の死により個人が国家が世界が強くなっていく。
だからこそ日本は惜しいとも思っている。
ステータスが世界的に隠蔽されているため、レベルが上がることもスキルを習得することもましてや魔力を感知することも出来ない状況で、個人ではなく外部に力を求めた結果が、原爆などの破壊兵器だ。それなのに、使わずその存在をチラつかせるだけに留めている。
地球が壊れるとかなんとか言って、お前たちが思っている程世界は柔じゃないって言うのに。
その点この世界は魔法もあり、スキルもある。
個人で国を相手にすることが出来るまで強くなることが可能だ。(全てがそうではないが)
個人でも強くなり、また国、軍隊でも強くなったなら、どれ程の争いが起きるのか。
「すごく……すごく楽しみだ」
「主人!もし……もし、他の四神が主人に牙を向けた場合は我に処罰させて下さい!」
もはや懇願するように、目を伏せ、器用に俺の膝の上でお辞儀をする。
「なら、その時は、お前が対処しろ」
「ありがとうございます!」
心底嬉しそうにお礼を言う。
四神……いや、神獣の役目とは、世界的危機に陥った場合にのみ、それに対処する。
例えば、異界から世界が滅ぶような者が侵略してきた場合、人類が滅ぶほどの厄災、などが起きた時、世界を守れるように桁外れな力を与えられている。
つまり、ハクが懸念しているのは、俺が世界全土を巻き込んだ戦争を起こすと言っているから、神獣が出張って来るかも、と思っての発言だ。
と言うか、四神が今のハクを相手にした場合1秒も持たんだろう。
「相手の出方次第によっては、仲間にしても良いぞ」
そう言うと、尻尾激しく振られた。軽く風が吹いている程だ。
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