46話 戦争勃発からの……
side平原
そこには、大量の兵士が向かい合っていた。
一方は、ウィルムンド王国。
レイン直属の騎士団。暴龍騎士団、数にして700。
様々な種族がおり、それぞれが己が武器を持ち、100人ごとの列を組んで並んでいる。
一番前の列には、隊長が3人が敵陣を睨んでいる。
一方は、ガラステラ帝国。大陸最大の国であり、最高の軍事力を持ち、世界最強と名高い十三使徒がいる国でもある。
将軍をはじめ、かなりの数が集まっている。その数、38万。
その中でも、目立っているのは、紅い鎧を着た男、濃い紫のローブを着ている女。美人と言われる部類の女性だ。
この2人は、十三使徒の第十使徒と第十二使徒だ。戦争では、十三使徒が出ることはほとんどない。何故なら、十三使徒が強いと言われ隠れているが、軍を率いる将軍の一人一人も強者と言われる人物たちだ。
将軍も10人おり、目の前の敵陣を殺気立ちながら睨んでいる。
それも仕方ないと言える。人数を見れば王国が帝国を舐めていると思われても仕方ない程の差だからだ。
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sideカールナバー(第十使徒)
自軍の陣地に構えながら、カールナバーは同じ十三使徒のオリビアに話しかける。
「何故我らが出張らないといけない?あの程度の人数で」
「仕方ないわ。セルビス様が行けとおっしゃられましたもの……でも、確かにあの数相手に、なんて……少し、我ら帝国を舐めていませんこと?」
オリビアの殺気に、怒りを募らせていた帝国軍がサッと冷静になり、恐怖によりカチャカチャと鎧の音が鳴る。
「オリビアその殺気収めろ」
「あ、ごめんなさい。でもイラつきますわ」
殺気は収まったが、オリビアの怒りは収まらない。
「だが前にいるあの3人。注意しろ」
「ん?どうしましたの?第十使徒ともあろう者が臆したとでも?」
「それはない。我らに勝てる者などいるはずもない」
「そうですわ。匹敵という面では、魔王軍の四天王ですが、上位の使徒なら勝てますもの」
「そうだな」
カールナバーは苦い表情をする。
カールナバーが十三使徒に入ったのは、約10年前だ。
当時、自分は最強!と思っていた。帝国の試合でも優勝し、見事第一使徒セルビスへの挑戦権を得た。しかし、軽くあしらわれた。見事に遊ばれ、今でもあれ程の屈辱はないと思えるくらいだ。
しかし、その時の試合のおかげで十三使徒になれた。
十三使徒に入るには、いくつかの方法がある。
まず一つは、既存の使徒が死んだ場合、強さがあれば使徒の席に着くことができる。
もう一つは、使徒に挑み勝てればその席を奪い取ることができる。
将軍の中にも、使徒の席を欲しがるものは多い。そして挑み、負けている。
それほどまでに、使徒の強さは半端ない。それに、上位の使徒ともなれば人外すら超えているような化け物ばかりだ。
使徒のメンバーも上の席に挑み勝てば順位が逆転する。
カールナバーも挑み続けている1人だ。
「それよりそろそろ始まりそうですわね」
「ああ」
帝国軍には、余裕の表情をしている兵士が多い。
開戦を今か今かと待っている。
カールバナーが開戦の合図を発した。
「帝国に敗北はない!それに今回は、我ら使徒もいる!……進め!!!!」
『ウオォォォォォオオオオオオオオ!!!!』
雄叫びを上げながら、突撃する。
王国騎士との距離、後300m。
残り、150mになった瞬間前列を走っていた兵士1万が吹き飛ばされた。
「は?」
思わず、カールナバーが声を漏らした。
「……何が起こった?」
「し、知りませんわ……!」
オリビアも動揺しているのが分かる。
150mを越えた瞬間に次々と吹き飛び、死んでいった。
すでに、3万の兵士が死に、思い切り走った力を簡単には殺せず、どんどんと死んでいった。
屈強で知られる帝国軍兵士が、恐怖に悲鳴をあげ後ろを振り返り逃げ帰る。
「クッ、逃げるな!進め!!!」
カールナバーが命令する。
他にも将軍が声を張り上げ、鼓舞しているが進んだ瞬間に吹き飛ばされ死ぬという、どうやって殺されたのかすら分からない攻撃に怯え、声が裏返っている。
しかし、仲間に隠れ攻撃を凌いだ兵士が1人抜け、王国騎士の1人に斬りかかる。だが、運が良かったのはここまで、一刀の元に斬り伏せられる。
「我らが行く!行くぞ、オリビア!」
「え、ええ!」
逃げ帰って来た、兵士を将軍に任せ、使徒2人で攻める。
この2人が行くことに、絶望していた兵士の顔に希望が宿る。
「やっと来たか、お前たち下がれ」
隊長と思わしき男が、兵士を下がらせる。
ここまでの距離に来て、何故兵士が殺されたのかを悟った。
(おかしい!この騎士たち一人一人が我らに近しい力が!?……まさか、ありえん!)
「帝国、十二使徒が一人第十使徒カールナバーだ!」
「同じく、第十二使徒オリビアですわ!」
「…………」
カールナバーとオリビアの名乗りに、無言で答える。
カールナバーはイラッとしながら言う。
「お前たちは何だ!」
「ん?ああ、俺たちの名前を知りたいのか。俺は、暴龍騎士団第5隊隊長ハルゲンだ」
「同じく第6隊隊長グレースと言います。別に覚えなくてもいいですよ。ここで死ぬのですから」
「第7隊隊長、どうせ死ぬ奴らだ。言っても意味ない」
カールナバーは、怒りに震えるが、思考は至って冷静だ。
鎧と同じ真っ赤な剣を腰から引き抜き構える。
オリビアは、手にしていた杖を構える。
次の瞬間、目を離さなかったにも関わらず、オリビアの首が落ちた。
「なに!?……何をした!?」
「いや、敵に教えるわけないだろ」
もっともだ。
「クソッ、はあ!!!」
一息で、ハルゲンの懐に飛び込む。
姿勢を低く、回転を加えながら心臓目掛けて振り抜く。
(取った!)
カールナバーは、その時何の反応も示さないハルゲンに対し、反応し切れていないと判断した。
だが、どんどん自分の視点が地面に近づくのを見て、疑問に思う。
(なんで、俺の体が……?あ、れ?)
そこで、カールナバーの意識が途絶える。
最後まで、自分が負けたと気付くことも痛みも感じることもなくこの世から消えた。
「使徒と言ってもこの程度か」
首だけになったカールナバーの死体に目をやり、呟く。
「そりゃそうでしょうね。あの地獄すら生温い訓練と言うか拷問に耐え、さらに、龍も宿しているんですから」
「ハルゲンが2人とも取りやがって、俺もやってみたかったぞ」
「いや、すまん。あまりにも弱くて。これなら、こいつら2、3人で当たれば余裕だったな」
暴龍騎士を指差し言う。
「龍の力、使ってない」
「いや、いや、いや。あの程度に使うまでもないでしょう。それより」
「そうだな。……お前ら!出来るだけ帝国兵士を始末してこい!頑張った奴にはレイン様からご褒美もあるかも知れんぞ!………(たぶん)」
褒美と聞こえた瞬間我先にと、帝国兵士目掛け駆け出していく暴龍騎士の面々。
「……あいつらぁ、全く」
「仕方ないと思いますよ?レイン様からしたらゴミのような物でも、私たちからすれば国宝級以上のものですから」
「うむ。俺らのこの装備も貰った物だしな」
「ご褒美は俺のものダァ!!!!」と言いながら、兵士を斬り殺している13歳の少年。
「褒美褒美褒美褒美褒美ッッッ!!!!」と言いながら、兵士を斬り殺しているエルフの女性。
「ヒャッハーーーーーー!!」と言いながら、魔法を放ち地面にクレーターを作りまくっている限りなくチンピラに近い男。
「…………もうちょっと矯正する必要がありそうですね」
「まぁ、いいじゃないか。ちゃんと、統率取りながらやっているし」
そうなのだ。これだけ、自分勝手に攻撃しまくっているにも関わらず味方に攻撃を当てず、褒美は自分の物だと叫びながらも連携しながら攻撃しているのだ。
対して、帝国兵士は、負けるはずのない十三使徒がサックリ殺されたことに呆然とし、これは夢だと叫びながら死んでいく者多数。阿鼻叫喚に陥りまともに剣を構えることもできずに殺される者大量。などなど、38万もいた兵士(将軍込み)もその数、1万とちょっとにまで数を減らしていた。将軍も2人程生き残り、しかし、生き残った将軍は、オリビアが殺された瞬間にコソッと逃げていた者で、戦った将軍は全て他の兵士と同じように殺された。
「それで、向こうはどうなったのかな?」
グレースは、目を王国に向ける。
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