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超越神の世界旅行  作者: sena
第2章 勇者編
44/266

41話

 レインは、仁王立ちをし何の防御もしていない。


 対して太樹は、魔剣を腰の辺りに構え目を瞑り集中しながら魔力を高めている。


 魔力の高まりにより、太樹の周りに風が生まれ徐々に強まっていく。

 魔剣に尋常じゃない程の魔力が集められ、それでもまだ注がれる。


 総魔力全てを注ぎ、回復する端からまた注ぐ。

 あまりの魔力に魔剣さえも悲鳴を上げるかのようにカタカタと震えている。


 太樹を中心に突風が巻き起こり、止まった。

 すると、圧倒的な力を内包した魔剣が、よりドス黒く、より鋭さを増した状態で現れた。


「行くぞ!」


 それだけ言うと、残像すら残さずにレインの目の前に現れ、突きを放つ。

 斬撃よりも刺突を使ったのは、力を分散させずに一点に集中できるからだ。


「っ!?これでも届かないのか!?」


 狙った場所は目だ。

 防御力が高くとも体全体が高いわけじゃない。

 もちろん、目や髪や爪といった場所は低くなる。眼球は、特に柔らかいため狙ったがそれでも届かない。

 傷一つついていない。


 それでも諦めずに、何度も何度も眼球一点を狙って突きを放つ。


 何百何千と同じ場所を狙ったにも関わらず貫くことも傷を入れることも叶わない。


「もう終わりか?何の能力も使っていない、ただの身体にすら傷を入れれないとはな」


 レインはそう言っているが、剣帝アストレアですら集中した一撃でなければ傷をつけられないため、完全な無茶振りだ。


 全力を振り絞っての攻撃だったため、息も絶え絶えになり視界も霞んでいる。

 それでも、剣を離さないのはまだ戦う意志があるからだろう。


「もともとお前を殺すつもりはない。ただ、確かめたかっただけだ。この世界に戦乱を、争いを撒き散らしている。だけど、強者がいなければ数の差なんていうもので覆されたりする。それじゃダメだ。そのため、魔王、その側近にも力を与えた。前のままじゃ帝国が強すぎたからな。そこで勇者の出番だ。今よりもっと強くなれ。俺を満足させれるほどに。それと、一之瀬光輝またお前の友人は生き返らせよう」

「!?そう、そんなことが……?」

「出来るに決まっているだろう?俺を満足させれた時の褒美を出さないとな。その時は、何でも願いを叶えよう」

「…………なんでも……」

「そうだ()()()だ。死人を生き返らせるのも、日本に帰すのも、もっと強い力を欲するのもいい」


 力、と言った瞬間に太樹の喉が鳴った。

 圧倒的な強さには正直惹かれる。レインの強さを間近で見た今なら尚更だ。


「それまでは、せいぜい力を磨いておけ。もちろん精神の方もだ」


 そこまで聞くと、不意に意識が遠くなっていった。

 だんだんまぶたが重くなり、体の自由も効かなくなっていき、そこで意識が途絶えた。






 ★★★★★

 sideレイン


「お疲れ様でした」


 そう言いったのは、セバスだ。

 太樹たちを学園の寮に飛ばし、自室に転移したらセバスが待っていた。


「ああ」と言い、椅子に座る。

 背もたれに体重をかけ座る。


「楽しそうで何よりでございます」


 微笑みながらセバスが言う。

 何億年も一緒にいれば気付くか。セバスは日本にいた時にも呼んでいた程だからな。


「そう見えるか?」

「はい。恐れながら、ここ数万年の間暇していたように感じていましたので」

「よく分かっているじゃないか。神魔大戦なんて大層に呼ばれているが大した戦じゃなかったしな。第1〜5世界は神の戦いには参加しないし」

「それはそうでしょう。あの()()()()()()()()()()なのですから」


 そう、五帝にもそれぞれが統治する世界がある。

 その世界の創造神として。


 神魔大戦とは、(しもべ)が創った神が、悪魔と戦った時のことだ。

 神を善、悪魔を悪として創ったためもちろん衝突する。

 大規模な戦が起きるのも時間の問題だった。俺が創った神は完全だが、僕が創った神は完全ではない、しかし力はある。

 それこそ、最上位の神、それも闘神ともなれば、余裕でステータスカンストな程。

 つまり、戦いは苛烈になっていった。


「あの時は楽しかった。俺らが出るとすぐ終わるから観戦だけだったけどな」

「私も先日の戦いで疼いてしまいました」


 先日の戦いって、暗殺者を一方的に虐殺したあれだ。

 セバスも五帝級の力を持っているため、迂闊に全力が出せない。誤って出したその日にはこの世界どころか近くにある世界数個消し飛んでしまう。


「戦いたいなら、五帝と遊んでもいいぞ」

「よろしいので?」

「それ用に空間を創ったからな。5番の部屋だ」

「では、後程寄らせて頂きます」


 俺の部屋には番号を振ってある。3〜5が戦闘用。1と2は、風呂場だ。大浴場にしてある。一日中風呂に入っている時がある程気持ちいものだ。


「あいつが力を求めていたら手を貸してやれ。もちろんお前が直接はダメだ。六元辺りにでも言っておけ」

「九華じゃなくていいので?」

「アストレアも言っていたが、才能が九華程度はあるってだけで、今は全然だ。特に戦闘なんて感だけでやっているようだからな。基礎から鍛え直さんと意味がない」

「なるほど。確かに才能はありそうでしたが、時間がかかりそうですね」

「当たり前だ。さっさとレベルが上がっていったから勘違いしているようだがな。外だけ鍛えられて中が全くだ。よろしく頼むぞ」

「了解しました。全ては御身の為に」





太樹くんの一撃は下級の神程度なら消し飛ばせるほどの威力があります。

ただレインが強すぎるだけです。

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