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超越神の世界旅行  作者: sena
第2章 勇者編
31/266

28話

 召喚された日から1ヶ月が経った。

 さすがにこれだけ経てば、自分の置かれている状況を把握でき、もう帰れないのかと諦め始めている者もいる。

 中には、帰還方法を探すって言っている者もいるけど、まあ、頑張れ、みたいな雰囲気になって、

 一応は応援している。


 1ヶ月間何をしていたかというと、レベル上げに勤しんでいた。初心者用みたいな底レベル迷宮から順に攻略していき、最近知ったことだが、迷宮にも魔物や冒険者と同じようにランク付けがされている。


 1番下は、Dランクで、先日にAランクの迷宮をクリアした。

『紅のダンジョン』という、炎系統も魔物がいて、すごく暑かった。

 馬鹿が、溶岩に突っ込んで片腕溶けたりしたけど、魔物の強さ的にはそうでもないと言えるほどみんなも強くなった。


 全体的にレベル80を超えて、光輝くんに至っては、100になった。僕は、130だけど隠蔽して100ということにしている。レベルアップに伴って新たなユニークスキルを手に入れたり、称号を手に入れたりして順調と言えるほど何も事件など起こらずに強くなれている。


 ただそのことに疑問を持っている者はあまりいないだろう。

 アニメとかでは、序盤から魔王軍からの妨害はあまりないが、考えてみて欲しい。

 これは現実だ。勇者が召喚されたことをしらないわけではないだろう。それなのに、なんのアクションをとってこないのはあまりにもおかしい。

 勇者の成長率は半端ない。それは、団長さんも常々言っていることだ。光輝くんに至っては勝てるほどになり、一部の生徒の中にも10回やれば7、8回は勝てくらいに強くなった。それ以外のの生徒も、互角の戦いができるようになった。これが、つい最近まで戦いのたの字も知らないような学生が、戦って戦ってこの世界で強者と言われるようになった人物と互角なのだ。


 時間を与えれば与えるほど、勇者は強くなっていく。それなら、成長していないうちに殺ってしまった方がいいはずだ。それをしないとは、強くなったところで絶対に勝てると思っている馬鹿か、本当の強者か。


 前者ならいい。後者なら危険だ。


 と、言うわけで、現在は、Sランク迷宮に来ている。

 妨害?来ないなら思う存分レベルをあげさせてもらうとする。するならして来い!って感じだ。


「太樹よ〜」

「ん?」


 迷宮に入った途端に健がなんか言い出してきた。


「ざむい゛ぃ゛ぃ゛!」

「はぁー。だから言ったじゃん。『氷結の牢獄』って言う限りなくSSランク迷宮に近いダンジョンに行くよって。だから、寒さ対策ちゃんとしなよって言ったでしょ」

「だって゛ぇ゛ごんなにざむい゛とは思わながっだんだもん!」

「他のみんなはちゃんとしてるのに……健ってこんなアホだったっけ?」


 今は、5人で来ている。あれから、強くなるにつれて攻撃の威力なども上がって、フレンドリーファイアをしそうになったりしたからだ。

 もともと、最初だったため戦いに慣れると言う名目であんな大人数で行動していたけど、普通に考えて邪魔だ。冒険者も3〜6人パーティーが普通だし。


 最初は、僕と健の2人組で始めようと思っていたけど、1人増えて、いつの間にかさらに2人増えて5人になっている。

 ちょうどいいかなって思ったりもしたけど、前衛4人なんだよね。僕入れて4人だ。

 1人しか魔法使いじゃないため、僕も魔法による援護をしているけど、思った以上に安定して出来ているためこのままパーティーを続けている。

 僕、健、新谷信介、新宮唯亜、島月朱莉の5人だ。全員名前で呼ぶようにしている。


 話を戻すが、産毛が凍り出し、鼻水が垂れて空気に触れた瞬間氷柱になって、ガクブルガクブルしている健に、温暖の魔法をかける。


「はぁぁぁぁああ〜〜〜あってけぇ〜」

「今回だけだからね」

「うっす!あんがと!さっすが太樹だな!」


 本当に分かっているのだろうか?


「他は大丈夫?」

「大丈夫だよ!このアミュレットのおかげで全く寒くないよ!」

「俺もだ!それより、このあみゅれっと?ってどこで手に入れたの?」

「これは、オークションで落札してきたんだ。よかったよ、ここに来る前に手に入って」

「オークション?そんなの出てたのか?」

「……………………………健には言ったよね?」


 思わず白けた目を向けてしまった。


 ここは、ブランド王国から西に行ったところにある都市だ。

 宿をとって一緒の部屋に住んでいて、出かける時はきちんと言うようにしているため、ちゃんと言ったはずだ。3日くらい前のはずだけど、忘れるかな?普通。


「まあ、いいや。それで、2個出してあってね、最悪1つ手に入ればよかったから、残りは、僕が魔法で作ったんだ。よかったよ作れて」


 なぜかびっくりしている。

 なんでだろう?そんなに、難しいことじゃないはずだ。鑑定で、作り方と使っている魔法を調べて同じようにするだけだ。

 あ、そっか!普通の鑑定じゃそこまで見えないのか!


「それより早く行こうぜ!やっぱり、氷の魔物が出てくるんかな?」


 健がワクワクしながら言ってきた。適当に、相槌を打ちながら索敵する。

 突然だが、このメンバーの中に女の子が2人いる。思春期だ、そう言う目を向けられるかもしれないし、襲われるかも知れないって言ったけど、自分たちだけだとすぐに死にそうだから守ってもらえる場所がいい、と言ってきた。死ぬよりはマシってこととかな。

 それに、

 僕たちのクラスは可愛い子が多い。この2人の十分可愛いため、健がなんかうるさいのに困ってる。


 なにが言いたいかというと、魔物にも注意しないといけないのに男たちにも注意しとかないといけないと言う大変な状況なのだ。


 僕?僕は大丈夫だよ。なんでかって?この世界の文化は、中世レベル。ここまで言えば、というかこの手のラノベなど読んでいるいる人はわかってるかも知れないけど、娼館があるのです!奴隷もいるけど、女の子のメンバーがいるため、性処理のために買うのはどうかと思って。

 それに、文明が低いってことは、医学も発達していない。病気持ちがいたらどうするのかっていうと、そこは、鑑定を使っている。

 便利だよね、『絶対鑑定』。生まれた都市、両親の名前、その時の状態、それに、スリーサイズまで分かる。その人のプロフィールが分かるみたいな感じだ。


 索敵に反応があった。


「みんな敵だ!」


 しばらくして現れたのは、白い体毛の熊だ。

 Aランクにあげられる、アイスベアという魔物だ。そのままの名前だが。


「『炎槍』」


 朱莉が魔法を放つ。腕に着弾し、ジュウと音がすることから、体自体が氷で出来ているのだろう。


「はああああ!!」


 健が声を上げながら突撃する。30cmはある爪で受け止め、空いている方の爪で攻撃するが、突如悲鳴を上げた。


「グオオオオオオオオ!」


 信介が後ろに回り込み、横腹を切り裂いたのだ。

 信介は、前衛と言ったが、スキル的には暗殺者にいるような感じだ。


「『剣山』!」


 唯亜が、手に持っている刀を地面に刺し、スキルを使う。

 地面から現れた、剣によって串刺しにされ絶命する。


「おつかれさま。やっぱりそのコンボ強いよね」

「そうなんだよな〜。剣山のスキルずるい!」

「でも、そんなにいい物でもないよ?魔力を使えば使うだけ大量に作れるけど、強度の面も考えるとあのくらいが1番なんだ」


 どんなに強いスキルでも、弱点はある物だ。僕の超強化だって、強化に比例して馬鹿みたいに魔力使うし。


「まだ一層だよ。こんな感じでじゃんじゃん行こうか!」

『おう(はい)!』




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