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超越神の世界旅行  作者: sena
第2章 勇者編
27/266

24話 太樹の力

太樹くんと主人公側どうやって関わらせようか悩んでます。

本当にどうしよう

 side佐藤太樹


「ふう、結構進んだね」

「そうだな、今3層くらいか……あっちは大丈夫かな?」

「あっちって、光輝くんの方?」

「そうそう」

「大丈夫だと思うよ。下層ならまだしも上層だからね。そこまで強い敵いないでしょ?」

「確かになぁ」


 そんなふうに軽口を叩けるくらいは、余裕を持てるようになってきた。

 他のみんなも、多少疲れは見れるが、レベルアップの効果もあってか体力的には大丈夫みたいだ。

 それでも、いつ敵に遭遇するか分からない状況で、気を張っているため精神的に疲れてきている。今日は、いったん引いたほうがいいかもしれない。


「みんな。今日は、3層まで進めた。初めての戦闘で疲れただろうから、今日は引き上げない?」

「そうしよう」

「そうだね、結構疲れた〜」

「魔法使いすぎて、魔力が減ってちょっとだるい」


 疲れている人が多いため帰ることになった。

 魔力を使って、0になると気絶するけど、少なくなってくると体がだるくなってくる。風邪をひいたみたいな感じだ。どんどん酷くなって最後には、気絶するって感じだ。実際に確かめたからその辛さは分かる。


「こんな感じで今日は、引き上げますけど騎士団の皆さんたちは大丈夫ですか?」

「私たちは、勇者の皆様の護衛ということなので、基本はお任せします」

「了解です。……ならみんな帰ろうか」


 みんなの顔に気力が戻ってきた。


 それからは、なるべく敵に遭遇しないように、索敵スキルを駆使し戻っていった。

 所々休憩を挟みながらも地上に着いた。

 迷宮から出るとそこには、光輝くんについていた団長さんたちが慌ただしくしていた。


「どうしたんです?」

「ん?おお!実は……」


 話を聞くと、転移部屋入ってしまってどこかに飛ばされたらしい。

 一層に、あるとは知らなかったらしく反応が遅れて部屋に入るのに遅れたみたいだ。それに、クラスのみんなが部屋に入ったら、狙っていたかのように扉が閉まって入れなかったらしく、一度地上に戻ったらちょうど、僕たちも戻ってきたところだったみたいだ。


「なら僕が行きましょうか?」

「いや、ここは、……そうだな、サトウくんにお願いしよう」

「じゃあみんなのことをお願いします」







 side一之瀬光輝

「くそ!魔力が……!」


 ちらりと、壁を見る。

 そこには、ブラックミノタウロスの黒い斧によって吹き飛ばされて気絶している親友の龍牙が倒れている。

 どのくらい戦っていたのか、召喚の能力で出てくる通常のミノタウロスも相手にしながら戦っている。

 聖鎧のスキルで防御力が上がっているけど、着実にダメージを受けている。


 迷宮に入る前に、アイテムポーチ(大量に入る魔法のポーチ)を配られ、その中に、回復薬が入っていた。

 最初は、回復の魔法があるし、俺も光魔法で傷を癒すことが出来るし、聖剣の効果で自然治癒の能力もあるため使わないだろうと思っていたのに、今は全て使い切っている。


 召喚されるミノタウロスも倒せば経験値をもらえることが唯一の救いってところか。


 ブラックミノタウロスは、魔力を使い切っているためもう召喚はされないと思うが、安心は出来ない。

 身体能力が高いのに、強化系のスキルもレベルが高い。

 まるで、


「太樹を相手にしてるみたいだ……。殺意を向けられながら戦うってこんなに体力を消耗するのか……!」」


 愚痴っていても仕方ないが、圧倒的不利な状況で意識せずとも出てしまう。

 黒斧を振りかぶり、突進してくる。

 横に大きくステップして避ける。ギリギリで避けたりしたら、風圧で体勢を崩してもろに豪腕からの攻撃を喰らいそうになったからだ。

 切り返しの攻撃をしゃがむことで回避し、横っ腹を思い切り切りつける。


「くそっ!硬い!」


 さすがの防御力と言うべきか筋肉の鎧は硬く、強化していない聖剣の攻撃では、2cm程食い込ませるのがやっとだ。

 それでも、自分の肉体に傷を入れられたことに対して怒り、唸る。


「ちっ!これだけやっても3割削れただけか!!再生のスキルがうざい!多少の傷ならすぐに治りやがる!!」


 そうなのだ。腕を切り落としたりすれば回復に時間がかかるだろうが、数cmの傷なら瞬く間に回復してしまう。それでも、HPまで回復しているわけじゃないのが幸いか。


 このままではジリ貧だ。それに、耐久勝負ではこちらが分が悪い。まだ敵には、『狂化』のスキルが残っている。使われれば、あまり耐えれずに、終わるだろう。


 そんなことを考えていると、焦れたのか、めんどくさくなったのか、全身に力を入れはじめた。


「なにしてるん……まずいッ!?ここで使うつもりか!」


 狂化のスキルを使うつもりだとわかり、自分が使える最大の威力を誇る光魔法による攻撃を行う。

 聖剣の先を敵に向ける。

 そして、光を剣先に集める。

 小学校の頃やったことがあるだろう。虫眼鏡を通して、太陽の光を一点に集めると燃えるほどの熱量が発生すると。それを、魔力と光魔法を使うことによって再現する。


 光が集まり、直径1cm程の輝きが現れる。

 溜まるのと狂化のスキルが発動したのは同時だった。


 光線が心臓を貫いたかと思えたが、動き出したことにより腕に当たり、左腕を吹き飛ばした。


「ブモォォォオオオオオオォォォオオオオオ!!!」


 痛みに叫び、よだれを撒き散らしながら向かってくる。

 聖剣を盾に、斧の攻撃を受け止める。が、耐えれず吹き飛ぶ。


「がはっ!……ごほっごふっ……」


 腕の骨にヒビが入って内臓にも傷が付いたのか吐血する。

 それでも、意識を持っていられるのは、ステータスのおかげだろう。


 ここまでかと思った時に、呑気な声が横からかかった。


「ほぉ〜黒い牛だ。で、どこにいるかな〜?お、いたいた。大丈夫?」


 ここにいるはずのない人物の声が聞こえてきて、ついに幻聴まで聞こえるようになったかと思いはじめた時、暖かい光に包まれた。

 すると、さっきまでボロボロになっていた体がみるみる治っていった。


「え、?た、たい、き?なのか?」

「そうだよ。それより向こうのえーと、龍牙くんだっけ?と一緒にじっとしてて。すぐ終わらせるから」

「へ?え?ちょっと待って!そいつは、今狂化状態だ!ステータスが跳ね上がっている!一緒に戦うべきだ!」

「ううん大丈夫」


 それだけ言うと、剣を腰から抜き好戦的な笑みを浮かべた。

 その笑みにゾクッとしていると、太樹の周りの空気がゆらゆらとしていることに気づいた。


 突然の乱入者に警戒したのか唸りながら、それでも、狂化しているためか理性がなくなっており雄叫びを上げながら突撃する。

 俺が、ギリギリ追えるくらいのスピードだ。

 驚愕した。

 ミノタウロスの速さに、ではない。

 目を一切離していなかったのにもかかわらず、太樹の姿が消え、次の瞬間には、ブラックミノタウロスが細切れになっていた。


「は?……なにが起こった……?」


 いや分かっている。圧倒的な速さで、近づいて切り刻んだだけだ。

 分かっているが、理解できない。日本にいた頃の常識はあまり通じないことは分かっていた。魔法とかある世界だ。法則なども通用しないこともあると魔法を使っていると分かる。

 それでも、だ。何回斬りつければあんなブロックに斬れるのか。


 すると、目も開けていられないような風が発生した。

 その風によって、ブラックミノタウロスだった肉片が飛び散った。

 この惨状を作った人物の呑気な声が聞こえてきた。


「ふぅ。やっぱりステータスが上がってそれに伴って周りにも影響が出るみたいだね」


 例えば音速になると、その周りに風圧で影響が出るだろう。

 それが今の状態だ。

 そんなことをしても身体にはあまり影響がない。これも、ステータスのおかげと言うことか。


「もう終わったよ。大丈夫だった?」

「あ、ああ。こっちは大丈夫だけど…………」

「ん?さっきの?どのくらい強化出来るのかの検証と魔法の実験。普通は、ステータスが上がりすぎると動体視力だったり、感覚が狂ってまともに戦えないみたいだけど、僕のはそれすらも強化するみたいだ。それでも、把握はできるけど意外と大変かな」

「魔法……?炎と氷じゃないのか?」

「魔法はね、基本属性は使えるようになったよ。光闇もね。それで、僕が最初から持っていた魔法は()()()()だよ。それも使ってみたんだ」


 移動魔法?なにを移動させるのか分からない。

 少し時間が経ち、自分が助かったということが分かった。


「とりあえず、太樹ありがとう」

「どういたしまして」

「それで、どうやってここが分かったんだ?」

「とにかく、地上に戻ろう。僕のチームは戻っているよ。光輝くんのチームも戻っているかも知れないからね」

「そうだな。戻ろう」


 まだ気絶している龍牙をおんぶし、地上に戻る。





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