22話
迷宮に行くのは次回にします。
最初にある文も次回に出る可能性が高いです。(出なくてまた次になるかもですけど)
それでは、どうぞ!
「うわあああああ!!!」
「にげろおおおおおおおお!!!」
「いやだあああああ!たすけて!!」
悲鳴が上がり、必死に何かから逃げている。
ドシン!ドシン!ドシン!
「ブモォォォオオオオォォオオオ!!!」
牛の声をもっと図太くしたような声が後ろから聞こえてきた。
「みんな!落ち着くんだ!……くそ!どうしたらいい!」
「こんな時に佐藤くんがいてくれたら!」
「いねぇもんはどうしようもないだろ!!」
黄金色に光る鎧のようなものを纏っている男が恐ろしい魔物に向かい合って剣を構えている。
どうにか落ち着かせようと、声を張り上げて呼びかけているが一度混乱状態になったみんなは、冷静になれない。
「仕方ない。俺が殿をやる!手伝ってくれるか、龍牙?」
「おうさ!こんなとこにお前一人だけ残していけるかってんだ!」
「なら私も」
「いや君たちは、混乱しているみんなを落ち着かせるためにみんなと一緒に言って欲しい」
そう言われ、美しい少女は唇を噛みながら俯く。
「早くいけッッッ!!!」
「絶対戻ってきてよ!」
答えは聞かず後ろを向き走った。
時は遡り、異世界に来て一週間がたった。
それだけ経つと、自分が得意なことが分かってくる。
魔法が得意か前衛タイプか。
さすがは、勇者召喚で呼ばれた勇者、スキルが実戦もしてないのにレベル3、高いもので5にまで達している。
最初は、騎士団相手に訓練していたのに、今ではいい勝負をするようになった。
でもそれは一対一の場合だ。
二体一になったらさすがに負ける。ステータス差は意外と大きいってことだ。
そして、訓練場に呼び出された。
その場所には、騎士団団長と魔法師団団長の他、その団員が6人づつ集まっている。
「今日からは、迷宮に行って経験を積みながらレベル上げをしてもらう」
「迷宮には私は行けませんが魔法師団の団員を付けますので安心してください」
「そういうことだ。で、何人かのグループに分かれて欲しいんだが……」
「それなら2グループはどうでしょう?」
光輝くんが提案した。
「うーん。2グループか……。できればもう少し分かれて欲しいが理由が?」
「はい。一つは俺が率います。もう一つを太樹に。そうすれば15人づつのチームになっていいと思うんです」
「確かにそうですね。でしたら、シルがイチノセさんに付いてあげるべきですね」
「そうだな。……よし!お前たち2人は俺のほうに来い。お前たちはサトウくんの方に行け」
「あなたたちは、3人づつに分かれてくださいね」
それで、僕たちが分かれてどっちにつくのか決めた。
意外と綺麗に分かれ、不良くんは光輝くんの方に行き、虐められていた子は僕の方に来た。
3人ほど僕の方に多く来た。それは、僕の方が今強いため安全と思ったんだろう。
なんとか半々で分かれることができ、一安し………………ん?
なんでリーダーに選ばれてんの?僕。おかしくない?なんで?
すかさず声を挟んだ。
「ちょ!ちょっとまてぇい!」
慌てすぎて変な感じなった。
「あのさ!なんで僕がリーダーやることになってるの?分かれるならもっと少ない人数がいいんじゃない?」
「いや、初めての魔物と戦うんだ。少ない方が動きやすいかもだけど、そこまで連携が上手いわけじゃない。なら人数を多くして、いろいろ助け合っていった方がいいと思って。それに、ちょうど俺たち2人がこのクラスでも強いだろ?」
「ぐぬぬ…………」
「しかもほら。自分の後ろを見てみ。太樹がリーダーでいいと思っているから何も言わずに後ろについたんだ」
確かにそれを言われると反論できない。
僕を信頼してくれているのはなんとなくだが分かる。
「はあ。分かったよ。こうなったらできるだけ頑張るよ」
「そうこなくっちゃな!」
なんか納得してしまったが、一人でパワーレベリングできなくなった。
仕方ない。どうにかして、レベル上げを効率良く出来る方法を探さないと。
「決まったみたいだな。なら、行くぞ」
「どこに行くんですか?迷宮っては聞いたんですけど、どんな場所かなって」
「迷宮とは、ダンジョンとも呼ばれていて、魔物を生み出すところだ。どうやって生み出しているのかは分からないが、学者によると迷宮自体も魔物って仮説があるらしい。本当のところはわからんが」
団長さんに続いてミスラさんが話し出した。
「迷宮にも魔物と一緒で危険度があります。今から行くのは、比較的安全な迷宮です。今のところ54階層まで攻略されています。皆さんには、とりあえず10階層まで行ってもらいます」
「ボスとかいるんですか?」
「ええ、いますよ。5階層ごとにボスがいて、倒すと次の階層に行けるようになります。それになんと言っても、迷宮には、宝箱があります。回復薬や武具類、高難易度の迷宮では、魔剣などもあったりします。それに見合って本当に強い魔物がいるんですが、皆さんにいつかそういったところにも行ってもらおうと考えているんですよ」
おお!やっぱり宝箱とかあるんだ。
レベルにしてどんな感じなんだろうか。でもレベルだけ見るのは危ない感じがする。僕だって未だに1なのにユニークスキルを使えば団長さんを超えるくらいのステータスにすることもできるし、スキルによっても変わってくる。
「では行きましょうか」
『はい!!!』