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超越神の世界旅行  作者: sena
第9章 魔術学院編
214/266

211話 Aクラス

俺tueeeをしていた人が更に強い人(主人公)にボコボコにされるのが書きたくて、転移者入れました(笑)

 

 レインは様々な視線に晒されながら、教師に言われた席へ向かっていた。

 レインの座る席は、窓側の後ろから二番目。幸い?前後右隣は女子のようだ。


 レインは熱いそれはもう火傷しそうな程の熱視線を向けられながら、机に肘をつき、外を見ている。


 座ってからも男女問わず、と言うより教室の全員がレインのことを見ている。


 この学院の仕様は、AからDクラスの四つの教室になっており、三学年からなる。

 そしてレインは、一年Aクラスと言うことになる。


 もちろん、ただ適当に配属されたわけではなく、きちんと実力で決められている。

 その実力と言うのは、約一ヵ月前にあった入学試験を元に決められているらしい。これは、レインが直接伯爵に聞いたから間違いないだろう。詳しいことは、教師しか知らないためーーレインも知ろうと思わないためーー簡単に説明するならば、上位から40名がAクラス、そこから40名がBクラスと言う感じだ。ここから分かる通り、一クラス40人からなる、(ひと)学年160人だ。

 と言うことは、Aクラスにはレインが新しく来たと言うことで41人になるかと言うとそうではない。ちょうどタイミングがいいかのように、一人Aクラスから退学者が出ていたからだ。つまり、39人だったAクラスへレインが入ったことでバランスが取れたとも言える。


 そしてここが重要な点だが、貴族だからと言って、権力を傘に着ることは許されない。なぜなら、この学院は国家が運営しているからだ。もし、賄賂などで貴族の子息子女を入学、そして上位クラスに無理矢理入れ込もうとすれば、すぐに国王へ伝わり処罰を受けることになる。

 と言うことで、Aクラスにいると言うことは、それだけで実力が学年で抜きん出ていると言うことだ。


 レインがAクラスへ編入されられたのは、伯爵がレインの実力が()()()()()()()()のを知っているが、せめて最高クラスに入れよう、と考え実行した結果だった。


 レインの編入は例外中の例外だ。

 貴族の最高位たる公爵ですら、権力だけで入学されることは出来ない。しかし、編入は別だ。然るべき実力を見せれば、入ることが出来る。その分、基準値は通常より高くなっているが。

 つまりレインの場合は、伯爵から紹介され、学院へ実力を示した結果だった。その編入への手続きに伯爵は二日の時間を欲しいと言ったのだった。


(はぁ、ガキに混ざり勉学に励む……か。しかも、あいつ(雪那)逃げやがったな)


 そう、レインが憂鬱と言うより、静かな怒りを抱いていたのは、この場に雪那がいないからだ。当初、レインと雪那二人で編入するつもりだった。しかし、いざその時になってみると、レイン一人、雪那の姿が見えなかったため、能力まで使い調べた結果、魔法まで使い身を隠していた。そして、編入するのがレイン一人となっているのに気づき、理解した。


(大方、あいつから伯爵へ言ったのだろうが……何を狙っている?)


 レインは伯爵の独断だとは思っていなかった。

 そこには、雪那の口添えがあったのは想像に難くない。ただ、レインを悩ませているのは、なぜそんなことをしたのか、だ。


(入学試験とか言うやつを受けたが、かなり低レベルだったな。教師陣もさして強いわけでもないが、ふむ、この世界の人間の平均を考えればマシな方なのか?)


 頬杖を付きながら窓の外を見ながら考えていると、ふと、一際強い視線を感じた。

 そちらへ顔を向けずに、眼を向ける。


(あ?あれは……転生、じゃなくて転移者か。しかも、日本人。ミスったか……)


 レインが視た先には、黒髪黒目の見るからに日本人らしき男の子がいた。

 レインが教室へ入ってきた当初は見惚れていたが、レインが男だと分かると、途端に険のある視線へと変わった。


(ああ、よくあるハーレム系主人公を狙っているのか……いや、出来ているっぽいな)


 そんな転移者らしき男の周りには、その取り巻きと思わしき女性が二人程いる。

 そもそも、転移者の男は可でもなく不可でもない、そんな平凡な感じだが、チラッとステータスを見た時ーーレインにとって最高位の隠蔽スキルも意味をなさないーー、確かに高かった。この世界でも最上位レベルで。


(この世界に来たのは、数年前ってところか。ってことは、神界が滅びる前。神族からスキルでも与えられたか?)


 その強さの秘密をいくつか考えていると、ガタッと椅子から勢いよく立ち上がる音が聞こえた。ん?と思い、窓から視線を教室へ戻すと、半数以上の生徒がレインの元へ寄ってきた。どうやら、教師の話は終わったらしい。


 そして質問の嵐。

 好きなタイプは?や恋人はいるか?などレインの好みを問う質問から、いきなり付き合ってくださいだとか、お友達からなど、その目は友達以上を望んでいるのがありありと見て取れるが。


 そんな質問に対して、レインは当たり障りない返事をしながら、別の所に意識を向けていた。


(貴族の女が多いな。そもそもが貴族と言うのは、有能な人材を迎え入れる傾向が高い。なら、素質はあると言うことか。じゃなくて……)


 ヘステル・ヒス・フィストーラ伯爵の娘を探していた。

 元々この学院には、伯爵の娘に魔法を重点的に教えると言うことで、編入したのだ。そしてその伯爵の娘もこのAクラスにいる。

 質問攻めになっているこの状況でも、レインは冷静に目的の人物を探していた。そして見つけた。


(あのゆるふわ金髪の()か……)


 レインと目が合うとビクッと体を震わせた。

 レインの第一印象は、儚げなほんわか美少女、と言った感じだ。肩下辺りまで伸ばした金髪は、毛先辺りがウェーブがかかっている。儚げと言うより、気弱な性格だろうと分かる。一歩引いたところにおり、質問しようとして止めてを繰り返している。中々踏み出せず、かと言って気になるらしく、引き下がる気配はない。


 そこへ、転移者らしき男が席を立った。

 すると、今まで質問攻めにしていた女生徒たちがそちらを振り向き、口を閉じる。その男の子が通れるように道を開けるようなことまでしている。


「やぁ、始めまして。俺は翔太って言うんだ。よろしくな」

「ん?ああ、俺はレインだ。よろしくするつもりはないがな」


 比較的有効な表情で自己紹介をした翔太にぶっきらぼうに答える。

 その切り返しに、頬がピクッと引き攣るが、怒りを爆発させることはしなかった。と言うより、出来なかった。レインの次の言葉のせいで、冷水を浴びせられたかのように頭が冷えたからだ。


「やはり、日本人か……」

「ッ!?な、なぜそれを!?」


 明らかに動揺した翔太に、周りは何事かと聞き耳を立てる。


「ま、まさか君も……!」

「クク、なるほどな。と言うことは、この世界は他にもいる可能性が出て来たか。なんと面倒な」

「やはり、君も日本人なのか!?」


 レインは翔太の質問をまるっきり無視しながら、席を立つ。

 そして、目的の人物の元へ歩み寄り、声をかける。


「お前が伯爵の娘か?伯爵だけじゃ分からんか。ヘステルと言うのはお前の父だろう?」

「は、はいっ」


 急に話しかけられたことでビクッとなったが、どもりながらだがしっかりと答える。


「うむ。なら、今日からお前は俺の生徒だ」

「……え?」


 レインがそう言った瞬間、教室が驚愕の声で包まれた。


「ま、待て!まだ話しは終わっていないぞ!」

「それより、まずは名前を教えろ」

「え、えと……私は、システィナと言います……」


 自信なさげのその話し方はその性格故だろう。


「なら、システィと呼ぶか。今日からと言ったが、俺はやることがあるからな。正確には明日(あす)からだ。場所や時間は俺が決めよう」

「あ、あの!なぜ私を?」

「だから、お前の父から頼まれたんだよ」

「だから俺を無視するな!」


 完全に無視していると、翔太が声を張り上げ、レインへ突っかかろうとしていたが、ひらりと躱し、足をかける。予期せぬ反撃に翔太の体が傾き、転ぼうとするが、そこはさすが転移者と言うわけか、グッと片足を前に出し、耐える。


「またな」

「は、はひっ」


 システィナの頭をぽんぽんと撫でながら、教室から出ていく。

 ピタッと教室の扉が閉まった瞬間、今度はシスティナへの質問攻めが始まった。まぁ、レインの知ったことではないが。


(俺が言われたのは、魔法の指導。性格の矯正は頼まれてないからな)


 レインは特にシスティナの学院での地位向上を目指そうとは思っていなかった。お願いされた最低限のことだけはするつもりだったが、それ以外は、好きなように動くつもりだった。のだが……。


「……早く出てこい」


 周りに誰一人としていないことを確認してから、廊下の一角でレインへ自分の影へ声をかける。すると、「ふふふ」と言う笑い声と共に、雪那が姿を現す。


「主様ぁ、学院生活どうですかぁ?」

「はぁ、お前のせいで酷いことになったぞ。まさか、一人で行かされるとはな」

「ふふふ、主様は少し肩の力を抜いた方がよろしいかとぉ。ここ最近は戦い浸けでしょう?」

「まぁ、そうだな」

「ですのでぇ。初心(子供)に戻ってみてはどうでしょうかぁ?」

「……おい、変なルビを付けなかったか?」

「何のことでしょうかぁ?」


 笑いながらそう言い放つ雪那へジト目を向けながら嘆息する。


「まぁいい。お前なりに何か思ってのことだろうからな。強くは言わん」


 再度ため息を吐き、雪那の頭を撫でる。と同時に、狐耳の裏を摩る。


「あ、んぅ……あっ」


 艶のある声を出しながら身をよじる。

 しかし、体を痙攣させたところで手を離す。

 涙目となった雪那はレインへ物足りないと言う目を向けるが、それにレインは取り合わない。


「罰は寸止めだ。このまま数日過ごせ」

「うぅ、酷いですぅ」


 若干グズッている雪那の頭に手を乗せ、軽くぽんぽんと叩く。

 その度にビクッビクッとなるが、それだけだ。それ以上の求めるものは来ない。


 レインにこれ以上する気がないと分かり、レインの影に戻っていく。


「何かあれば呼べ」


 レインの影がゆらっと揺れる。






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