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超越神の世界旅行  作者: sena
第8章 外来宇宙編
211/266

208話 決着

これにて神皇編終了!ですかね。

どうでしょうか?結構長く書いたはずなんですが……。

それと、一応次のネタも考えたのですが、批判は受け付けません!王道と言ってください、王道と!

次何を書くかは、次回分かると思います!

 

 蒼い太陽が落ちたことで生じる爆発は、熱量と大きさに比例せず、小さなものだった。それでも、北部『大草原』を七、八割方を破壊する大災害だ。


 地面と触れた瞬間、地面が()()()()、どろっどろになりながら半球状のクレーターを大きく作った。


 蒼い太陽と言うのは、比喩ではない。

 炎が蒼いだけで、太陽と大きさは同じなのだ。そんなものがただ一人に向けて落ちた。

 爆風は数十キロも離れている城にまで届いていたが、全て張ってある結界で無効化され、一切被害はない。


 レインは薄く蒼炎を()()()()()不知火を見ながらぼやく。


「強火は威力はいいんだが、一回こっきりなんだよなぁ……」


 そう。終炎ノ太刀の下位互換なんだが、強力ではあるものの、一度強力な攻撃をすれば、効果が切れてしまう。蒼い太陽程の魔法を使えば、一発でアウトだ。


「そろそろ……お」


 爆風と熱風がレインを叩きつけるが、レインの周りの空気の流れを制御することで、無効化しながら、神皇がいる場所を見やる。


 爆発に呑まれ、爆炎と砂塵が舞い、視界を覆っていたが、晴れだした。


 神皇の姿が見えだすと、レインは感嘆と驚きの混じった声を上げた。


「……生き残るとはな。しかも、()()()()()()()()


 爆発の中心地、神皇が両腕を上げ、剣をクロスした状態で立っていた。

 魂装である剣には刀身がなく、柄だけを握り締めていた。その腕も焼け爛れ、どろっと溶けている。ドレスは消し飛び、体の至る所が大火傷を負っている。特に両肩と右脇腹、両太ももは酷い。肩は爛れ落ち、右脇腹は抉られたような傷が、太ももは上の方が焼け焦げている。皮膚の水分が蒸発したかのようにパリッと音を立て、皮膚にヒビが入っている。

 黒い長髪も焦げ付き、艶やかな輝きを失っている。それでも、全焼しなかったのは、両腕で頭部が護られていたからだろう。


 レインは元々殺す気だった。いや、確実に神皇を殺す威力の魔法を使った。今まで剣を交え、魔法を撃ち合い、神皇の防御力、魔法抵抗力、再生力などを視ながら、耐えれない程の攻撃を行った。強くなったグーレルでさえ、数秒と持たずに肉体が蒸発する程の魔法。そしてレインは神皇も耐えることが出来ないと思っていたため、出た言葉だった。


 神皇の状態ははっきり言って酷いものだ。

 肉は焼け爛れ、魂装は刀身が消し飛び、身に纏っていたドレスも消し飛び裸を晒している。

 体の肉は二割程が欠損しているだろう。人間ならもう死んでいるダメージだ。


「意識は混濁……魂装が破壊されたことで精神にもダメージ……肉体の損傷も見た目以上だろうな。纏っている魔力も揺らいでばかりだ」


 神皇はほぼ無限の魔力を持っている。

 それは間違いないだろう。しかし、どれだけ魔力を持っていても一度に放出できる魔力には限りがある。例えば、どれほど大きな貯水タンクがあったとしても、そこから一度に出せる水の量が決まっているように、魔力の瞬間放出量と言うのも決まっている。雄叫びを上げ、一時的に限界以上の量を放出し続ければ、体には激痛が走り、壊れていくだろう。しかし神皇の場合は、再生能力により肉体的機能は回復、激痛は感じる余裕すらなかっただろうから意味はないとも言える。


「もう少し時間があれば、意識も回復するだろうな。魂装のダメージは……まぁ、こいつなら大丈夫だろう……多分」


 魂装を破壊されて、魂にまでダメージが行くわけではない。魂にダメージを受けたと錯覚するのだ。それにより、魂装が全壊したとしても意識を失うだけで済む。それを軽傷と捉えるかはその人次第だが。


「それでもダメージ自体は本物だからな。お、そろそろだな」



 神皇の目が薄っすらと開かれ、身体を魔力が包み込み、肉体のダメージを回復していく。火傷で焼け爛れた肌は元の美しいハリのある肌へ。髪は艶を取り戻していくかのように煌めいていく。


「やっぱり攻撃範囲が広すぎなんだよなぁ。絞ってみたが、それでも広すぎる」


 徐々に再生し、回復していく神皇から一度目を離し自身が起こした惨状を見る。


 見る限り地面がごっそり抉れ、半球状、クレーターが出来ている。

 ドロドロに溶けていた地面が時間が経つことで固まり、空気と地面が焦げる匂いがレインの鼻につく。


 すでに出来ていたクレーターや斬痕などを吹き飛ばし、一つとてつもなく大きなクレーターのみがレインの目に映る。

 最初にあった、青々と茂る草は消し飛び、緑豊かで綺麗だった草原がなくなった。


「ま、直すのは楽だけどな……ようやくお目覚めか」

「……ん……ぅぅ」


 寝ぼけたような声を上げながら目を開いた神皇はだらんと腕を下げ、意識を覚醒させていった。

 まず目に入ったのは、焼け焦げ、荒れ果て、荒野と見紛う姿となった地面。そして、今自分がそこにいる理由。そして今の状況を悟る。


「……つぅ……!」


 バッとレインの方を見て、距離を取ろうとするが、まだ体が完全に再生されておらず、痛みが走る。痛みに顔を顰めながら、握り締めていた剣を構えようとしたが、刀身がないことに驚愕の表情を浮かべる。


「起きたか……敵前で眠るとは、な」

「……っ」

「そう睨むな。死んでいたら戻してやったからな。死なすのは惜しい」


 神皇に足りていないのは、格上との戦い。その経験が足りていない。

 誕生()まれた瞬間から全てが格下だったのだ。それも仕方ないと言える。同格に戦える存在もレイン以外にいなかったのだろう。

 レインは能力にかまけただけの者だったなら、迷わず殺していただろう。無限に再生する存在でもレインにかかれば意味がない。

『言葉』一つで思い通りに出来るその状況で、技術を理解する。剣技や魔法、技術が根源にあり、自分の技として昇華している。自分だけの技術として。


「もっともっと強くなれ。そのための時間を与えよう。何、難しいことじゃない。お前の土俵で戦える相手が一人は確実にいる」

「……グーレルか」

「そうだ。奴には俺の祝福を与えた。後数年、長くとも数十年あれば、いいとこまではいくだろうな。次合うのが楽しみだ。……と言うわけで、取り敢えず攻撃をやめろ」


 レインが話している間、神皇は魂装を取り出そうとし、出せないと分かると、魔法での攻撃に切り替えた。天から降り注ぐ無数の稲妻。圧縮された風の弾丸。全方向から襲い掛かる重力。他にも様々な魔法がレインを襲った。レインが不知火を使っているから炎系の魔法を効かないと思ったのか、炎系魔法は来なかった。


 レインが言うと攻撃がピタッと止まった。

 もちろんレインへ臆したのではなく、攻撃しても意味がないと悟ったためだ。

 レインも攻撃が止まなければ、無理矢理にでも止めるつもりだった。


 レインは神皇の体を頭の先から足の先までを見る。

 未だに全裸なため、何かいけないことをしているような感じだが、レインが見ているのは、体ではなくその内側だ。眼を通してみている。


「ふむ。ダメージの再生は終わっている……魔力は、いいか。それで、お前には元の世界に戻ってもらうぞ。そして、次元層を創り直す。それを壊せるようになれば、再度こちらへ来い。その時は、俺に再度挑むも、仲間になりに来るも自由だ」

「……」

「ああ、構えずともいいぞ。俺が勝手に送るからな」


 今すぐにでも殺してやる、と言う雰囲気で殺気を振りまきながらレインへ攻撃しようとしている神皇へ釘を打ち、動きを止める。

 力の差、と言うのを初めて感じた神皇は、それで心が折れておらず、レインとしては助かったが、甘やかすつもりは毛頭ない。

 今までがイージーモードだったんだ。ハードモードくらいがちょうどいいだろう、と言うレインの無駄な配慮だ。


「さて、ではな。また、いつか会おう」

「ま、待てっ……!」


 自分の体の自由を奪われ、焦った神皇に、レインは指を鳴らし、神皇を中心とした魔方陣を展開する。会った当初ならこの転移陣では無理だっただろうが、出来ると言うことは、外傷はないようだが、消耗していると言うことだろう。


 転移陣が光り輝き、神皇の姿を包む。

 声を上げようとしたところで、転移が完了し姿が消えた。


「いやぁ、楽しかったな。次会う時は、更に力を得ているこを願うぞ」


 転移した(させた)神皇へ届かないと分かりつつ、呟く。

 その口元には、確かな笑みが浮かんでおり、先の戦いが一応満足のいくものだったと言っている。


 強さにも種類がある。

 戦術や戦略と言った物理的力ではない強さもあると言うことをレインは知っている。しかし、しかしだ。レインが求めているのは闘争。暴力だ。圧倒的力と力のぶつかり合い。殺し合いこそ、求めているもの。それに、戦術や戦略は弱者の考え、と言うのをレインも持っている。それもこれも、全てを力で破壊することが出来るが故の考えだが、実際出来るから仕方ない。


「それに……不知火の性能を引き上げないとな」


 そう言った瞬間、ピキッと不知火の刀身に亀裂が入る。

 武器で言えば、神皇の魂装と同格。同格同士のぶつかり合いならば、いずれこうなるのも当たり前だろう。何度もぶつかり合い、欠けても再生し、そしてまた欠ける。そんな戦いをしたのだ。


「魂が強くなれば、魂装は強くなる。が、まぁ、それが難しいんだけどな。応援をしておこうか、姫君」


 姫と呼んだのに、特に意味はない。


「……でも、やっぱりこれ戻すの俺なんだよな」


 チンと言う子気味良い納刀の音を聞きながら、グルリと百八十度見渡す。

 自分の攻撃のせいだと分かってはいるが、それでも、荒野としか見えなくなった元草原にため息を吐く。直すこと自体は簡単だ。指を鳴らせばそれでいい。それでも、何と言うか、精神的に面倒だ、と言う感情が浮かんでくるのだ。


 と、思いながらも指を鳴らす。

 すると、一瞬で元の綺麗な大草原へと姿を変えた。この空間自体がレインの支配領域だ。レインの思い一つでどうにでもなるのが現状。


「それにしても……神の國。少し気になるんだよな」







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