182話 勇神
説明会みたくなってすみません!
でも、時々挟まないとメモを取るような性格ではないので、設定を忘れてしまうんです!ご理解のほどを……なんて、ただ、書く内容があまり思いつかず、こんな感じになってしまいました。
まぁ、よくありません?転移勇者がチートで神になる、みたいな話。
「ゼイゲン様、報告します」
「おう、どうだった?」
ゼイゲンと呼ばれた男は、報告した男を見て、大柄な態度で進める。
報告している男は、第77世界へ攻め入っていた神兵、100を纏めていた男だ。
「いくつかの世界を回りましたが、あちらの世界の神へと通ずる道は見つかりませんでした。しかし、あちらで言うところの人間は我らの相手にはならないようです」
「なるほどな。なら、向こうでは神はいないのか?」
「いえ、神界と呼ばれる場所にいるようです」
それから男は、自分が調べたことを報告していく。
「我ら至仙も出る許可が出た」
「誠ですか!」
「ああ、それから、お前たちも準備をしておけ」
「はっ」
ここで、大雑把に神兵や至仙のことを説明しておこう。
まず、一番下に神兵がいる。そして、その上纏める存在として百卒がいる。百人の神兵を纏めるから百卒だ。そして、千の神兵を纏める千卒がいる。百卒より、千卒の方が位が上と言うことだ。
そして、その上に至仙と言う、44の神からなる集まりだ。至仙は、特に戦闘に特化した権能、能力を持っている。
そしてその上に十神将がいる。十神将とは、神皇を護る、神皇の敵を葬るためにいる。人間でいうところの将軍と言った感じだろう。
そして、全ての上に、王として君臨している神皇がいる。
ざっとこんな感じだろう。
簡単に表せば、神兵→百卒→千卒→至仙→十神将→神皇となる。
「ククク、俺も久しぶりに暴れられる!」
百卒の男が出ていった後、ゼイゲンは言う。
「なりそこないを殺すのも飽きて来たしな」
外来宇宙の神が『なりそこない』と言う存在。
それは、敵などいないはずの『神の國』に神兵や至仙と言う、組織が出来た理由でもある。
『なりそこない』とは、神のなりそこない、と言う意味だ。『神の國』とは、いや、外来宇宙では、突然生まれるとしても神しか生まれない。だが、必ずしも、知性ある神が生まれるとは限らない。知性のない力だけの神、または、獣のようなものすら生まれることもある。それは、神と言うより神獣に近いだろう。
そして、『なりそこない』にも階級を設けている。
下から、下級、中級、上級、最上級。そして、災害級、その上に天災級とある。
下級ならば、神兵で一人でも能力によるが、一対一でも相手に出来る。
中級ならば、神兵数十人必要だろう。
上級なら、百卒。最上級なら千卒、と言った感じだ。
災害級ともなれば、至仙以上。
天災級ともなれば、十神将でなければ対処できない。
と言った感じで分けられている。
「ククク、楽しませろよ?神界の神よ」
sideレイン
第77世界が滅んだ、と言う表現をしていいものだろうか。
目ぼしい強者(権力者)が殺されているため、実質滅んだも同然だろうから、間違ってはいない。
『神の國』がこちらに侵攻を開始してからすでに一ヵ月と半月が過ぎた。
第77世界だけではなく、他にもいろいろな世界が被害を被っていた。
神界では、会議が行われているだろう時。
神界と下界では時間の流れが異なるため、正確ではないが。
そんな時、レインはいつものようにゴロゴロと暇を持て余していた時、それは起こった。
「お前か!神王様が言っていた主と言う者は!」
「あん?」
突然、レインが自室としていた扉が破壊されレインの頭上を過ぎ去っていった。
現れた人物は、金色の髪を切り揃え、黒い瞳を持った青年だった。手には、光り輝く聖剣を持ち、レインを睨みつけている。
「って、あいつらは何やってんだよ」
「僕の質問に答えろ!」
レインは、ここまで来るに当たってスルーした五帝たちに向け、愚痴る。
そんなレインに現れた青年は答えを急かす。
「そのまえにお前の名は?」
「僕は、勇神アキト」
「勇神?そんな神いたか?……ああ、なるほど。そう言うことか」
レインはそこで初めて現れた青年に眼を向ける。そして、理解した。
「勇気の神、と言うより、勇者から神に至ったから勇神と言うわけか……それなら、正神とか、善神とかの方がいい気がするが、まぁ、いいか」
「僕の質問に答えろ!」
「ああ、俺がゼウスの主かどうかってことだな。その質問の答えはイエスだ」
「やはり……お前の存在を決して許すことは出来ない!!!」
「……ふむ。その様子から、俺のことを聞いたわけではないってことか。(この感じからゼウスの奴、俺のこと適当に伝えやがったな?)」
後でお仕置きだ、とゼウスが聞けば震え上がりそうなことを考えながら、呟く。
「まぁ、ここに到達した褒美を与えよう」
「ッ!喰らえ!!」
「まぁ聞け。褒美与えると言っている。静かに聞け」
聖剣を構え、一瞬でレインとの距離を詰め、首を目掛けて振るう。
だが、スッと上げられた手の人差し指の腹で軽く受け止められる。その後、レインの聞けと言う言葉でアキトの体に重圧がかかり、膝をつく。
「まず、お前の疑問の根幹を訂正しておこうか。その前に俺の名は、ゼロ。今はレインと名乗っているが、好きな方を呼べ。そして、俺が全ての始まりだ。人も神も世界も全て俺が創った。そして、全知全能の神を俺は何柱でも簡単に言えば、無限に創ることが出来る」
「ッ!?」
「ふむ。その前に、お前たち神族についても話した方が良さそうだな。おかしいと思わないか?人族、魔族、他にもエルフ族、獣人族とあり、神族とある。お前たちは世界の支配者を気取り、そう行動しているが、なぜ、神ではなく、神族とステータスに表記されているのか」
「……」
レインの言葉に多少なりとも思うことがあったのか、今度は黙って聞く姿勢を取った。圧で押さえられているため、膝をついたままの不格好な姿のままだが。
「では、ステータスとは何か。考えたことはあるか?おかしいと思わないのか?なぜステータスと言う、その者の能力値を表すものがあるのか。その答えは単純だ。多すぎる生命を管理するためだ」
誰でも分かるように言うと、日本でも作られた物には識別番号があるだろう。作られた場所、そして、売られる店や人。分かるように商品には番号が付いている。
それと一緒だと思えば、分かるだろう。
「元々、俺が創ったのは神だけだ。世界もそこまで多くは創ってなかった。数個程度だ。でも今はどうだ?少し前なら億を超え、兆を超えていた。さらに、その一つの世界で何十億もの生命がいる。それを全世界となると数えるのも億劫な程だろう?そのためのシステムとして、ステータスがある。能力値はついでだ、ついで」
「……ッ」
「俺は、そのシステムから外れることを、『理の外』と呼んでいる。ステータスで計れる数も決まっているしな。だが、レベルを上げるだけでは『理の外』に出ることは出来ないが、ここで詳しい話をする必要はないだろう?……さて、話を続けるか。えーと、どこまで話したか……ステータスのことは取り敢えずこのくらいでいいか。次は、神界や魔界のことについて話そうか」
「……どういうことだ?」
ここに来てアキトが口を開く。
「神界も魔界も最初からあったわけじゃないと言うことだ。最初に言っただろ?俺が創ったのは神だと。神族は創っていない。なら、その神族を創ったのは誰か。まぁ、俺の配下だ。そして、神界を創り魔界を創り冥界を創った。冥界には死者しか入ることが出来ず、魔界では悪魔は自力で魔界から出ることが出来ず、神界は人間界に強く干渉することが出来ず、基本神界から出ることが出来ない。そうやって、バランスを取っているんだ。まぁ、その時の俺が秩序の側に傾いていたからだが……そんなこと言ってもお前には分からんからな」
レインにもいろいろな面がある。
普段の子供のような考えのもと行動している時や、秩序、バランスと言ったことを重視する時。それを単純な二面性で表すなら、秩序と混沌だろう。どちらよりか、それだけの問題だ。
「長い、本当に長い時間、神族は悪魔と睨み合い、時に殺し合い、されどどちらかの崩壊には至らず。俺はな、それが酷くつまらないと思うようになってきた。それに、世界も増えすぎいる。そろそろ、整理する時だってことだ」
「それを決める権利はない!」
「いや、ある。全ての始まりが俺であり、終わりも俺だ。壊すも残すも俺次第と言うことだ」
例え黒だとしても、レインが白と言えばそうなる。その逆もまた然り。
「そこで、ちょうどいいと考え、神界には滅んでもらうことにした。ゼウスにも一度死んでもらう」
「クッ!」
「『神の國』が攻めてくることは知っていたからな。神界の勢力に加担し、助けるつもりもない。傲慢で自分たちを支配者と謳っている神族にはいいお灸となるだろう?まぁ、全員死ぬかもしれんが」
ククク、喉を鳴らして笑う。
その様は心底面白い、と言っているようだ。
「そこで、俺の望みも達成できればなおよし、と言う感じだな。さて、大体は話したか……時々いるだよなぁ、俺の場所を特定してお前のように攻めてくる奴が。その褒美として、世界のことや神族のこととか話しているんだが……」
「……」
アキトがここまで来た理由。
それは、世界を次々と消しているからに他ならない。その行いが正義を実行してきたアキトには我慢ならなかったのだろう。
だがそれは、神族の成り立ちなど全く知らない状態でのことだ。知った今、アキトは自分の行いが正しいのかどうか迷いが出ている。
過去にも何度か同じようなことが起こっている。
「……それでも、それでも許すことは出来ない!無秩序な殺害を認めることは出来ない!」
「まぁ、認めろなんて言っていないしな。認めてもらうつもりも必要もない。俺に歯向かうも従うもお前らに任せている。俺としてはどっちでもいいのだよ。まぁ、しいて言うなら歯向かえ、盛大にな」
「何?」
「俺は暇なんだよ。全知全能の力を制限しているとしても、俺の領域まで来るものもほぼいない」
はぁーーーー、と長いため息を吐く。
レインの配下はレインへ弓を引くことはない。五帝と戦った時のように殺意を持って攻撃するとは、決まってレインからの命令がある時だ。
レインを殺すために、滅するために策を弄し、本気の本気でやろうとはしない。
「せめて、片腕程度は斬り飛ばしてくれる者を待っているんだがな……さて、世間話と褒美の話は終わりだ。始めようか」
「世界をあるべき姿へ正す!そのために、僕が来た!」
「あるべき姿は、今の状態じゃないんだがな」
それだけ言うと、アキトを抑えていた圧が消え去り、動けるようになる。
アキトも馬鹿ではない。彼我の戦力差を分かって入る。決して勝てないことも。だが、それでも、戦わないといけない。
「はあああああ!!!」
聖剣を構え、突撃する。
「あまり部屋を荒らさないで欲しいんだが……」
「らああああああああっ!!!」
何度も剣を振るうがレインには掠りもしない。
「ふっ!やああっ!!」
一度下がり、距離を取る。
すると、次の瞬間には白いオーラに包まれた。
そして、アキトの姿が消える。
現れたのは、レインの右後ろだった。
左に持った聖剣を居合抜きの要領で構え、神速の一閃を放つ。
「クク……一ついいことを教えてやる。俺のもとに辿り着いた奴らは全員が『理の外』に出ていた。だが、お前は違う。その点は称賛しているんだぞ?その白光も本来ならお前程度では使えない闘気だ。それもお前の元が関係しているんだろ?勇者と言う……それも、日本からの」
「ッ!?」
白い軌跡を残しながら迫る剣閃を人差し指を親指で摘まむように掴む。
それからも押し込もうと益々力を高めるアキト。
それに合わせ、身に纏う白光も力強く輝く。
しかし、
「ここまでの差がッ!!!」
ピクリとも動かせない。
元々果てしない差があることは分かっていた。
しかし、縛られている存在と縛られていない存在の差は数字で表せれるものじゃないことを理解できていなかった。まぁ、世界の在り方など、知らないのだから分かるはずもないのだが。それでも、少しは善戦出来ると思っていたのだった。
「さて、終わらせるか」
レインは少し摘まんでいる指に力を入れる。
それだけで、アキトの聖剣はパキンッと子気味良い音を鳴らし、割れた。
「ぼ、僕の聖剣……が?」
「この聖剣もお前が勇者時代から使っているものだろう?」
呆然とし、戦意を喪失しているアキト。
もう、レインの声が聞こえていないようだ。
そして、レインの言っていることも正解だ。勇者時代から使っている愛剣だった。その性能、切れ味、耐久度。よく知っている。それゆえにこの失態を見せてい待っている。
「この程度で心が折れるか……まぁ、唯一の武器を失ったのならこうなるのも必然かもしれんが、仮にも神族だろう?はぁ、精神的にも鍛えろよ」
そう呟いたレインは悪くないだろう。
人から神へと進化したと言うことは、それだけ試練を乗り越えたりと色々な面で鍛えられたはずだ。実力だけでなく、精神面も。それなのに、たかが武器一つでこうまで参るとは、期待外れもいいところだった。
右手を振るう。
ゴトンッとアキトの頭が床に落ちる。手刀で斬り落としたのだ。
「全く、本当に、なんでこんなのが俺の場所を見つけれたのだ?甚だ疑問なんだが……って言うか、セバス」
「はい、なんでしょうか?」
「なんで止めなかったんだよ」
レインは誰もいないはずの部屋でセバスの名を呼ぶ。
すると、いつの間にかセバスがレインの前に現れる。
レインはそれが分かっていたかのように戸惑うこともなく、説明を求める。
「主への久しぶりの客ですので、まっすぐお通ししました」
にこやかにセバスが説明する。
「だろうと思ったよ。こんな雑魚がお前たちの眼を掻い潜れるわけないからな」
直接転移することも阻害されているため、出来はしない。
だが、セバスが通したのなら話は別だ。
「まぁ、いい。そろそろ、神界でも動きがあるぞ」
「そうでございますね。そもそも、このタイミングでこの神族がこちらに来るのは愚策」
「全くだ。会議に参加せず俺のところに来て、これでも最上級の神だろうに、神界では戦力になるってのにこんなしょうもない死に方しやがって」
「なら、殺されなければいいのでは?」
「そんなことをしないのは、よく知っているだろう?」
「それも、そうですね」
そう言ってレインは、視線を上に向ける。
「後少し、後少しで面白いことに……」
その様子は、これから先起こる楽しみを待っているようにも、懇願しているようにも見えた。
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