181話 神合会議
Fateの1、2見ました!
いやぁ、桜好きなんで嬉しかったんですが……蟲ジジィとマキリの男衆許すまじ!!!って感じですね。
黒化したFateキャラ可愛すぎません?ジャンヌとかセイバーとか黒桜とか……!
場所は神界。
今日はいつもに増して騒がしかった。
その騒がしさと言うのも、ワイワイ騒いでいると言うよりも、慌ただしく何か問題が起こったかのような騒がしさだった。
そんな神界の一室。
普段、大事な会議や会談をする時に使われる、情報が漏れないようにされている部屋に神族が勢揃いしていた。
神王ゼウスを筆頭とする、上位に位置する神族が集まっている。
冷静に話し合っているわけではなく、ここにいるほとんどが神王ゼウスに対して物申している。
「これは一体どういうことですか!?」
「ゼウス様!お答えください!!」
それぞれが自分の支配している世界を持っている神がゼウスに問いかける。
しかし、ゼウスは一貫して沈黙を貫いている。
そんなゼウスの態度に段々とイラつきを増したのか、口調が荒くなっていく。普段なら、神王たるゼウスにこのような態度は懲罰されてもおかしくないが、今回は非常事態であり、ゼウスもそれを分かっているため、咎めない。だが、何も感じていないわけではない。正確には、自分の中の考えを纏めるために、集中しており、外にまで気を使う余裕があまりないためだ。
(今回のことは、主が動いているわけじゃない……)
今回はゼウスも神妙にならざるを得なかった。
主……レインの起こしたことなら、ゼウスも安心と言ったらおかしいかもしれないが、いつものこと、として対応出来た。
しかしながら、今回にはレインが関係していないと半ば確信しているだけに、犯人が特定出来ずにいるのだ。
先に問題のことを話しておこう。
なぜ、こうも神界の神が口々にゼウスに言っているのかと言うと、ある世界の生命のある惑星で、人間や魔族だったり、知性ある生命の強者個体が次々に死んでいるからだ。
例えば、一国の王だったり、その世界の最強クラスの者だったりだ。
前にも同じようなことがあった。
その時は、レインが行ったことだが、今回はその時と違っている。
それは、世界そのものが消えているのではなく、一部の者のみが死んでいると言うことだ。中には、巻き添えを喰らったと思わしき一般民もいるが、それは除外する。
レインの時は、神界の神がそれも戦闘に特化した神が集まり、レイン討伐隊を組み、立ち向かった。だが、容易く蹴散らされてしまった。そのため、レインに対しては傍観を決め込もうと言う意見で一致したのだ。ちょうどレインもある程度の世界を消したのち、それからは動きがなかった。
だからこそ、傍観、と言う受けに徹することを決めることが出来た。
だが今回は違う。
神界の皆が少し前に起こった、壊れる音を聞いていた。そして、その後にこのような事態が起これば、嫌でも関係性を疑うのが当たり前だ。
強者のみが狙われている理由もある程度は推測も出来る。
(あの空間振動。あれは、次元層が破壊された音だ。そこから感じる気配……我らに近い。境界が破壊された今、すぐさま攻めてこないことを考えると、対話することが望みか?いや、その線は低いだろう。なら、慎重に行動していると思った方がいい)
ゼウスは思考を巡らせながら考えを纏め上げていく。
レインのせいではない、と分かる一番の理由。それは、世界が消えてないからだ。レインの場合は数減らしと言うのが分かっているため、世界を残す必要がない。そう言った観点から、レインではないと言い切れる。
それを踏まえ考えると、別の勢力。第三勢力の攻撃だと思いつく。
(大きく動いていないならば、情報を集めるための行動。そして、強者のみが狙われているのも、強ければ我ら神界の神の存在を知っている、または、関係があると、そう思ったからに他ならない)
ゼウスは思考の海に囚われながらも、着実に真実に近付いていく。
その間も周りにいる神はゼウスに言葉を投げかけているが、それにゼウスは反応する余裕がない。考えれば考える程嫌な予感が高まっていくからだ。
(主なら放置すればいい。だが、違うなら全力を挙げ対処する必要がある。しかし、一向に尻尾すら掴めないとは……!)
焦燥……ゼウスは焦燥を感じていた。
ゼウスの持っている権能、『全知全能の権能』だ。だが、レインと同格と言うわけではないため、そして、同じ力ならどちらが強いと言うと、格上の存在の方に決まっている。そのため、レインに比べればいくらか弱いがそれでも神界の全戦力をかけてもゼウスには敵わない程の力だ。それゆえに神王の地位に居座れるのだが。
全てを見渡せる『千里眼』と言う能力も持っている。レインの『全視』の下位版とでも言えば分かりやすいだろう。
それを使い視たが、それを行ったとされる集団の姿だけがぼやけて確認することが出来ないでいた。
例えるなら監視カメラを確認しようとして見たが、モザイクがかかっていて肝心の犯人の顔が分からない。それに似ている。
「神王!!!!」
「……っ、ぁあ、どうした?」
「どうしたもこうしたもありません!さっきからどうしてだんまりなのですか!?」
そう言われ、ハッとする。
いくら考え事をしていたとしても、思考加速や多重思考が出来るゼウスが一つのことに思い耽るなど普段なら考えられないことだ。
だからこそ、自分がどれだけ考えに没頭していたかが分かり、気持ちを切り替える。
「すまないな、少し考え事をしていたのだ。それで、どうした?」
「我らの世界!今のところ神界に影響はありません!ですが、これ以上放置しておくと神界にまで手が伸びるはずです!」
「そうなるだろう」
「それともゼウス様はこれも『主』と呼ばれる者のせいだと言うおつもりですか!?」
「いや、今回は関係ないようだ。皆も感じただろう?あの空間振動を……気付いた者は気付いただろうが、あれは境界が破壊された音だ」
「それは分かっております!」
「そして、我は第三の勢力が我らの世界に干渉しだしたと思っておる」
「第三の……勢力、ですか」
そこで静まり返る。
神界の、神族の敵と言えば、遥か昔から悪魔だけだった。もとより人間は相手として入っていない。
そして、悪魔は魔界から出ることが出来ない。なら、第三勢力だと考えるのが自然だ。
「ああ、そして、第三勢力の面々は我らが思っている以上に脅威だと思われる」
「なら、放置しておけと!?」
「そうはいっていない」
ここまでこれば神界の場所が知られるのも時間の問題だろう。
そして、座標が分かれば直接攻め入られる可能性もある。それまで、何もせず相手の好き勝手にされれば自分の支配している世界が滅茶苦茶にされるのは想像に難くない。
「このままでは、人間界は滅茶苦茶にされるだろう。国は滅ぼされ、人は死に、最悪の場合だと生命が淘汰されるだろう」
「その通りです!今は、強者個体のみが殺されているため、世界全土には被害はありません!しかし、手段を選ばずに無差別に行動を起こすようなことになれば、文明が滅びるだけでは済まなくなります!」
人間は文明が滅びるような何かをすることは少なくない。
大量破壊兵器を作ったり、魔法の実験のせいで大規模な破壊となったり、あるいは外法に手を出し国々を滅ぼし尽くしたり、と自分たちで行う滅びも、管理神に行われる滅びもあったりとするが、大抵文明が滅んでも時間が経てばいつ間にか人間は増え、国を作り栄えていく。
「神王様が直接手を出すと言うわけにはいかないのですか?」
いくらか冷静になった神がゼウスに問いかける。
確かに、ゼウスの力を知っている神々からすれば、その問いが出るのも仕方ないだろう。
その問いに、ゼウスが答える。
「我が攻め入ることは出来ない。なぜなら、我でさえ敵の座標が分からず転移出来ないのはもちろん。敵にも我と同じ存在がいる可能性もある。ならば、出来て相打ちでしかない。もしくは、我の一方的な敗北となりうる可能性もある」
「そん、な……!?」
ゼウスの独白に愕然とする一同。
「よって、我個人で攻めることは出来ん。だが、後手に回り続ければ最悪の状態になってしまうだろう」
「ならばどうしろと!」
「今のところ、人間界のことは放置していいだろう。人間など、時間が経てば勝手に増えるものだ」
人間を軽んじる発言だが、実際その通りだ。
ゴブリン並みと言うと語弊があるが、それほどまでに人間は増える。なら、いくら強者個体だとしても、死んだ所で一向に構わない、とゼウスは考えていた。
その後ゼウスが提案したことは、一つ。
人間を囮としている間に対策を練り、防御態勢を整える、と言うものだ。
こちらからは敵の場所が分からないため、攻め入ることが出来ない以上、受けに回るしかない。なら、損害を最低限にするために、防御を固めなければならない。
「いずれ、ここにも攻めてくることになるだろう。それまでに例のモノを完成させよ」
それから意見を出し合い、対策を練る。
受けに回る以上本気でやらなければ一気に崩されるかもしれないため、皆が本気で考える。
ゼウスが最後に締めの言葉を言い、解散になる。
一人になった部屋でゼウスは愚痴る。
「はぁ、主が行うのなら簡単だが……傍観しておけば、最悪だけは免れるからな。しかし、そうでないこの状況、神界が滅ぶ可能性は充分にある。はぁーーーー」
重く深いため息を吐く。
「しかも、この状況を主なら知っているはず、それでも、何も反応がないってことは、関わるつもりがないと言うこと」
良くも悪くもレインのことを信じている、信頼しているのだ。
「今回は本当に、神界滅亡の危機かもしれないな……」
薄っすらとだが、ゼウスも気が付いていた。
今回、下手をすれば神界が滅ぶと。そして、それをレインが助けることはないだろう、と。
「まぁ、なるようにしかならんだろう。第三勢力、か。はは……我の力でどうにか出来ればいいが……」
弱気な言葉は、誰にも聞かれずに消えていった。
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