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超越神の世界旅行  作者: sena
第8章 外来宇宙編
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180話 賭けをしよう

 

 ダンテを殺した男は、背後の虚空に向けて声をかける。


「いつまで隠れているつもりだ?そろそろ出てこい」


 その声は森の中に消えていった。


「出てこないなら引きずり出すだけだが?」


 そう言うと、男の目の前の空間に影が差し、広がる。


「見つかっていましたか」

「いや、私も少し前に気付いた。驚いたぞ、この世界に私の感覚を誤魔化せる奴もいるとは」

「いえいえ、本当は最後まで隠れているつもりでしたが、まさかバレるとは……()()()()()()()()()()()()、さすがは、神と言うべきですか」

「……貴様、この世界の人間じゃないな?」


 現れた男の言葉を聞き、余裕のあった態度を消し、表情を険しくする。


「ええ、ついでに言えば、人間でもありません。そうですね、エイト、とお呼びください」

「エイト……なんの用だ?」

「あなたと同じですよ……偵察。それが、私の任務ですよ。しかし、失敗しましたね。主にもあまり関わらないようにと言われてたんですが……」

「ふっ」


 すると、突然男が動いた。

 エイトの首で、バシィィィイイン!!と音がし、風圧が近くの木を倒す。


「危ないじゃないですか」

「私の一撃を防御もせずに受け止めるとはな」

「防御はしてますよ?ほら」


 と言い、見やすいように首を傾ける。

 そこには、申し訳程度の魔力が纏ってあった。


「その程度の魔力で受け止めれる攻撃ではないが?」

「ふふ、そこは秘密です。それに、なるほど。神兵は、中級神、上級神未満と言ったところですか。他の仲間も別の場所にいるようですね」

「なんだそれは?」


 男はエイトから聞きなれない言葉を聞き、聞き返す。


「そうか、理の外、いや、ステータスという概念すらないようですね」

「ステータス?」


 男も一度攻撃を受け止められ、二度目の攻撃をする様子はない。

 エイトから情報を引き出すことを優先するようだ。

 だが、警戒は怠っていない。


「あなたの力を見るに、あなたの上官は上級神以上と言ったところですか。そして、まださらに上がありそうですね。やはり……」


 続いて言おうとしたエイトだったが、口を噤む。


「なんだ?」

「いえ、危なかったです。怒られるところでした」


 あはは、と苦笑する。


「さて、私はそろそろお暇させてもらいますね?」

「待てっ」


 逃がすか、と駆け、蹴りを繰り出す。


「それではーー」


 だがその攻撃はエイトの体をすり抜ける。

 ゆらゆらと炎のように姿が消えていく。


「逃がしたか……何者だ?」


 蹴りの威力は相当なもので、木々が吹き飛ばされる。

 情報源のエイトを逃がすが、すぐに気持ちを切り替える。


「エイト……この世界の神か?……何にしろ、また会うだろう。それより、このことを報告せねば」


 続いて男の姿も消える。


 そこに残ったのは、暴風でも吹き荒れたのかと思う程の惨状と、地下の拠点に大穴を開けられた、『黒の教団』のアジト。それから、ぞろぞろと集まってきた『黒の教団』の構成員たちだった。









 sideレイン


「やり合ったのか?」

「はい、すみません。思いの外感覚が鋭く、見つかってしまいました」


『神の國』の兵士、神兵の男の相手をしていた、エイトと名乗った男は、レインと話していた。


「しかし、エイト、か」

「それは言わないでください」


 照れたように言う。


「いや、中々いいんじゃないか?くふふ、ナンバーズの8。嘘ではないからな。それで、どうだった?カゲヌイ」

「そうですね、下っ端の神兵が中級神以上と言ったところで、その上官と思わしき人物は上級神以上と言うところでしょうか」

「そうだな、それ以上は……」

「はい、確実に最上級神以上の実力者、そして、我らと同格の力を持つ者もいるでしょうね」

「ああ、お前たちは情報を集めるだけだぞ、今回のように姿を見せるのは出来る限りでいいが禁止だ」

「分かっています。我らの存在を今はまだ知られるわけにはいかないですから」

「そうだ。しばらくは傍観していようじゃないか。追い詰められて覚醒する奴も出てくるかもしれないだろう?」


 ククク、と悪役のように笑っているレインに、エイト、もといカゲヌイは苦笑する。


「そんな都合よく起こりませんよ」

「それもそうだが、起こる可能性はあるだろうよ。限界まで力を出して届かないならば、限界を超える鹿ないからな」


 長い白髪を指先でくるくるとしながら話す。


 足りない力は全身からかき集め、それでも足りないなら命を燃やす。

 命懸けの戦いとはそういうものだ。誰も死にたいとは思わないのだから。


「それで、()()()が現れるのを待っておられるので?」

「いや、それは、アシュエルがなりそうだからな」

「なるほど、ですが、まだのようですね」

「そうなんだよな、アシュエルの才は計り知れん。何かきっかけさえあれば……まぁ、それは、置いといて、カゲヌイ、賭けをしよう」

「賭け、ですか?」

「ああ、神界が滅ぶまでどのくらいの期間がかかるか、だ」

「滅ぶのは確定なのですね」

「正確には、全神族が滅ぶことはないだろうが、滅茶苦茶にはなるだろうな」

「そういうことですか」

「そういうことだ。俺は三ヵ月」

「って、主に有利すぎませんか?未來視を使えば分かることですし」


 レインは未来を視ることが出来る。

 まぁ、当たり前だろう。しかし、そういった能力は基本的に制限している。


「使わんさ。知っているだろう?」

「念の為です……そうですね。私は、二ヵ月と言ったところでしょうか」

「ほう、一ヵ月も早いか。さて、賭けに負けた方は、なんでも言うこと一つ聞くと言うことでどうだ?」

「それは、女性たちが喜びそうな褒美ですね」


 カゲヌイは嬉しそうだが、仲間の女性たちにこの賭けのことが知られれば、どうなるか予想できるため、素直に喜べない。


「俺たちだけの秘密だぞ?」

「分かっております」










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