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超越神の世界旅行  作者: sena
第8章 外来宇宙編
182/266

179話 黒の教団

ツイッター連携ってどうやるのか分かりません!!!

 sideダンテ


「はぁ、()だなぁ……」


 俺は今、南の森の前に立っている。

 ここの先に『黒の教団』がいると思うと、気が滅入ってしまう。二の足を踏むのも仕方ない、がそれは許されない。


 大体、あんな狂人の集団に近付きたいなんて普通は思わないだろう。

 もし、俺が捕まれば、よくて殺される。最悪、人体実験や生贄にされそうだ。


「スキル発動、『無音』」


 俺は持っているスキルの一つを発動する。

『無音』のスキルは文字通り、音をなくすスキルだ。隠密には持ってこいのスキル。これにより、俺が発する音は周囲に漏れない。

 だが、消えるのは音だけだ。魔力も隠せないため、極限まで抑えている。それでも、魔力を感知するスキルを持っていた場合はバレるかもしれないけど。


「さっさと行ってさっさと戻ろ」


 やる気はないが、一度引き受けたなら本気で行う。

 これは俺の性分だ。


 足跡が残らないように、地面を歩くのでなく、木に飛び移りジャンプしながら渡り歩いて行く。


「ったく、なんで俺がこんなことをしなくちゃならないんだっての……まぁ、自業自得か」


 理由は分かっているのに、悪態を吐かなきゃやってられない。

 思わず、口をついてしまう。


 木々を抜け、少し開けた場所に出た。

 その時、黒い人影が見え、急いで気に身を広める。


(あの法衣……『黒の教団』か。マジでいるとはなぁ、デマだと一割くらいは信じてたんだが……)


 人数は二人、黒い法衣を纏っている。

 服の端には金の細工をされており、高級な物だと一目でわかる。


(あれ売ったら金になるんじゃね?……やめとこ)


『黒の教団』の服を売ったなんてバレたら今度こそ除隊されられるだろう。

 そんなことになったら、本当に困る。


 後姿なため、男か女かもわからない。

 何かを話しているようだが、離れているためよく聞き取れない。


(これ以上近付くと気付かれるよな?……ッ!)


 しばらく様子を見ていると、突如二人が辺りを見渡す動きをする。

 キョロキョロと見られては困ると言うように、しきりに確認している。


 どうやら俺の存在には気付いていないようだ。


 そして、地面が開いた。

 隠し扉だ。

 サラサラと砂が落ちていき、階段が露わになる。


(地下か!そりゃ、見つからんはずだわ)


 拠点があると言うのは分かっていたけど、まさか地下にあるなんて思ってもいなかった。

 他の構成員が出てきたりしないか、確認した後に、俺も隠し扉があった場所まで行く。


「ここか?」


 やってきたはいいものの、特に変わったところはない。

 何か仕掛けがあるようには見えない。いや、隠し扉があることは分かっているんだが。


「クソッ、ここまで来て入り方が分からんとは……いや、逆に考えて、「場所は分かったけど、入れませんでした」でいいじゃね?」


 そうだ。別に無理して危険を冒す必要もない。

 そもそも、拠点を見つけただけでも大金星だろう。


「よし!そうと決まればさっさと戻ろう!こんな、『()()()()』のアジトの近くになんてーー」


 そこまで言ったところで、立っていた地面がサラサラとなくなった。

 急に地面が消え、態勢を崩し、無様にも尻餅をつく。


「あてっ!なんだよっ……あ?開いてんだけど……?嘘でしょ?」


 しばらく呆然としてしまう。

 せっかく帰ろうとしたところで隠し扉が開いてしまった。


(まさか、『黒の教団』って言葉が(キー)になってんのか?いやいやいや、マジで?)


 開いてしまったものは仕方ない。

 と、諦め中の様子を見ることにする。


(あーあ、行きたくないけど……もし、中に入った時、それが伝わればすぐに集まってくるだろう……それがないってことは、バレてはないってこと、か?)


 最悪の状況だけは考え、そうならないように行動することを決め、ゆっくりと階段を下りていく。


(足音も消してる。魔力も抑えた。頼むから強い奴出てくんなよ!)


 心でそう願いながら進んで行く。

 数分程下っていくと、少し広い空間に出た。


 小さな部屋とも言えない空間だ。

 何もない、ただの空間。

 だが、


(血の匂いが沁み込んでいる。拷問でもやってんのかよ……やっぱ、関わりたくねぇ)


 長年使われているのが分かる。

 見える範囲では綺麗に掃除されているが、所々、薄く赤い色がついている。それが、血の跡だとすぐに気付いた。


(先にも通路は続いている……か。なら、進むしかないよなー。でも、戻れなくなったりしないよな?)


 ここまで来て戻る、と言う選択肢もある。

 だが、ここまで来たからこそ、もう少し進みたいと思ってしまった。

 いや、ごめん。嘘、今すぐにでも帰りたいです。


(ううぅ、くそぅ、進むしかないのか……いや、でも……)


 うーんうーん、と頭が痛くなる程考える。

 って、本当に頭痛くなってきた。


(よし、進むか。もう、どうなっても知らん!)


 進むことに決めた。

 通路は前方に一つだけ。この空間が実際なんのために作られたのか、あるのか分からないが、道が一つなのはありがたい。迷わなくて済むのだから。


 ちょこん、と顔を少しだし、誰もいないことを確認してから進んで行く。


(最初の二人が入ってからもう、十分は経ってるはず。この地下がどのくらい広いのか分からんけど……)


 進んで行くと、扉がいくつかあった。

 しっかりと閉じられているため、中で何が行われているのか全く分からない。


 地下だと言うのに、なぜか光は確保されている。

 今まで疑問にも思っていなかったがこれはおかしい。

 特に通路にも光源があるわけでもなく、俺が『暗視』などのスキルを発動しているわけでもないのに。


(なるほど、床とか壁が僅かに光ってるのか。なんの素材か全く分からん……けど、光が必要じゃないのは助かるな)


 暗い通路に、光を灯していたらそこにいるのが丸わかりだからな。


 それから、いくつかの扉を通り過ぎると、分かれ道に出た。


(どっちに行くか。足跡が残って入ればいいんだが……それもない)


 取り敢えず、右から行ってみることにする。


「ったく、なんで俺がこんな役目を……いや、俺のせいなんだが、怖いんだっての」


 誰だって、狂人の住処に行きたいとは思わないだろう?


「全く、誰もいないし、部屋も何個もあるし、今どこいるのかも分からんし」

「君は誰だ?」

「俺?俺はダンテって……ぎょえええええ!?」

「むっ、うるさいぞ。静かにせよ」

「待て待て待て、お前誰だよ!?」


 ザザザザッと後ろに後退る。

『無音』のスキルを発動しているから声に出したところで周りには気付かれない。なのに、声をかけられたこともそうだが、スキル発動中の俺と会話出来ているこの男が不気味過ぎる。


 青年に見えるいつの間にか隣にいた男は、イケメンと言えるだろう。街を歩けば、女にモテそうだ。


(クソッ!なんでこんなとこまで来て、イケメンを見なきゃならねぇんだ!死ね!)


 思わず心の中で毒づいても仕方ないだろう。

 イケメンは全員滅ぶべきだと俺は思っている。その顔だけで、女がホイホイ寄ってくるんだからこの世の中不公平だろう。


(じゃなくてっ!こいつ、いつからいた?)


 剣を抜き、構える。


「それで、ここはどこだ?」

「……ここは、『黒の教団』って言う、犯罪組織の住処だ」


 剣を構え、警戒しながら質問に答える。

 黒い法衣も着ていないし、敵意もないことから『黒の教団』の奴ではないだろう、と思い正直に答える。


「ふむ。黒の教団、か。それで、お前は()()()()()()()()?」

「この、世界?何を言っている?」


 まるで、自分は違うとでも言いたげな男の発言に疑問を持つが、いちいち反応していては、見つかってしまうかもしれない。


「まぁそれより、あんたは誰だ?」

「私は神兵だ」

「新兵……なるほどな(職じゃなくて、名前を言えよ!)」


 心の中で罵倒する。

 なんか、こいつが来てから嫌な予感が付きまとっている。


「あんたはどうするんだ?俺は、ここに用事があるんだが」

「私はただの調査だ。案内せよ」


 こいつ……いちいち発言が鼻につく。

 自分が格上だと思っているのだろう。完全に俺のことを案内役かパシリとでも思っていそうだ。


「何者だ!!!」


 その時、黒い法衣を着ている数人の集団が集まってきた。


「やっぱり!こんなとこで話しているからだぞ!?」

「ふむ。ダンテ、と言ったな。こやつらを倒せ」

「ああ、じゃねぇよ!?お前のせいだっつの!!!」


 完全にこいつのせいだろう。

 俺の声は聞こえていないはずだ。なら、必然的にこいつのせいってことになる。


(クソがっ!さっさと別れてればよかった!)


 悪態を吐くがもう遅い。

 すでに、『黒の教団』が向かってきており、逃げられる雰囲気ではない。

 こうなれば、立ち向かうしかない。


「侵入者だ!!!囲め!囲め!」

「やべっ!おい、あんた!手伝ってくれ!」

「断る」

「ああ、そっちをたの、断る!?いやいや、この状況分かってんの!?絶賛ピンチなんだけども!?」

「私に関係ない」

「いや、あんたのせいでこうなっているんだけど!?あーも!めんどくせぇ!こうなったら……かかってこいや!」


 バレたなら仕方ない。

『無音』のスキルは音を消すだけ、姿は消えない。つまり、普通に見える。


「かかれ!」

「おらあああっ!」


『黒の教団』の数は、六人。

 通路の幅は五メートル程。前に三人、その後ろに三人の陣形だ。全員が、黒塗りされた短剣を持っている。この幅と人数でも戦えるように、その武装なのだろうが、見た目的に法衣を着た暗殺者かって思ってしまう。


 手伝わんと言っているし、俺だけでやるしかない。


 最初は、近くに来ていた者から対処する。

 小振りで素早く振り抜かれた短剣を屈むようにして躱し、斬り上げる。


「ぐあああ!!」

「次!」

「こいつ!」


 斬った奴を蹴り飛ばし、後ろの奴らを巻き込むようにして倒れる。

 すぐさま対象を切り替え、ステップを踏むようにして攻撃を避け、カウンターを決める。


(前の奴らはあと一人、この程度の実力なら俺でも充分に対処できる。問題は、こいつらが下っ端だろうってことだ!)


 幹部クラスがここにいるかは分からないが、もしいたなら、俺では対処できない可能性が高い。


 三人目は、剣を投擲して殺す。

 そして、頭に刺さった剣を引き抜き、バックステップで下がる。


「ふぅ、後三人」

「くっ、押せ!押せ!相手はただ一人だぞ!」

「いや、逃げて欲しいなぁって……無理ですよねぇ」


 少し、撤退するかなぁ、と思ったが、やはりそうはならなかった。

 人数が少なくなっても、撤退という二文字はないらしい。仲間が死んだことにも驚いていないし。


「だから嫌だったんだっての!」


 壁を蹴り、次に反対の壁を蹴り、ジグザグを描きながら近付く。


「なんだ!?」

「ああああ!?」


 壁が頑丈で本気で蹴っても大丈夫なのは確認済みだ。なら、使わない手はない。

 普通の場所では出来ない動きに対処できず、無残にも斬られる。


 二人目を突き刺し、そのまま押し込み、後ろにいた奴も刺し通す。


「があああ!?く、そ……」

「ふぅ、じゃなくてっ、逃げるぞッ!?」


 遠くから聞こえる足音を聞き、早くこの場を離れる。

 ついでに、この無礼な男にも声をかけようとした瞬間に殺気を感じ、剣を盾に防御する。


「ぐっ!!」

「ふむ。受け止めるか。力加減がいまいち分からんが、こいつが強いのか?」

「いきなり何しやがる!!!」


 突然、襲い掛かられ悪態を吐く。

 しかも、完全に殺す気だった。もし、受け損なっていれば死んでいた。


「どうせ殺すつもりだからな。教えておいてやろう。私は、この世界の戦力を計るために遣わされた。そして、結果。脅威とはなりえない。よって、第二の目的を果たすとしよう」

「チッ!(まずいな、こいつめちゃつえぇ)」


 先の一撃で分かった。

 手加減されて、俺の腕が痺れる程の攻撃。ただ殴られただけで踏ん張ることも出来なかった。


「第二の目ーーッ!?」


 男の姿が一瞬で消えた。

 嫌な予感を感じ、防御スキルを使えるだけ使い、全力で魔力を防御に回す。

 次の瞬間腹に衝撃を受け、俺の体が上空に吹き飛ばされる。


 壁をいくつも突き抜け、外に飛び出る。


「……ぁ、俺生きてる……」


 蹴られた後、意識を失ってしまった。

 戦闘中に意識を失うとは、危なすぎる。


「ホントにクソッ!……全力で防御したのに、どんな攻撃力だよ!げほっ……ぜってぇ骨折れてるわ」


 大声を出したことで、ビキッと痛みが走った。

 幸い、本気で防御したことにより、内臓は傷ついていないようだ。多分。


「しかも、外かよ……うわぁ、この穴俺が吹き飛ばされて開いたの?」


 痛む体を抑えながら、視線を向ける。

 するとそこには、無理矢理開けられたような穴が開いており、下までよく見える。


「これ、『黒の教団』の奴らにバレるよな?体痛ぇし、もう帰りたい」


 現実逃避しようにも、体が発する痛みのせいで出来ない。


 と、その時、聞きたくもなかった声が聞こえた。


「生きていたか。悪運の強い奴だな。先の一撃は完全に絶命までいったはずだが……」

「おかげさまでな。気分は最悪だ、痛ぇし辛いし……マジで何者だ?」

「お前が知る必要はない。今度こそ確実に殺すからな」


 そう言うと、また姿が消えた。

 見失うのは、俺の動体視力では追い切らない程速いからだ。

 気を失っても握っていた剣を感に従って突き出す。


(剣が!?)


 そこには、刀身がなくなった柄だけの剣があった。

 こんなのじゃ、防げない。

 剣を捨て、腕で防御する。


「がっ!!!」


 防御した腕に足先がめり込み、砕く。

 そのまま勢いは収まらず、胸にまで届く。


「ふむ、これでも死なぬか。防御だけは得意と言うことか?」

「あぁ……ッ」


 ぶらんっと腕を下げ、鈍痛が響く。

 腕は完全に折れ、力が入らない。胸に衝撃を受けたせいで上手く呼吸が出来ない。


「ひゅぅ、ひゅぅー」

「まぁ、致命傷だな。これで終わりにしよう」


 再度姿が消えた。


(あ、これは無理だ……)


 次の瞬間に視界が真っ暗になった。








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