144話 装備ガチャ
俺は、焼いた鹿肉を食べながらここ一週間宿屋としていた洞穴の中で考えていた。
「『火炎弾』これは使えるな。それに、魔法を使う狼とか、やっぱ魔物か?」
そう、この一週間していたことは、狼の魔物やたまに出る鹿を相手にGPを貯めていった。果物とか木の実は危なっかしくて食べれない。毒とかあれば、解毒出来ないからだ。
「鑑定とかあれば楽なんだが……ガチャで狙っては出ないよなぁ」
この一週間の成果は……。
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【名前】斎藤玲音 【GP】3100
【生命力】2370/2370 【魔力】4700/4700
【能力】『S:強奪』『A:裁縫』『C:剣術』『C:魔力強化』『D:槍術』『D:鎖鎌術』『D:投擲』『D:筋力強化』『D:魔法耐性』『D:脚力強化』『D:聴覚強化』
【魔法】『D:火炎弾』『D:水弾』
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こんな感じだ。
魔物の強さによって得るGPが違うみたいだ。
狼が最低50GPだった。強かったやつが、100GP。鹿も同じだった。
「結構狩ったからな……ってか一週間魔物しか狩ってない、人どこおるねん!?一ヵ月しかないのに、四分の一誰とも会わないってそんなことある?」
そのおかげで、GPを貯めるだけ貯めれたからいいけど。
「さて、ガチャの時間ですねぇ!」
ホクホク顔で、ニヤニヤしながらガチャ画面を見る。
「取り敢えず、そろそろ武器が欲しい。空手使ってやってたけど、『体術』とか手に入らんかったし、自力ではスキルを得ること出来ないっぽいんだよなぁ」
よくある異世界物だと、鍛えたりして能力を手に入れているけど、これは完全にゲームのようだ。ガチャでしか手に入れることが出来ず、それを使ったからと言って、ランクが上がるわけでもない。とにかくランクを上げたいならガチャを回して回して回しまくれ、そういうことらしい。
「それじゃ、装備ガチャポチッと」
『装備ガチャ』初めて回したけど、こっちは黒色のカプセルだった。
11個のカプセルが現れ、それを全てタッチする。
出たのは、『☆10皮のグローブ』『☆9俊足の靴』『☆10逆撫での槍』『☆9炎の杖』『☆7黄金のぬいぐるみ』『☆9鉄の剣』『☆6蠱毒の剣』『☆9生命の指輪』『☆10体力の指輪』『☆9防御の腕輪』『☆9防御の腕輪』
「うわっ早速被った……グローブと靴は早速使おう。逆撫での槍……?」
『☆10逆撫での槍』、普通の槍とは、まっすぐの棒に短剣のような刃が付いている。けど、この槍は、柄の部分が反っている。日本刀のような感じで、柄が反っている。
「それに、炎の杖炎魔法に補正がかかる……俺の『火炎弾』も威力が上がるんかな?って、まただよ、☆7のぬいぐるみ、意味わからん」
『能力ガチャ』の時もそうだったが、何か一つは『ネタ系』が出る決まりなのか?真面目に疑問に思っている。
「しかも、黄金のぬいぐるみって……で効果は?」
◆◆◆◆◆
『黄金のぬいぐるみ』 ☆☆☆☆☆☆☆★★★
持っているだけで、物理攻撃、魔法攻撃に30%の補正がかかる。
ぬいぐるみが傷付いても、魔力を注ぐと修復される。
◆◆◆◆◆
「……やっぱり……物凄く有能だわ……30%、1.3倍か……でもなぁ、このぬいぐるみ、俺が持っとくの?噓でしょ?」
ぬいぐるみと言ってもそんなに大きくはない。片手に収まるくらいの小さいやつだ。でも、こんなに金ピカのしかも可愛い感じの、いかにもぶりっ子の女の子が持ってそうなぬいぐるみなのだ。
「ま、まぁ効果が高いからな……『縫合』」
服の裾にぬいぐるみを縫い合わせる。
これまでで、一通り使える能力は試してきた。
「これでも効果あるよな?……じゃあ次、一番ランクが高いこの剣」
『☆6蠱毒の剣』、毒々しい紫色の刀身に、刀身がジグザクしている。剣と言うより、短剣に近い……短剣よりは少し長いか……?
「鉄の剣手に入れたけど、ランクがなぁ……やっぱ蠱毒の剣が一番強いよな、しかも、厨二心を擽るこの感じ……かっけぇー!」
ふふふ、とニヤケてしまう。
っと危ない。頬攣りしようとしたけど、蠱毒ってくらいだから、斬ったら毒にかかりそう。
「これも詳細を見ないとな」
◆◆◆◆◆
『蠱毒の剣』 ☆☆☆☆☆☆★★★★
毒を斬った相手に流し込むことが出来る。
魔力を注ぐことで、猛毒を作り出すことが出来る。
毒の種類は、『麻痺』『石化』『睡眠』『盲目』『混乱』『出血』の六つがあり、その中からランダムに対象へ与える。
◆◆◆◆◆
「おお!さすが☆6だな!強い強い!」
剣を持ち、ヒュッ!ヒュッ!と振る。
剣術の補正のおかげか『剣の使い方』と言うものが分かる。
風を切る音が耳に伝わる。
「ふぉおーーー!!よしよし、これで、武器も手に入ったし、指輪と腕輪は嵌めて……と、そう言えば被ってたこれどうしよ?」
『防御の腕輪』が二つある。二つ嵌めて二倍の効果があれば、付ける価値はあるけど、ないなら邪魔になる。特に、使わない剣とか邪魔過ぎる。
「ああーーーーもう!こういう時ヘルプとかあればな!!!」
『どうかしましたか?』
「え……?」
俺は辺りを見渡すが声が聞こえただけで、誰もいない。
「誰だ!」
手に入れた蠱毒の剣を構え、警戒する。
『はぁ、私はヘルプです』
呆れた声と同時に、俺の前に画面が現れ『私はヘルプです』と文字が現れる。
分かりやすいように、画面に表示したのだろう。
「うわっ、しかもこれ頭に響いてね?」
『そうです、ご主人様』
「ご主人様……ん?おい!今、変なルビなかった!?」
『何を言っているんですかご主人様』
「ほら言ったーーーーーー!?やっぱ言ったよね!?」
『それで、何か聞きたいことが?』
「おい!……まぁいいや、それで、この装備使わないけど、どこかに収納したいんだけど、何かないのか?」
『でしたら、インベントリを使えばよろしいかと』
「何それ?」
『ゲームとかでよくあるあれですあれ』
「おい、せめてヘルプならちゃんと説明しろよ……まぁいいや、インベントリ」
そう言うと、画面が現れる。
それは、四角の欄がたくさんあった。
「ここに入れるのか?どうやって?」
『収納、と言えば入れることが出来ます、ご主人様』
「なんか、ただの悪口を言われた気が……『収納』」
何か言われた気がするが、取り敢えず、使わない武器をインベントリに収納する。
収納と言った瞬間、持っていた鉄の剣が消える。
インベントリの中を見ると、鉄の剣のアイコンがあった。
中に入ってのか?
「なら炎の杖も『収納』『収納』っと」
『炎の杖』と『逆撫での槍』を収納する。
アイテム欄に合計三つのそれぞれのアイコンが表示される。
「で、どうやって取り出せる?」
『無理です。一度入れたものは取り出せません』
「は?」
『冗談です』
「おい!?まじでビビったぞ!?」
『ほんのお茶目な冗談じゃないですか。それで、取り出し方は、アイコンをタッチするだけです」
「ってか、ヘルプなのに、人格ねぇか?」
ヘルプに対して疑問を感じながらも、鉄の剣のアイコンをタップする。
すると、目の前に鉄の剣が現れる。
簡単だな。これで、持ち物を持ち歩かないで済む。
「スキルは……って、ガチャ回した後って、敵が来るって決まってんのか?」
「プギィーーーー!!!」
猪がいた。
え?猪?狼と鹿だけじゃないのか?
「まぁ、何だっていいや。猪ってことは、突進だよな」
「プギィ!!!」
前足で地面を引っ搔きながら、俺に向けて突撃してくる。
当たるギリギリで、横に避け、蠱毒の剣でグサッと斬りつける。
「プギィ!?」
傷自体はそこまで大きくない。
かすり傷と言っていいくらいの傷だ。
だが、再度俺に突撃しようとしていた猪が、突如フラッとふらついた。
「ぷぎぃ……」
「これって、麻痺か?」
ピクッピクッと痙攣したまま、立ち上がらない。
俺は、猪のところに念のため警戒しながら近付き、頭に蠱毒の剣を突き刺す。
「いい!いい!凄く良い!うへへ」
『気持ち悪いですよ』
「……」
てかこいつ勝手に出てくるのか?
しかもやっぱ自我持ってるわこいつ。
「よしっ!これがあれば、楽にGPが手に入れられるな!」
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