140話 対十二天将
やっぱり、陰陽師かけそうにないです!!
なので、日本でのことは、番外編とか閑話だと思ってください!
「決闘だ!!!」
日本へと呼ばれた途端に戦いがレインを待っていた。
レインはクリスティとホテルで一夜過ごした後、そのまま海外へと転移し、有名な温泉を回っていた。ちょうど、フランスにいた時に、電話が鳴り、急いで日本に戻ってきて欲しい、とのことだった。
だから、転移で戻り、待ち合わせの場所に行き、車に乗せられ十数分。数人の人が集まっており、レインの到着を待っていた。
車から降りたとたん、冒頭のセリフだ。
「なんで?」
いきなり連れて来られ、「決闘だ!」とか言われても、意味が分からない。
「それは私から説明しましょう」
そう言ってきたのは、完全院虎彦だった。
「まずは、ご足労ありがとうございます。それで、今の状況ですけど……十二天将が集まり会議を行ったのですが、そこで貴殿の名を出したら……」
後ろをチラッとみて、肩を竦め、続けて言う。
「貴殿の力を確かめる!……って言われましてこんな状況に」
「めんどくさいな」
「すみません!こちらの不手際で!」
レインがため息を吐くと、完全院の肩がビクッと震え、謝罪を口にする。
「でも、相手も十二天将なのだろう?」
「は、はい……十二天将が一人、『六合』軽井沢光です」
「そ。んじゃ、始めますか」
「それでは、妾が先に」
レインが戦うまでもない、そう思っての言葉だったのだろう。
だが、レインは、
「いい、俺がやる」
「分かりました」
物分かりがよく、すぐに引き下がる。
数日前なら、レインを軽んじることを言われたりしたならば、すぐに手が出ていただろうが、ここ数日、レインと二人だけで楽しく旅行が出来たから気分がよかった。常に、ニコニコとし、周りを魅了する笑みを浮かべている。
「審判は私が努めます」
「ああ、それでいい!」
軽井沢光。26歳。明るめの茶髪にピアスを開け、いかにもヤンキーと言う言葉がしっくりくる。
だが、その実力は折り紙付きだ。十二天将とは、親の七光りなどでなれる程軽い称号ではないのだから。
「こほん……それで、『六合』軽井沢光対……そう言えば名前は何て言うんですか?」
場が白けた。
せっかく始める、となったのに、レインの名を知らなかったのだから。
「レインだ」
「それでは、改めまして、『六合』軽井沢光対レイン殿の決闘を始めます。……開始!」
開始の合図と同時に霊符を取り出し、攻撃に移る。いや、移ろうとした。
「うがっ!?」
だが、移れなかった。
霊符を取り出したところで、何かに押しつぶされるように、全身が重くなったように、膝をつく。
「な、なに……を…………くっ、した!」
「やっぱつまらんな。これが、陰陽師最強って言われている十二天将か。弱すぎる。魔力自体は多少あるが、それの使い方がなってない。荒すぎる」
「がぁあ!?」
ズシンッ!と顔と地面が接吻したまま、地面が砕ける。
霊装を纏っているため、肉体が壊れてはいないが、それでも痛みは感じる。
「これ以上すると、死ぬな」
レインは、人差し指を前に出し、ひょいっと上に上げる。
すると今度は、軽井沢の埋まっていた体が、重力に反するように、空に浮かび上がっていく。五メートル程浮かんだところで、一瞬軽井沢が消えたかに見える程高速で地面に激突する。何回も繰り返される。
レインからすれば、指揮者のような気分だ。
自分の振る指に合わせて、軽井沢が動く。
地面に何度の叩きつけられて、鼻は砕け、歯も折れ、肋骨も全て折れ、すでに意識はない。
再度、ドッガッン!!!となったところで、止めとばかりに、今までより高く、十メートル程浮かび上がる。
「し、終了ぉ!試合終了です!即刻やめてください!?」
審判の完全院がそう言うが、レインは止まらない。
すると、観客として見ていた三人の十二天将がレインを囲む。
「今すぐやめろ!!!」
「光を下ろしなさい!」
このままだと殺されると思い、止めるために、霊符を用意し戦闘態勢で、レインへと警告する。
その時、空から三つの雷が三人の足元へ落ち、地面を穿つ。
当たって入れば、それだけで死んでいるだろう威力だ。
「レイン様のお遊戯に手を出すとは、殺しますよ?」
穏やかな口調で穏やかではないことを言う。
クリスティの警告に十二天将の三人が、息を呑む。
その時、レインの最後の攻撃が始まった。
今までより、高い場所から、今までより速く地面へと吸い込まれるようにぶつかる。
ボギッ!!!ともグシャッ!!!ともとれる音がする。
しかも頭からぶつかったため、頭蓋は砕け、原型をとどめていない。確実な『死』だ。
「光ぅーーーー!?お前らぁ!!!!」
一瞬の怒りが体を突き動かした。
雷に穿たれた地面を踏み越え、レインへ向け走り出す。
「…………急急如律令!」
炎弾を放つ。
数十の炎弾が、レインを襲う。
だが、レインへと届く前に、急に勢いを失ったかのように地面に落ちる。
「その程度……ん?なるほど、そうか」
落ちた炎弾は消えるのではなく、そのまま残り、ボォウ!と燃え上がる。
そこから、炎の蛇が現れ、レインに噛み付かんとする。
「『騰蛇』か……だが、その程度の火力ではこの身は焦げん」
地面に着弾した炎の半分がレインへと向かいもう半分は、一つに纏まり大蛇となった。
「シャアアアア!!」と威嚇の声を上げ、体をくねらせながらレインへと絡みつく。
しっかりと、足から順に巻き付く。
「真っ赤で前が見えん」
大蛇は万力のような力で締め上げる。
だが、一定以上締め上げることが出来ないでいた。
困惑したような声を上げ、ますます力を入れながら締め付ける。
「炎よ、散れ」
レインは言う。
その瞬間、燃え盛っていた大蛇が弾け、火の粉を残し消え去る。
炎の蛇を構成していた霊力を散らしただけだ。それで、形を保てなくなり、霧散したのだ。
「凍り付け」
最後の魔法を使う。
レインを中心とした半径十メートルの全てが凍り付いた。
ただそれから免れたのは、完全院虎彦、ただ一人。完全院以外の十二天将は凍り付いた。
「こ、これは……!?」
「やっぱりこうなりましたね」
「アシュリーか……」
そういう声が聞こえた瞬間、アシュリーがレインの横に転移で姿を現す。
「血の匂いって」
「凍っているから匂わんだろうに……さて、完全院だったな。一度言ったからには、手を貸そう」
「だが、その前に」と言い、指を鳴らす。
すると、そこには最初から何も起こっていなかったかのように、元に戻った。
地面の傷も、凍っていた地面も人も、凍り付き死んだ十二天将も、レインと戦い原型をとどめていない軽井沢光も、全てが元に戻った。
簡単に言えば、死人が生き返った。
「な!?まさか、死者を蘇生したとでも!?」
「あ?その程度でいちいち騒ぐな。今回はサービスだ」
「あ、ありがとうございます……?」
現状が全く読み込めておらず、呆然としている。
「クリスティ、アシュリー。もう地球に用はない、帰るぞ」
「はぁい!」
「了解です!」
二人は、パァ!と顔を綻ばせ、返事をする。
「それじゃあ、用があるなら電話しろ」
「……」
未だに、ショックが抜けきっていないのか、呆然と眺めながら立ち尽くしている。
それを横目で見やり、言葉をかけ、転移で消える。
面白い!
続きを読みたい!
と思ってくれた方評価して貰えると嬉しく思います!
☆☆☆☆☆を貰えるととても喜びます!お願いします!!!
そして、評価してくださった方ありがとうございます!