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超越神の世界旅行  作者: sena
第6章 世界侵略編
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137話 邪魔なんだよ

 sideレイン


 レインとアシュリーはホテルで一晩過ごした。


 日本滞在二日目。


「なぜか、監視が増えた」


 当たり前だが、監視を消してしまったのだから、危険人物として捉えられていても仕方ない。

 それで、監視が増えたのも自業自得と言うものだろう。


 レインも最初の数回は監視の目を消していたが、もはや消しても消してもその場しのぎにしかならず、めんどくさくなり、無視し、久しぶりの日本観光を楽しんでいた。


「それで、レイン様ぁ?なぜこの女が?」

「いいでしょ!あなたは昨日デートしたのだから!次は、妾の番!」


 いつの間にか、泊まっていたスイートホテルのレインのベットの中へ侵入していたのは、クリスティだ。

 完全に不法侵入だ。


「レイン様!ですよね!」

「まぁ、次は、クリスティの番だが、エレインはどうした?」

「なんかやることあるってどこか行きましたよ?」

「そうか……なら、アシュリーとはここでお別れだな」

「え~!!ヤです!」

「ふふん!妾と!デート!なんだよ!」


 ドヤ顔で決めているが、アシュリーは、クリスティの前にしているのだから、お相子……なんだけど、アシュリーは、悔しがっているからいいのだろう。……いいのか?


「ってことで、行こうか」

「はい!」






「はっ!」


 ドッガァアアアアアアアン!!!


「お客様ぁ!?」

「え?」

「はぁ」


 今どこにいるかと言うと、ゲームセンターに来ていた。

 そして、何をやっているかと言うと……パンチングマシーンだ。


 クッションみたいなやつを殴って力を競う、みたいなやつ。

 そしてそれを、クリスティが壊した音とそれを見ていた店員さんが吹っ飛んできた声だ。それと、レインの呆れた声だ。


 元々、ただの人間用に作られているのだからクリスティが手加減したとしても壊れるのは必然。と言うか、鉄板とへこませるどころか、突き破る威力で正拳突きをしたのだが、それに比べて周りに被害がないのが幸いだろう。


「お客様困ります!」

「ごめんね?」


 女の店員さんだったため、レインが手を取り、謝罪する。


「…………はっ、いえいえいえいえ!大丈夫ですよ!またいらしてください!」

「じゃ、行こっか」

「……はい」


 レインの顔を見、ぼぉーーとしていたが、ハッとなり、顔を真っ赤に染め、また来てくださいと言っている。


 ゲームセンターから出たところでクリスティが口を開いた。


「ごめんなさい……レイン様の手を煩わせーー」

「気にすんな。今日はデートなんだろ?俺も一人ずつきちんとするって言った手前、何をしたっていいんだよ。お前たちの尻拭いをするのも主としての責任だ」

「レイン様……」


 ポッと熱に浮かれた表情をし、レインを見つめる。

 レインは、基本的に自分の好きなようにやっているし、女も男も等しく厳しかったり興味がなかったりするが、配下に対しては基本優しい。何かミスをしたとしても笑って許し、その後始末をするくらいの器量は持ち合わせている。


 レインから許されたことで、一瞬で機嫌がよくなったクリスティは、レインの腕に抱き着き、にへらと笑う。


 その時、どこからか、とんでもない殺気がクリスティを襲った。のだが、その相手が分かって入るため、丸っきり無視する。


 その時、〇〇市で謎の悪寒を感じる人が続出したらしい。


「レイン様次どうするの?」

「これから、少し俺に付き合ってくれるか?」

「はい!どこまでも付き合います!」

「そうか、さすがにこれだけ気配駄々洩れでこっちを見ている奴がうざくなってきたからな。少し、お灸を据えないとな」


 もちろんずっと気が付いていた。

 式神の監視のみならず、人間が直接監視していることに。

 確かに、実力者なのだろうが、レインからすれば、お粗末もお粗末な隠密だった。常に視線を感じているのは、中々に嫌な感じだ。


「今から行きますか?」

「ああ、さっさと終わらせれば続きが出来るぞ」

「っ!頑張ります!」








 side???


 俺たちは、重要な任務を与えられ、今まさに実行中だった。

 俺だけではなく、仲間と三人でしている。


 任務の内容とは、ある少年少女の監視だ。


 ただの監視で俺ほどの者が、って思うかもしれんが必要なことらしい。

 それに、直接長老から与えられた任務ってところが、この任務の難易度、重要度が高いというのが分かるだろう。


「…………」


 そして現在、標的の少年たちを見ているのだが、あり得ないことに、パンチングマシーンをぶっ壊しやがった。それも、男の方じゃなく、女の方が。


「どんだけ?あり得んだろう……どんな馬鹿力だよ……」


 思わず、ぽかんと口を開け、固まってしまった。

 俺としたことが。


 だが、確かに力は強いかもしれんが、俺たち陰陽師の敵かと言われると、悩みどころだ。


 陰陽師とは、陰陽術を用いる。

 普通の人間とは、全く違う。

 霊力と言う力を使うため、身体能力も向上するし、岩程度俺レベルになれば、壊せなくもない。


 それに、俺も目から見ても、それ程霊力を持っているとも思えない。

 長老が何を危惧しているのか分からないと言ったところだが……。


「ん?一瞬視線を感じたが、まさか俺に気が付いたのか?」


 あり得ないと思いながらも、もしかしたら、と言う感情がある。

 そもそもが長老からってことがおかしい。そんなこと、本当に稀なんだ。


 俺と標的の距離、五キロは離れている。

 普通に気が付くはずがない、か。


「さて、定期連絡の時間だな」


 俺は、腰から通信用の霊符……ではなく、スマホを取り出す。

 現代日本において、わざわざ霊符を使う必要がない。スマホと言う遠距離連絡が簡単な機器があるんだ。使わない手はない。

 だけど、電波通信が妨害されたりも時々するため、念のために通信用霊符も持ち歩いている。


「ん?……繋がらない?」


 電源が入っていないのか、繋がらなかった。

 俺は、もう一度かける。


「やっぱり、圏外……ではない……まさか!?」


 バッと、標的の少年少女を見る。

 すると、そこに姿はなかった。


「嘘だろ!?2、3秒しか目を離さなかったのに!クソッどこ行った!」


 仲間と連絡を取るべく、電話をかける。


「そうだった、かからんのだった!」


 完全に見失ってしまった。

 式神でも見つけられない。そんなことあり得るか?式神で霊力を探知して把握していたのだ。半径500mならピンポイントで見つけられる。のに、どこを探しても見つからない。


「なら500以上離れたってのか?それこそあり得んだろう」


 その時、あり得ないと思っていたことが起こった。


「そうでもないさ」

「ッ!?」


 後ろを振り向き、急いで距離を取る。

 声をかけられるまで、何の気配もしなかった。

 それに、その人物と言うのが、監視していた少年だった。


「少年よ、どうかしたのかい?」


 俺は、冷静なフリをして、声をかける。

 まだ、誤魔化せる、と思いながら。


「いやいや、その最初の反応が答えを言っているようなもんだろうが。そんな反応一般人がするわけないだろう」

「…………っ」


 確かに、失敗した。

 つい咄嗟に退いてしまった。


 その時、何もない空間から()()()ドサドサッと落ちてきた。それと同時に、少年といた少女が現れる。


「迷彩……いや、透明化か?それとも、認識阻害……?」

「どれも不正解だ」


 いや、そんなわけがない。

 俺は、ある一つの答えに辿り着いたが頭を振り追い払う。それは、絶対にあり得ない方法だからだ。


「レイン様、こいつら終わりました」


 様付け?どこかの坊ちゃんか?

 それに、始め見た時から分かっていたが、こんな近い距離で見ると、ほんと、美男美女だな。女優や俳優とか目じゃねぇじゃねぇか。


 少女の言葉で初めてちゃんと見た。ドサッと落ちてきたものに。

 それは、俺が連絡を取ろうとしていた……つまり、監視していた仲間だ。

 その仲間が死んではいないようだが、気を失っている。俺ほどではないにしても、かなり腕が立つ。それを、こうも容易く。


 俺の喉がゴクッとなる。

 思った以上にやばい相手のようだ。


「で、もう分かって入るだろう?」

「…………転、移」

「正解だ」


 パチパチと馬鹿にしたように拍手される。

 だが、それに対して俺の中に怒りは湧かない。なぜなら、陰陽術でも転移術はないからだ。いや正確には、実現していない。武器を異空間に仕舞ったり、霊符に入れたりは出来るが、人を転移させることなど、出来ない。

 つまり、この相手は、それが容易く出来る自分たちの理解を超えた存在だと言うことでもある。


 知らず知らずのうちに冷や汗が流れる。


「そんなこといいじゃないか。それよりさ、上に言っておけ。煩わしい、下手くそな監視しやがって。視線をずっと感じるとか、監視者として失格じゃねぇか」

「…………うそ、だろ?」


 俺の、俺たちの監視に最初から気付いていただと?

 俺が恐怖を感じていると、下げていた手が腰にある霊符に当たった。


「どうした?返事は」

「……」


 ゴクッと唾を飲み込む。

 やれるか?いや、やるしかない。仲間は助からん。なら、逃げて、このことを報告するしかない。


 霊符をサッと全部取り出し、無茶苦茶に飛ばす。

 それと同時に、後ろを振り返らず霊力で身体能力を上げて、逃げる。


 少年に飛んでいった霊符は爆発し、煙で覆い隠す。


「はっはっはっはっ……ここまでくればっ」


 路地裏に入り、息を整える。


「クソッ霊符全部使い切ってしまった!それに、あんなところで爆発させたから、後始末もしないと……怒られるなぁ」


 霊符を使い切ったとしても、逃げれたのならいい。

 そして、任務失敗だ。それも報告しなければならない、絶対に怒られる。減給かな、とか思っていると、


「鬼ごっこはもう終わり?」

「っ!?」


 声のした方を勢いよく振り向く。

 そこには、逃げ切ったはずの少年がいた。その隣には当たり前のように少女が。


「あ、あの爆発で無傷……だと?」

「ああ、陰陽師って霊符を使わないと術が使えないんだっけ?んじゃ俺も……」


 少年はそう言うと、手の中に霊符を出現させる。

 だが、その霊符には、何も書いていない。真っ白のただの紙だ。それだと、何の効果もない。


「えーっと、なんだったっけ?救急如律令、だっけ?」


 初心者のような、たどたどしい口調で言う。

 すると、真っ白の霊符から水の蔓が現れ、俺に伸びてくる。


 急いで霊力で強化し、後ろに下がるが水の蔓が思いの外素早く追いつかれる。


「クソっ!」


 霊力で吹き飛ばそうとするが、全くビクともしない。

 嘘だろ?

 どんだけ霊力込められてんだよ。そもそもこれだけ霊力があって、全く感じられないとか。

 それに、俺の全霊力に匹敵する量がたかが一つの霊符に込められている。


「さて、縛り上げろ」


 少年がそう言うと、水が勝手に動き出し、俺の体を縛り付ける。

 そのまま、空中へと浮かび上がる。


「全く酷いよなぁ、勝手に監視して、勝手に攻撃して、逃げて。少しうざいぞ」

「ぐああああああああ!?」


 パチンと少年が指を鳴らすと、ギシギシッと締め付けられる。

 あ、やばい。

 骨がポキッていったポキッて。


 あ、ほんとやばい。

 ポキッがボキってなって来た。


「うぅぐぅ……!」

「殺しはしないさ。監視を辞めさせろ。俺は、日本観光を楽しんでるんだ。邪魔するなら陰陽師ごと消すぞ」

「うっ……」


 少年が殺気を放つ。

 俺は、心臓をギュッと握り締められるのを感じた。

 一瞬だけの殺気だったが、それだけで、俺は逆らう気力が全くなくなった。

 俺も死にたくないからな。

 それに俺の感覚だが、同じ人間だとは、思えない。

 もしかしたら、妖の類かもしれない。


「じゃあ、頼んだぞ」

「今度、邪魔したら殺すよ?」

「ひっ!分かりました!分かりましたから!」


 今度は少女から殺気を向けられた。

 危うく漏らすところだったわ。


 少年と少女が消えると、俺を縛っていた水の蔓がバシャンっと音を立て、地面に水溜まりを作る。


「はぁはぁはぁはぁ……やばかったまじでやばかった。今回ばかりは死んだかと思ったわ」


 ドッと冷や汗が大量に流れる。

 心臓が早鐘のように鳴り響いているのが分かる。


「はぁ、気が乗らないが上に報告するしかないよな」


 気が重いが報告はきちんとしないといけない。

 じゃなければ、上とさっきの少年から何かされそうだからだ。


「はぁーーー」


 深い溜息を吐き、空を見上げる。


「あーーー空が青いなぁ」


 現実逃避くらいさせてくれよ。











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