12話 暴龍騎士団入団 前
長くなりそうなので2つに分けます。
sideミゲル
俺は、『暴龍騎士団』第一騎士隊の1人ミゲル・ライナーだ。
俺はもともとスラムで生きていた。ゴミだめのような場所で、毎日人が死ぬような環境だ。
力が強かったため、『ケルベロス』というウィルムンド王国にある二大マフィアの一つにスカウトされ幹部の地位にまで上り詰めた。ボスの地位を狙っていたこともあったが、全く敵わないため諦めていた。
そして、いつものようにボスの命令で、仕事を終わらせて帰ろうといつもの道を部下と通っていると、ついさっきまで話していた部下の声が聞こえないことに気づき後ろを振り返る。
「っどこ行った?」
誰もいず、何度か呼びかけてみるが反応がない。
なぜか、緊張し身体が震えてくる。全身から汗が吹き出し、地面に落ちた。
「ミゲルとはあなたですね?」
後ろから声がし、バッ!と振り返る。そこで見たのは、赤い髪に赤い眼をした男性だった。10人いたら全員がイケメンだと答える容姿で、イラッときたがこれまで裏の世界で生きてきた感が今すぐここを離れろと告げているため、油断はしない。
「おまえは誰だ?」
「私ですか?私は、レイ様の下僕アドニスと言うものです。あなたをスカウトしに来ました」
アドニスと名乗った男は、自分をスカウトと言った。確かに自分でも強い方だと思うが、目の前の男にはどうあっても勝てそうにない。それに、下僕ってことは、この男より強いものがいるということだろう。
「俺の何をさせたいんだ?」
すぐに殺さなかったことや暴力で従えようとしないなら判断は自分で選べる事がわかる。スカウトと言っても何をさせたいのかわからないため理由を聞く。
「主人が騎士団を作りたいとのことですのでいろんな国から才能のあるものを探しているんですよ。生まれた国、血、種族、現在の力、年齢、全て関係なく潜在能力という点で探していますので、あなたが騎士団の1人に選ばれたんですよ」
騎士団と言ったってことは、レイ様ってやつは、貴族または、王族の可能性がある。選んでいる基準が潜在能力ということは、俺の今の強さを必要としているわけじゃない。
「その騎士団になったとして給料とかもらえるのか?」
「当たり前ですよ。月白金貨100枚ですね今のところ」
「!?」
白金貨100枚!?
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この世界ののお金は、
白金貨1枚=1000000円
金貨1枚=10000円
銀貨1枚=1000円
銅貨1枚=100円
鉄貨1枚=10円
である。つまり、白金貨100枚とは、日本円で一億円ということである。
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金貨2、3枚で平民の月の給料、普通の騎士ですら、多くても金貨100枚未満なのだ。
「ほ、ほんとに白金貨なのか?金貨じゃなくて?」
「ほんとですよ。白金貨100枚、まだ出来ていないので今のところは、と付けさせていただきますが、増えるかもですよ。それはあなたたち次第です」
ニコッと笑って言ってくる。あまりの金額にしばしぼーっとしてしまった。でも、俺はマフィアの幹部だ、ボスを裏切ることはできない、殺されるからだ。
「あ、そう言えば、あなたの所属しているケルベロスなどこの国にあるマフィアなどスラムの者たちには消えてもらいます」
相変わらずニコリと笑いながら言ってきた。薄寒いものを感じ、背筋が凍った。消えてもらうとは、潰すってことだろう。
「大丈夫ですよ。他にも才能のある人はいたので知り合いもいるかもですね」
「だ、誰が主人何ですか?」
「ん?ああ、レイ様のことですね。レイン・ヴァン・ウィルムンド 、第一王子ですよ」
王子!?王族かよっ!?そんな人物が騎士を集めている?確か、王子はまだ若いがとんでもない強さと聞く。
「わかった、騎士団に入らせてもらおう」