136話 アシュリーとデート
あれ??陰陽師編とか突入しちゃう?
確かにこのまま世界消していっても、戦って、消して、また次、になるわけだから、一、二回くらいは面白くてもずっとは、飽きるんでこの辺で気分転換とかいいかも?
ふむ?どうしよう?……的な心境です(笑)
レインと配下の戦いは、いつものように現実に影響のないように異空間で行われていたが、今回は、現実で戦っていた。
そのせいで、消すつもりはなかった世界も数十個単位で吹き飛ばしてしまったが、まぁ大したことではにない。
そして、そんなことをしたレインは、今どこで何をやっているかと言うと、日本にいた。
日本のどこかと言うと、競馬場にいた。
もちろん一人ではない。
隣には、アシュリーがいる。デート、と言うわけだ。
「絶対勝つと分かっているのに、面白くなくないか?」
「ゼロ様と一緒に、ってとこが大事なのです!」
「だから、レインと呼べって言ってるのに」
この二人は、気配を消していないため、周りから滅茶苦茶に注目されている。
ここに来た競馬目的の皆が目的の競馬そっちのけでレインたちを見ていた。
男子はレインへと嫉妬をしているかと言うと、そうではなく、あまりの『美』と言うのは、嫉妬すら感じないらしい。
アシュリーに対しては、満面の笑顔でレインへと笑いかけている。それを見た男子軍は鼻血まで出している者もいるくらいだ。
そんなことは、置いといて。
競馬のことを話そう。
レインにはもちろんのことだが、『未来予知』と言った能力がある。これから起こりうる未来全てを知ることが出来るし、また、望む結果にすることも出来る。
未来を知っているなら、どの馬が勝つか分かる。つまり、こういった『賭け』というものがレインたちに対しては『賭け』とならないのだ。
だが、今回は未来を視ていない。
視る必要もない。馬の調子、ステータスを見れば、それだけで分かるのだから。
つまり、レインたちにとっては、『勝ちゲー』なのだ。
しかも、比率の低い馬に『身体強化』をかけるだけで、勝たせることも出来る。
そう言ったこともあり、レインは、ここに勝ちに来たのではなく、『遊び』に来たのだった。デートで。
「はぁい、レイン様」
その時、一位の馬が決まった。
もちろん予想通りの結果だった。
「さて、と。儲けたしそろそろ次に行くか」
「はぁい!ごはん行きましょ?」
「ああ、なら、お金受け取ってからな」
レインとアシュリーの出入り口から出ていくところを、後姿を見ていた者たちは、自分の賭けた馬が負けたことを知ると、叫び出した。
まぁ、そんなことはレインたちに全く、少しも関係ないが。
それから、レインとアシュリーは、昼ご飯を食べ、今は、ショッピングモールを回り買い物をしていた。
「あ、これ可愛い!」
アシュリーが腕に収まるくらいの猫のぬいぐるみを抱っこしながら言う。
ぬいぐるみよりそれを抱いているアシュリーの方が可愛いだろう。
「ちょっと待ってろ」
そう言い、レインは、ぬいぐるみを取り上げ、レジへと向かって、買って戻ってきた。
「ほら」
「ありがとうございます!」
にっこりと、笑いお礼を言う。
猫のぬいぐるみを渡すとアシュリーの頭をポンポンと撫でる。
「一生大事にする!」
「はいはい」
たかがぬいぐるみだが、『それ』自体には、全く価値などなくとも、上げた人によっては、その価値は黄金にも匹敵するだろう。
アシュリーが喜んでいるその笑顔を見、レインも笑みを浮かべる。
「次は……ん?」
その時、空を飛んでいる鳥が目に入った。
「あ、あれは、式神ですね」
「ああ、白昼堂々とってわけでもないか……普通の人間には、普通の鳥、いや、あれは、見えてすらいないか」
前に言っていたと思うが、日本にも陰陽師と言った『力』を持った者たちがいる。
その陰陽師が使役している式神が飛んでいた。
それもこんな昼間から。
何か起こっていると言うこと。
「まぁ、俺たちには、関係ないか」
「そうです!楽しみましょ!」
すると、近付いてくる人影がいた。
「よぉ、兄ちゃんたち、いい女ぷげっ!?」
ガラの悪い男三人組がレインへと詰め寄ろうとしたところで、つい手が出てしまった。
「ちょっまっぺげっ!?」
「まっぷげらっ!?」
三人仲良く吹き飛び、近くの壁ぶつかる。
「あ?なんだ?ああ、ナンパか……ってそう言えば、人間ってコンクリにぶつかっただけで死ぬよな?」
「大丈夫だと思う……けど」
見ると、顔からぶつかった男は、鼻がひしゃげ、前歯が折れているけど、自業自得と言うものだろう。
一応は死んではいないからいいだろう。
「しっかし本当につまらん世界だな、平和すぎる」
「ですねぇ~…………それでどうします?さっきからこっち見てる人たち」
レインが式神を見てからレインたちを見ている視線を感じていた。
それをどうするか、決まっている。
「無視だ無視」
「ですね!」
指を鳴らし、上空を舞っている式神(鳥バージョン)を消し飛ばす。
「これで、視線はなくなるだろうな。それで、今度は、実力行使に出てきそうだが」
「その時は、私が相手します」
見惚れる笑みを引っ込め、残忍な笑みを浮かべる。
「ああ、今回のデートは、少し血の匂いがするな」
空を見上げ言う。
「血を降らせるのは、レイン様ではなくて?」
「…………いいんだよ。かっこつけてんだから、ほっとけ」
ポカッとアシュリーの頭を叩く。
★★★★★
side???
「皆、情報は行き渡ったな?」
「ああ、それでこのガキどもがどうかしたのか?」
「ああ、人に扮しているあいつを探している時に、余の偵察用隠密式神を見た奴らだ」
「なに!?それは本当か!」
「ああ」
長老、と呼ばれる者たちだ。
陰陽師最高頂の権力も持つ者たち。
その長老の一人である男の式神、特に隠密に特化した式神を飛ばしていた。同格の長老ですら、知覚を広げなければ認識することすら難しい程の隠密性だ。
それをただの一般人の少年少女が、認識。
そして、
「式神を消された」
「は……?」
「消された……だと?」
「ああ、それも、それをやったのが、その子供たち、と言うのが、余の見解だ」
「では、何らかの組織の人間か?」
陰陽師と言っても一概に全員が仲間とは言えない。
派閥争いもあれば、陰陽師の力を自分勝手に使う者ももちろんいる。
そして、長老は全12人。
だが、その全員が仲良し、なわけがない。
表面上手を取り合い、仲良く、過度に干渉しないように見えているが、水面下では、常に相手を取り込み大きくしようとしている。
だからと言って、全てがそうではない。
旧知の中だったり、普通に友と言える、仲が良かったりもする。
「そうとも限らない。だが、もう少し、観察する必要があるのは確かだ」
「確かにな。まだ、そのガキたちの力は分からない」
「そうだな。感知だけに特化しているかもしれないが、もし、我々と同等の力を持っているかもしれん」
「そうだ。それなら、慎重になっていてもなりすぎると言ったことにはならんだろう」
これからの行動指針は、少年少女、レインとアシュリーを観察、もしその過程で『敵』だと断定すれば、排除する。と言うことになった。
「それと、並行してあいつも探さなければならぬ」
「ああ、それも急務だな。あれを奪われた。早急に取り返さなければ!」
机をドンッ!と叩き、熱く語る。
それに同調するように、言う。
「あの、あの『霊装』があいつの手に渡る前に取り戻さなければ……!」
「もし、手に渡れば我らは窮地に立たされてしまう……!」
険しい顔をしながら苦し気に言う。
その光景を想像し、額から冷や汗が頬を伝い顎を伝って机に落ちる。
若干顔色が悪くなっている。
長老、最高権力者だが、それと同時に陰陽師として、最高頂の実力を併せ持っている。
その長老が顔色悪くなる力。
それだけで、『相当やばい力』だと言うのが分かる。
「特にこのことが、あの小僧に知れるのだけはいけん!絶対にだ!」
「ああ!……とにかく今回の件は慎重に行くぞ」
この行動が後に長老、ひいては陰陽師全体にとって利益を生むかはたまた破滅を招くのか、これから分かるだろう。
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