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超越神の世界旅行  作者: sena
第6章 世界侵略編
135/266

131話 科学兵器

 

 あれから次第に警備隊が集まり出し、その都度アシュエルは、殺していった。


「あれ?来ない?」


 すると、ばったりと止まった。

 警備隊の動きがどこかへと、誘い込んでいるのには、気付いていた。


 前半はアシュエルを打ち取ろうとしていたが、無理だと悟ったのか、別の作戦へと移行していた。


 誘い込まれたところは、10階程のビルで囲まれ、風の通しが悪い所だった。


「ここは……あっ」


 アシュエルは、空気に異変を感じた。

 そして、しばらくしてから、防護服に身を包んだ者たちが現れた。


 白い全身を包む防護服に、ごついガスマスク。

 見るからに、この空間に何かありますよ、と言っているようなものだ。


「毒ガスだね……(まぁ僕には効かないけど)」


 無味無臭で無色の毒ガスだ。

 防護服を着ていると言うことは、皮膚感染もあると言うことだ。


 そしてその通り、この毒ガスは、アシュエルの思った通りの物だった。

 象ですら一滴皮膚に垂らすだけで、数秒の内に死に至る程強力な物だ。


「なぜ動ける!?」


 ガスマスクをはめているためくぐもった声がする。

 アシュエルに何の効果も表れていないのを見て、驚愕の声をあげる。

 本来なら、地面に倒れ伏しているはずだった。死んではいなくても瀕死の状態だと思っていたのに、ピンピンしていることに、警戒を露わにする。


「凄いね、一瞬気付かなかったよ」

「なぜこの中で動けるのだ!?」


 地面を見ると、小さな孔がたくさん空いている。

 そこから噴き出しているのだろう。それに、この場所も風に流されず毒ガスをこの場に留めておくのに最適の場所だ。


 呼吸も止めず、普通に会話しているアシュエルに再度問いかける。


「決まっているじゃないか。僕に効いてないからだよ」


 当たり前のことだ。効いてないから動ける。

 そんなことは、分かって入る。それでも、自分たちにとって一番強力な毒ガスが効いていないことを信じられないのだ。


「そんな馬鹿な!?あり得ない!!!」

「そんなことより、早くやろうよ」

「くっ、やれ!」


 射撃の命令を下す。

 防護服を着た総勢20人の軍人が銃を構え、撃つ。

 それをアシュエルは、神刀一本を出し、()()()()()()()()


「ば、馬鹿な!?」

「ふっ」


 アシュエルは彼我の距離を一瞬で詰め、大振りで薙ぎ払う。

 防護服ごと切り裂き首が飛ぶ。

 そのまま体を回転させ、回し蹴り。


 ゴギッと首の骨が折れる音がする。


 あまりに距離が近いため、銃を撃とうにも打てない。

 腰に差してあったナイフを抜き、迎え撃とうとするが、それより先にアシュエルの刀が煌めく。


「ひぃ化け物……!?」

「酷いなぁ」


 軽口を叩きながらも刀を振るい、確実に殺していく。

 もう三人しか残っていない。

 一度撤退の命令を下し、逃げようとしたが、みすみす見逃すことをアシュエルが許すことはしない。逃げようとする人から殺していったため、逃げ出すことも出来ず、震えている。


 ナイフを銃を構えてはいるが完全に腰が引けている。

 防護服の上からでは、表情は見えないが、その顔は恐怖に引き攣っているだろう。


「ふ、ふふふ……俺たちの勝ちだ!」

「気でも触れたの?」


 突如笑い出したことに、アシュエルは怪訝な顔をする。

 その時、アシュエルは上から潰されそうな圧力を感じた。


「重力魔法……じゃない。魔法はないって聞いていたから、これも科学。通常の三十倍くらいかな」

「ふははは!!!特殊部隊が来たからには、お前は終わりだ!」


 後になって来た者たちは、防護服を着ていない。

 毒ガスに耐性があるのか、もしくは、科学で対処しているのか、どちらにせよ効いていないようだ。

 全員が同じ軍服。

 そして、三人一組の陣形を取り、アシュエルに向かっていく。


 その時、パスッと言う音がし笑っていた防護服の男の頭が撃ち抜かれる。


「あへ?……なん……」

「役目ご苦労。後は、我らに任せておけ」

「死んでるけどね」


 そして、ぐんっと重くなった。

 より強力に重力をかけたのだった。

 だが、アシュエルには、効いていない。


「発動せよ」


 後ろにいたリーダーと思われる人物が命令を下す。

 三人一組。前に一人、後ろに二入の陣形だ。

 命令を下され、前にいる者が手を前に出す。


 すると、そこから突風が噴き出しきた。


「そのくらい……!」


 刀を振るい、風を斬り裂く。

 だが、間違いだった。

 パキンッと音がし、何かが割れる。


「うぐっ、な、なにこれ……?」


 突如、体に痺れが発生し、手に足に力が入りづらくなった。


「毒?いや、それは効かないのに、なんで?」


 力が入りにくいと言うことは、踏ん張ることもしにくくなる、と言うことだ。

 何もない状態ならそれでも、アシュエルには、無駄かもしれないが、今や通常の50倍の重力をかけられた状態で、だ。

 ついに、アシュエルの膝が曲がり出した。


「なるほど、神経に直接作用するタイプか……ふぅ」

「そうだ。答えが分かったところで、どうしようもないだろう。これは、毒ではない。毒に耐性があったとしても意味がないからな……総員警戒は怠るな。重力力場の中でも動ける化け物だ。徹底的に当たれ」


 冷静に命令を言いながら隊長自身も慌てず隙だらけのアシュエルに無為な特攻を命じない。


 後ろにいた二人が手を上に上げる。

 巨大な空気の塊がアシュエルに降り注ぐ。

 重力に加え、風の風力まで加わり、耐えていた強化地面にヒビが入る。


「ふぅーーー」


 静かに深呼吸をし、力の一部を開放する。

 一瞬アシュエルの体から神々しい光が出るが、本当に一瞬のことで誰も気付かなかった。


 神刀を地面に突き刺す。

 ぶわっと風が吹き荒れ、掛けられていた全てが解かれる。

 重力も風の力もなくなり、アシュエルは一息吐く。


 そのことに、一番驚いたのは、隊長だった。

 絶対の攻撃だったのだ。

 重力をかけ、さらに魔導技術による攻撃を加える。

 そして動きが止まったところを総攻撃。それで、終。のはずだった。


「よくも、膝をつかせようとしたね……」


 アシュエルの過去もあり、レイン以外に膝をつくことを許さない。

 プライドが高いとかそう言うのではない。

 主以外に膝をつくというのは、それだけ屈辱なのだ。それも、無理やりなんて、力を得てからないに等しい。


「死ね」


 冷たい声で言い、()()()()()()

 斬撃が飛び、前列にいる軍人を纏めて斬り捨てる。


 アシュエルに限らず、レインたちとなぜ人間が曲がりなりにも()()や剣を()()()ことが出来ているのか。

 レインが手加減していたとしても、剣ごと切り裂くことが可能なのに、だ。

 それには、もちろん理由がある。

『公平の権能』その力が働いているからだ。

 その権能の力は文字通り『公平』。両者の()()()()()()()()になる。STR(筋力)DEX(防御力)AGI(素早さ)のステータスが同じになるのだ。ただ、魔力は同じにならないため、そこは、仕方ないが、それでも、低くなる側からすれば、相当なハンデだ。

 だがからこそ、打ち合う、殴り合う、と言った()()が出来ている。

 なぜ、そんなことをするかと言うと、単純にレインが少しでも楽しむため。同じ能力値なら、勝負を分けるのは、技術の差、経験の差、積み重ねてきた重みの差。つまりは、絶対強者のレインにすら傷を負わせることも出来ると言うことになる。


 そしてその権能は、レインだけでなく、アシュエルたちにも効果がある。

 だからこそ、今のアシュエルの能力値で言えば、目の前にいる軍人と同程度。

 本気で振るう、と言うことは、その()を少し緩めるという意味だ。


「全員死ね」


 刀を頭上に掲げ、魔力を纏わせる。

 可視化する程濃い魔力。竜巻のように、剣に纏いつき周囲に圧力(プレッシャー)を放っている。


 その圧力に、特殊部隊の者たちは一様に息を呑み、体が硬直する。


「避けなければ!」と思いながらも、体が自分の物じゃないかのように動かない。


 刀の周りに纏わりついているだけの魔力を圧縮し、固めより収縮していく。圧倒的魔力量に空気が震え刀身の周りの空間を歪ませている。刀身に薄い水の膜のように纏い、黒く輝いている。

 それを無慈悲に振り下ろす。


 神速の速さに、いつ振り下ろしたのかすら認識出来ずに、斬られる。

 振ったのは一刀。

 しかし、魔力の斬撃は枝分かれするように、人数分に分かれそれぞれを縦に斬り裂く。


 音すら出さず振り下ろしたアシュエルは、ふぅ、と一息入れ、血を払うように刀を振る。

 スゥーと刀身に沁み込んでいくように、黒い魔力が消えていく。


 断末魔を残すことも出来ない圧倒的暴力。

 あれだけの魔力を放出したにもかかわらず、周りには少しの被害もない。()()()()を斬ったのだ。それには、とてつもない魔力操作、技量が必要なことだ。

 それをこともなげに、ぶっつけ本番で行い、成功させる。まさに、アシュエルの才能が飛び抜けているのが分かる。


「しまった……ここまで使うつもりなかったのに……」


 失敗した、と言うように、俯く。

 が、


「まぁいいか!それより、シェルターに行かなきゃ」


 すぐに表情を切り替え、言う。

 元々、シェルターに向かおうとしていたのだが、途中警備隊が面白そうだと思ったため、ついていったが、目的も果たしたなら、当初の目的の場所に向かう。










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