11話 てんぷれ?
セバスが捕まえた暗殺者から、情報を抜き取ったみたいで報告があった。
「しかしなーどうしたらいいって言われたけどどうでもいいよなー」
はっきり言ってどうでもいい。小物が何をしたって何も出来ないからだ。
そんなことより、今日は冒険者ギルドに用がある。ギルマスに呼ばれている、どうせ超高難易度の未達成依頼をこなして欲しいって頼みだろう。
「んじゃ行ってくるか」
冒険者ギルドに着いた。
扉を開くと相変わらずガヤガヤと飲んだくれどもが酒を飲みながら騒いでいる。それを、女冒険者が冷めた目で見ている。他にも、受付嬢を食事に誘ったり、自分と付き合ってなど言っている奴もいてすごくうるさい。よく異世界もので、ギルドに行くとチンピラに絡まれるというテンプレが発生するがこの世界でも例にもれず、身の程知らずが3人こっちに向かってきた。
「おいおい、っひっく。ここは、ガキが来るような場所じゃねぞぉ」
「そうだそうだ!ガキはママのおっぱいでも飲んでな!ぎゃははは」
『ギャハハハハハハハ』
下品な笑い声を上げながら近づいてくる。
周りの冒険者の中で、レインの正体に気付いているものが青い顔をしながら仲間たちに失礼な真似をしないようにと言っている。
残りは、「やれやれーー!!」だとか「ガキに世界の広さを教えてやれ!!!」とか「ガキに銀貨2枚!」なんて賭けまではじめている奴もいる。
「失せろ」
「ぎゃはは、あ?なんつった?」
「おいおいおい状況わかってんのかおまえ?」
「舐めてんじゃねえよ!」
モヒカン頭のチンピラその1みたいなやつが殴りかかってきた。
顔に当たるまでにその手を切り落とす、その時きった断面を凍らせて血が出ないようにする。
「はれ……?ギャアアアアアうでっ、うでがああああ!」
「っこの野郎!死にやがれ!!」
残りの2人はそれぞれの武器を手に取り切りかかってきた。
その2人は、風の刃で首を落とした。
しーんとギルド内が静まりかえる。
そんな周りの反応を無視し、受付に行く。
「ギルマスは上か?」
「ひっ」
さっき人を殺したため、受付嬢が悲鳴を上げた。
「ギルマスは上か」
もう一度聞くと、コクコクと頷いたのを確認し、階段を上がって二階に行く。
ノックもせずに扉を開ける。
「殿下ようこそ!」
そう言いながら、席に促す、お茶の用意もしてあるのを見るとレインが来ていたのに気付いていたようだ。
「下のやつ2人程処分しといたぞ」
「やっぱり、突っかかられましたか…」
「分かってたなら忠告しといたらよかったじゃ無いか」
「どうせモヒカンの3人組でしょう?そいつらは日頃から問題ばかり起こしているのでギルドの方でも困っていたんですよ」
「よかったよかった」なんて言いながら薄くなった頭をペチペチ叩いている。
「んで、今日は何のようだ?」
「今日は、撃樹の森に雷千獣現れたんですよ。雷千獣はランクSSの魔物、しかし普通の個体は黄色い体毛に青い眼だったが、今回発見された個体は赤い体毛に赤い眼と見つけた冒険者は言ってます」
「ほう、強化個体か。赤い、ねぇ」
魔物が強くなることは意外とある。魔物もレベルは上がるし、進化もする。歴戦個体ともなればステータスだけでなく経験も積んでいる個体もあるため、1ランクもしくは2ランクは上だと言われている。
ランクSSの強化個体ってことは、最低でもSSSランクまたはそれ以上ってことになる、今のギルドにはランクSSSの魔物を倒せる冒険者がいないため、レインが呼ばれた。撃樹の森じたいがAランク冒険者が行くような所だ。
「まぁ行くのはいいぞ。暴龍に任せてみるのもいいな」
「『暴龍』か。強いって聞いたんですが実際のところどうなんですか?」
「騎士団長は十三使徒より強いぞ。それに団員一人一人がSSSランク冒険者並みだぞ」
「そんなにですか!?え、と騎士団って総勢700人程いますよね?」
最高位冒険者並みの戦力が700人いるということに驚いているのだろう。
「訓練にもなるしな」
その後、近頃の話などしてから城に戻る。
さてと、暴龍も最近は敵がいなくて暇してるだろうから言ってもらうとしますか。