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超越神の世界旅行  作者: sena
第6章 世界侵略編
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123話 八首の獣

いつか、ヒュドラとか八岐大蛇とか出してみたいですねぇ

 sideレイン


 レインは、まっすぐ白銀の騎士の元まで降りる。


 その間攻撃は仕掛けて来ない。

 生半可な攻撃は意味がないと気付いたのか、正々堂々と勝負する気なのか……どちらにせよ、不意打ちはしないようだ。


「汝が首領か?」

「首領……確かにそうだな」

「我らが神から聞いた。世界を消して回っているそうだな。なぜだ?」


 微動だにせず聞いてくる。

 剣も地面に刺したまま抜いておらず、まずは、対話をしようと言うことだろう。

 兜は被っておらず、その美貌を晒している。


「なぜ?まぁ、答える必要はないが……世界の総数を知っているか?」

「何?」

「世界とは、この世界だけではない。無数にあるうちのその一つがこの世界、第168世界と言うわけだ」

「なんだと!?」


 普通の人間が知りようもない事情を知り、呆然とする白銀騎士。


「それにな、この世界に限らず、全てを創ったのは、俺だ。なら、壊そうが消そうが俺の勝手だろう?」

「………」


 さらに衝撃なことを言われ、口を開けたまま固まった。

 レインもここまで言うつもりはなかったが、言ってしまったことは、仕方ない。

 呆然としたまま動かない白銀騎士に精神安定の魔法を掛け、正気に戻す。


「は?う、嘘をつくな!お前が作っただと……?妄言も大概にせよ!?」


 動揺のし過ぎで、二人称が汝からお前へと変わっている。

 思わず笑ってしまったレインに、白銀騎士は耳まで真っ赤に染め、キッと睨みつける。


「信じる信じない、お前の勝手だがな……さて、無駄話はこれくらいでいいだろう?早く始めようか」

「くそっ聞きたいことはまだあるが、汝を倒してからでいいだろう!我の名は……ぐはっ!?」

「それは、いらん」


 自己紹介しようとしていたため、一息で距離を詰め、アッパーよりのボディブローを喰らわす。ただ、腹に当たる直前に拳を止める。

 それでも、衝撃波が発生し、面白いように白銀騎士の体が吹き飛び、地面を数回バウンドし地面へ倒れ伏す。


「しまった、力加減間違えたか?」


 レインの拳は、鎧を抵抗もせずに貫いた。

 防御魔法が三重にかけられていたが、全くの抵抗を感じさせず、紙のように砕いた。


 白銀の鎧も神から与えられた武具の一つだろうが、レインからすれば、()()()()()()()()()()程度の問題だ。レベル一から二から三程度に上がった感じだ。


 その時、レインはふとおかしいと、思った。


「おーい、その程度の怪我すぐ治るだろう?」


 レインの言っている通り、白銀騎士の傷はもう治っている。

 衝撃波のせいで、内臓が激しくシェイクされ、内臓のいくつかが傷付き、バウンドの衝撃で、骨も何本か折れたが、鎧の力を持ってすれば、数分もすれば完全に治る。


 そして、砕けた鎧も元に戻っている。

 自己修復の効果があるからだ。


 それなのに、白銀騎士は一向に立ち上がらない。

 いや、よく見ると、僅かに体が震えている。

 怒りに震えているのか……いや、あれは、恐怖からくる震えだ。まさか、騎士ともあろうものが、ただ一度の腹パンで戦意を喪失したとでも言うのか……。


「はぁーーーーーーーーーーーーー期待外れだ」


 長いため息を吐き、落胆の言葉を漏らす。


 だが、次の瞬間、空間を()()()()ように、一匹の獣が現れる。

 その獣は、八つの頭に十六の尾をくねらせ、その鋭い牙からは、黒紫色の毒を滴らせ、紅い目に殺気を迸らせながら現れた。


『グルルルゥゥゥゥゥゥ……』


 低い唸り声を上げながら、レインを威嚇する。


「おおう、まさかそれが切り札か?」

「……ク、クク、ハハハハハハハハ!!!そうだ!神から与えられし、神獣だ!これで貴様も終わりだ!!!」

「なん……だと?」

「絶望しろ!!!貴様の愚かな妄言もここで終わりだァ!!!」


 レインの驚愕した表情を見て、気をよくした白銀騎士が高笑いを上げる。

 だが、レインが驚いたのは、その獣の強さにではない。

 ()()()()()()()()()()()()、そのことに、驚愕の表情を浮かべたのだ。


 だが、そのことが分からない白銀騎士は、ますます粋がり笑い声を響かせる。


「まぁいいや、神獣っていうより、魔獣よりだが、そう信じているならわざわざ修正する必要もないな」


 周りに聞こえないように呟き、


「おらっ」

『ギャイン!?」


 殴りかかった。

 頭の一つが吹き飛び、痛みの叫びを上げ、他の頭でレインを噛み砕こうと(あぎと)を開く。


「こういうタイプは、一つ潰しただけじゃすぐに復活するからなぁ」


 噛み砕かんとする攻撃を転移で避けながら言う。

 レインの言う通り、吹き飛ばした頭は、一瞬の内に再生した。


 だが、傷付けられた怒りから、ますます目を血走らせ、睨みつける。


「ハハハハハッ!!神獣には、その程度の攻撃、すぐに再生するのだ!!!」

「言われんでも分かるわ……ったく、変な魔獣()()()()()()


 そう、この獣は、存在しない。

 つまりは、この第168世界の管理神が創り出した獣、と言うことになる。それに、かなりの力を入れられて創られているため、中々にめんどくさい。


 特に、力と再生に特化しているようだ。

 続けて、首を四つ手刀で刎ね飛ばすが、すぐに再生した。


「なら、今度はまっぷ、わぶっ」


 四方から十本の尾が襲い掛かった。

 避けれず、もとい避けようとせずに喰らった。顔面を連打され往復ビンタの要領殴られる。


 全くダメージは入っていないが。


「いい加減やめんか!」


 手を振り上げ、手刀を振り下ろす。

 獣の体が、真っ二つに裂ける。続けて、横に手刀を放ち、四分割にする。


「ったく、人が、無防備で受けているからと、バシバシ殴りやがって……」


 すると、斬れた傷口から血管の管のようなものが、うねうねと出てきて、裂けた肉体に繋がり、元通りになった。


「ああーーその感じ、無限に再生できるわけじゃないのか」


 もし無限に再生するようなら、『消滅』を使うつもりだったが、どうやらそこまでは使わないでいいようだ。この獣の再生能力は、その身に内包しているとてつもない大量の魔力によるものだ。つまり、魔力に物を言わせて、無理やり再生しているわけだ。


 なら、


「魔力がなくなるまで、殺し尽くしてやろう」


 パチンッと指を鳴らす。

 獣の体が、爆散する。そして、再生。


「潰れろ」


 手をスッと前に伸ばす。

 重力で押しつぶされる。

 大量の魔量を放出して、相殺しているようだが、徐々に押し込まれ、ぶちゅっと潰れた。


「再生用の魔力を対抗に使ってどうするよ……」


 呆れたように言うが、完全に愚策と言うわけでもない。

 もし、耐えれるならば、その間に、重力圏内から抜け出せるからだ。

 だが、誤算だったのは、あまりに重すぎて相殺しきれなかったことだ。


『グラァァアアアア!!!!」


 叫びながら、全頭を持ち上げ、口を開く。

 口内に蒼い炎が集まり、圧縮される。


『ガアアアアアアアアアアア!』


 そして一斉に放つ。

 とてつもない熱量の炎がレインを襲う。

 それを避けもせず、受ける。


 普通の人間なら骨すら残さず、溶かす熱量だ。


 レインにぶつかり、爆発を起こす。


『ガァァアア!!!』


 ダメ押しとばかりに、追撃する。

 レインのいた場所に、囲むように六つの陣が現れ、そこから火柱が上がる。

 そして、竜巻が起こり、炎の渦を創り出す。


「『置換』」


 レインは、全部の魔法を獣が使ったところで、魔法を使う。

 レインと獣の位置が入れ替わる。


『グラアアアアアア!?』


 自分の放った魔法を自分が喰らい、痛みに絶叫を上げる。

 皮膚が融け、再生し、融け、再生する。

 傷は治っても、痛みを感じないわけではないため、焼け爛れる痛みにのたうち回る。

 自分の魔法のため、消そうとするが、全く消えないためその場から出ようとする。


 だが、


『グラアアアアッ!?』


 何かに弾かれるように、出ることが出来ない。

 出れないわけ、単純。

 今の状態は、竜巻の中にいるのと同じだ。そして、内に巻き込むように風が吹き込んでいるため、風の防壁に弾かれている。


 レインは、手を開いたまま、前に出し、ぐぐぐっと閉じる。

 徐々に、炎の渦が小さくなり始める。


『ガ!グラァ!?ガアアアアアアア!?』


 魔力に物を言わせ、大量の魔力を全方向に放出する。

 収縮するのが僅かに止まる。


 さらにレインは、ゆっくり閉じる。

 止まっていた収縮が再開する。


『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』


 盛大に声を上げ、さらに大量の魔力を放出する。

 可視化出来る程までになった、魔力が空間を震わせる。


「ぐぐっと、ぐぐぐっと」


 一気に閉じてしまわないのは、ちょっと楽しくなったからだ。


『グラアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?』


 気合の叫びの中に、痛みの声が混ざっている。

 獣の身に、炎が当たりだしたためだ。


「それっ」


 そして、一気にぎゅっと握り締める。

 ギュインッと回転しながら、極小サイズになる。


 空気に溶けるように、炎の渦が消え去る。


 そこに残ったのは、肉の塊とかした獣の姿だった。

 所々、炭化している。


「両手サイズまで小さくなったな……ん?」


 すでに、かなりの魔力を使い、ほとんど残っていないというのに、肉塊が動いた。

 ぼこっぼこっと膨れ上がったが、シュウゥと勢いをなくすように動かなくなった。


 肉塊が光になって消えた。


「死んだ……か。どんだけの魔力を与えられてたんだ?滅茶苦茶な威力で削り続けてたんだが……」


 呆れたような口調だが、その顔には笑みが浮かんでいる。


「そ、そんな…………馬鹿な…………」


 後ろの方で、呆然とした声が聞こえた。


「あ、忘れてた。そう言えば、いたな」


 完全に忘れていたようだ。

 うーむ、と考え込む。

 白銀騎士の切り札は、あの獣一つだけだったのだろう。まさか、倒されるとは思っておらず、レインを見る目が、恐怖一色に染まった。


「ひっ……く、来るなぁ!」


 尻餅をついたまま、後退ろうとするが、腰も抜け、全身の力が抜けているため、身体が動かない。

 恐怖に引き攣った表情を浮かべ、涙ながらに「来るな」と言う。

 その時、レインの鼻にアンモニア臭が漂った。


「み、見るなぁ!見ないでくれ!!!」


 恐怖に失禁(お漏らし)したことが、恐怖心に上回り、羞恥に顔を真っ赤に染める。

 こんな時でも、お漏らしは、恥ずかしいようだ。


 だが、レインの表情が一切変わっていないのを見て、またもや恐怖に見舞われる。

 顔の筋肉は強張り、歪な笑みを浮かべ、助けて、と懇願する。


「騎士ならば、最後まで貫き通せ」


 騎士とは、名乗ってないが、騎士甲冑を着ていると言うことは、そういうこと。と、思い、軽蔑の言葉を投げかける。

 騎士が命乞いとはみっともない、と。


「死ね」

「たすーー」


 白銀騎士の目からレインの姿が消え、斬られた、という感覚すらないまま、意識が闇に沈んでいった。


 この騎士にとって、幸運だったのは、死ぬ瞬間に痛みを感じる間がなかったことだろう。

 その分、失禁する程恐怖を感じていたから、あまり意味はないだろうが。


「主、あの獣は一体?」


 その時、アストレアの声が聞こえた。

 転移でレインの横に現れ、疑問に思ったことを聞く。


「さぁな、ここの管理神は、()()()()()を創る能力はないはずだがな」

「やっぱり、神界で何か起こったようですね」


 エレインが、穏やかに言う。

 と、言っても、大体の予想はしている。


 レインの予想としては、次々に消失する自分の世界。何か起こっているはずだ。対策をしなくては!っとなった神界の神が話し合って、何かを決めた、ってことくらいは、今回の対応を見れる分かる。


「次の世界は、どんな感じの()()が待ち受けているんだろうな?」


 わくわくとした表情で言う。

 レインを神が人間と協力して、立ち向かう。

 魔法を技術を持って、全身全霊で迎え撃つ。


 なぜなら、負けた場合に待っているのは、『死』だけではなく、『世界の消失』だから、神も本気になって手を貸すだろう。


 そのことを考えるだけでも、楽しい。

 決死の覚悟で、文字通り世界を守らんがために、武器を魔法をスキルを使い、殺すために向かってくるのは、レインからすれば、ご褒美にしかならないのだから。








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