122話 先制攻撃されました
首まで痛くなってきました( ノД`)
それは、次の世界……第168世界に行った時に起こった。
『撃てぇええええええーーーーー!!!!!』
様々な魔法が、レインに向けて放たれる。
マグマのような炎魔法、水の槍、下降気流、他にもオリジナル魔法やらなんやらがとにかくたくさん放たれる。
「なんでぇ?」
レインは、手を振りそれらを消す。
『第二攻撃!!!!撃てぇええええええ!!!!!!!』
消されたことにも戸惑わず、すぐに次の攻撃が来る。
今度は、雷や氷の礫、そのどれもが、さっきの攻撃に勝るとも劣らない魔法攻撃だ。
「主」
アストレアが前に出て、剣の柄に手を添える。
すると、魔法がアストレアに一定の距離に届いた時、斬り刻まれ、消失する。
レインたちは、この世界に転移した瞬間に攻撃を受けた。
どうやら、神界の方で、何かあったのだろう。
転移し、レインたちが姿を現した瞬間、魔法の嵐。待ち受けていた、魔法師たちが総攻撃。
「『黒天』」
レインが魔法を使うと、空が黒く染まる。
雷がゴロゴロと鳴り出し、放電する。
「まず手始めに……落ちろ」
ピシャァアアアア!!!!
と雷が大軍目掛け落ちる。
だが、六陣の結界が現れ弾かれる。
「お?これは、人間の魔法じゃないな……なるほど、神が手を貸したか」
手始めの一撃だとしても、人間には防ぐことの出来ない攻撃を容易く防がれ、驚くが、すぐに原因が分かった。
これで、神界で何かが起きたことは確実だと、レインは確信した。
普通は、神は自分の世界だろうと、過度な干渉は出来ない。
個人に手を貸すことも、加護をむやみに与えることも、基本的にしてはいけない。
なぜなら、それをすることにより、パワーバランスが壊れるからだ。だからこそ、異世界転移なんて言うものも、普通はしてはいけないのだ。
そして、今回のこの六陣結界は、その与えられた力の一部だろう。
「なら、『凝黒天羅』」
続いて魔法を使う。
天から漆黒を凝縮したような黒の球体が落ちてくる。
雨のように重力に従い無数に落ち、結界へ当たる。
「ああーー数十くらいなら受けられるだろうが……」
結界に当たった黒球はその場に留まり続ける。
無数の黒球が結界へと落ち、近くの黒球を取り込み大きくなる。
ビシッ!ビシッ!
と結界にヒビが入る。
全部の黒球を受け止めることが出来ずに結界が割れる。
その時、
『炎陣蒼刃!!!』
大軍の一人が前に出て、魔法を使う。
蒼い炎が大きな刃の形を取り、回転する。
大きく弧を描く三日月の形の刃が五つ出現する。
回転する速度を上げ、レインに向けて飛来する。
「四つは邪魔、残るは……はっ!」
五つの内四つを魔弾を当て破壊し、残る一つを素手で掴み、投げ返す。
敵陣にぶつかり爆発を起こす。
爆発による死者、爆風による死者を含め、数千は優に超えるだろう。
それで今更だが、レインを迎え撃つ総数は、約三万程。
「おぉ、爆発音がうるさいな……」
パチンッと手を鳴らすと、爆風が時間が戻るように集まり出す。
限界まで小さくなった爆風の塊は、パシュンっと音を立て、消え去った。
皮膚が焼け爛れ、爆風を吸い込んだ肺は焼き焦げ、死なないまでも致命傷を負ったものも多い。
そして、戦意喪失したものもかなりの人数いる。
もはや軍としては機能しないだろう。逃げ惑い、国に逃げ帰ろうとしている者さえいるのだから。
それでも、大声をあげ、纏めようとしている者が少数いる。
それらは、軍の大将または、神の力を与えられた者だろう。
「んーっと、5……いや6人か……その中でとりわけ強力な力を与えられているのが、一人だな」
「どうします?」
アストレアが聞く。
この場にいるのは、レインの他にアストレアと珍しくエレインだ。
「アストレアとエレインは、雑魚と加護持ちの殲滅を」
「陛下はどうされます?」
「俺はあいつの相手をする」
ペロッと唇と舐め、獲物を見つけた笑みを浮かべる。
レインの眼の前には、白い髪を靡かせながら、こちらを睨みつけている女の騎士がいた。
白銀の騎士甲冑に身を包み、聖銀の剣を地面に突き刺し、仁王立ちしている。
「では、私から、罪人へ聖なる裁きを」
そらから、特大の光が降り注ぐ。
「最初からえぐいな」
エレインの使った魔法は、俗に言う、裁きの光だ。
罪人にだけ、効く魔法、と言ったところだが、エレインが使えば、自分が『敵』と認識した者を問答無用で消滅させる。
「では、任せたぞ」
それだけ言うと、白銀の騎士に向けてゆっくり近づいていく。
sideアストレア
アストレアは、レインが地上へ下っていくのを見ると、エレインへ声をかけた。
「あなたは、どうします?」
エレインの方を見ずに言う。
「私は、要らないのですけど……主に一番に攻撃を放っていたあの者は私が殺ります」
珍しく語気強めに言う。
一番最初にレインへ攻撃をした、力を与えられた一人を、殺気のこもった眼で見る。
「ならば、他の四人は私が貰いますね」
アストレアは元々戦いが好きな、好戦的な性格だ。
主の敵を粉砕し、道を創り、主に使われることが己が存在意義だと思い、行動している。
だが、出来るのならば、戦いを楽しみたいのも事実。
そして、レインが、世界調整を決定した時から戦いの日々が続いている。
それを顔には出さないが、喜んでいる。
「と言っても、もう軍は全滅。少ししか残っていないので、すぐ終わりそうですね」
お先に……と言い、地上に降り立つ。
スタッと地面へ足をつけると、すぐさま二人に取り囲まれた。
補足していた自分の相手を強制転移で近くに喚ぶ。
「何をした!?」
驚愕の表所を浮かべる四人にアストレアは爽やかな笑顔を浮かべる。
「それでは、私の相手をしてもらいましょうか」
「侵略者共め!!!」
「お前ら、フォーメーションBだ!!!」
何らかのフォーメーションだろう。
一人が前に二人がアストレアの後ろに、残るもう一人は、後方でひし形のペンダントを掲げている。
ペンダントが光り、魔法が発動する。
「死ねぇ!」
物騒な掛け声を上げ、突撃する。
「今回は遊ぶ気分ではないので、すぐ終わらせますか」
「なめる…………な?」
ずるっと首が落ち、次いで体を細切れになる。
それに驚愕する一同を待たず、後方にいる男に近づき、首を斬る。
「次」
三人目、呆然としていたが、すぐに立て直し、斬りかかろうとするがそれよりも速く切り裂かれ絶命した。
最後の一人となった男は、尻餅をつき、後退りする。
「ひっ!く、来るなぁ!!!!」
「さて、力を与えられても、使えなければ意味がない。それに、神の力を人間が十全に使えるはずもないですし」
「うわぁぁああああ!?」
完全に背を向け、悲鳴を上げながら、アストレアから逃げる。
だが、一息で追いつき、斬る。
血糊を振り払うように振る。血は一切ついていないが。
「エレインはどうなって…………はぁ」
エレインの方を見ると、思わずため息を吐いてしまった。
アストレアの眼には、エレインが遊んでいるところだった。
血液を逆流させたり、血を抜いたり、肉体を破壊したり、身体が壊れるたびに回復する。
つまり、壊して治してまた壊してまた治す。その繰り返しだ。
その過程で、しっかりと精神も治している。だから、発狂することも意識を失うことも出来ずに、ただただ、苦痛と恐怖だけを与え続けられている。
今もまさに、元通りにいや、元より完璧に治された男は、鼻水を垂らし、涙を流し、心からの願いとして「もう殺してくれ」と叫び続けている。
「あちゃー、火がついてしまいましたか」
エレインが『回復』『再生』『復元』と言った癒すことに特化した魔法を使うのは、レインの傷を癒したい、そう言った思いから使いだしたが、レインが傷付くなど滅多にない。傷付いたとしてもすぐに再生してしまう。だからこそ、違う使い方をし始めた。
事の発端は、ある人物を拷問していた時だった。
その者はレインへ向けられた暗殺者だった。
それで、その拷問がエレインへ任させ、最初は普通にやっていたが、苦痛の悲鳴を涙を流しながら懇願するその表情を見た時に、スイッチが入ったのだろう。
エレインは率先的に戦いを好む性格ではない。だが、レインへ向けられた敵意には敏感に反応するようになった。レインに仇なすのなら、何をしてもいい、そういう建前が出来るからだ。
だが、勘違いしないで欲しいが、エレインは普段から血を好む性格ではない。ただ、ちょっと、自分の愛している人に敵意が向けられ、ちょこっと暴走してしまう、可愛い女の子だと言うことを。
「そろそろ終わりですね」
アストレアがそう呟くと、ちょうど男の体が肉団子のようにブクブクと膨れ上がっているところだった。
そして、破裂音を残し弾け散った。
「エレイン。終わりましたか?」
「あ、これは、私としたことが、はしたないです」
頬を赤く染め、照れたように微笑む。
さっきまで、人で遊んでいたようには、全く見えない。
「陛下の元に戻りましょう」
「ええ」
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