10話 あくまで執事ですから
書いてみたかったんです!!!!
叩かないでくださいっ
お願いします!!!!!
sideセバス
夜の王城に忍び寄る影があった。
その影、5つ。ハンドサインを駆使し、『隠密』『気配隠蔽』『気配察知』『危機察知』などのスキルを持っていることから、暗殺者だろう。
城壁に侵入し、城の裏道に入るための通路を通ろうとすると、急に先頭にいた暗殺者が立ち止まった。
「これ以上立ち入れられると困りますね」
「!?」
見つかったことに動揺したがすぐに武器を構えたところを見るに、かなりの手練れのようだ。ゆっくりとセバスを囲むように動いている。対してセバスは、構えてすらおらず、ただ突っ立ているだけだ。
「さて、そろそろ消えてもらえますかな」
いっせいに飛びかかりセバスを攻撃する。
その時、4人の首がいつの間にかずれ落ち、リーダーだと思われる人物が驚愕に目を見開くが、攻撃した手を止めることはできず、持っていた短剣を心臓に突き立てようとする。
「終わりですね」
それが、暗殺者の聞いた最後の言葉だった。
「1人生かしましたが、尋問でもするとしますか。やはり、主の言う通り例の貴族の仕業ですかね」
「……ん、んん……ここは、?」
男が、目を覚ました場所は、石に囲まれ窓ひとつ無く手錠をかけられ、足枷もかけられているため逃げられそうも無い。
「スキルが使えない?」
さっきから何度も『解除』のスキルを使っているが発動しない。
王城や貴族の屋敷などには、侵入者用の罠が仕掛けられているため、侵入する場合解除のスキルを持っている。
スキルが発動した気配もなく、魔力すらも動かせないため魔力による身体強化も出来ない。
どうにかしようと試していると、足音が響いた。
「気はつきましたかな?」
「っ!?」
顔を上げ、声の人物を確認すると警戒心を抱くとともに微かな恐怖が全身を覆った。
「私になにをしたっ!?」
「気づいているとお思いですが、魔法、スキルの類は使えないようにしています。ん?この場所ですか?ここは、城の地下ですよ。それと、この空間は隔離されていますので逃げ出すことは不可能ですよ」
男が息を呑む。
空間魔法。魔法の中で希少であり、扱いが難しい魔法だ。その話が本当なら、この部屋を出ることは不可能に近い。なぜなら、脱出する方法は、同じ空間系のスキルまたは魔法を持っていないと出来ないからだ。
そして、男はスキルも魔法も持っていない。
知らずのうちに汗が頬を流れた。
「さて、聞きたいことがありますので、答えてくださいね」
「誰が答えるかっ!」
勢い良く反論するが何も出来ない状況に歯噛みするしか無い。
「ひとつ目ですが、あなたの名前は?」
「…………」
「だんまりですか」
セバスが腕を振るう。すると、
「ぐああああーーーーーー!!!」
鉄格子越しに何かを投げられ、身体に小さな衝撃が走ったら、それを遥かに上回る激痛が走った。身体の中から切り刻まれるような、全身をすり潰されながらも意識だけはしっかりあるような、そんな痛みだった。
何も考えられずに叫び続ける。1分か1時間か、男にとってとてつもない時間に感じられた。ふと、痛みが消えた。鈍痛すらなく。
「なんだっ!なにをしたんだ!!」
「名前は、ミラー・カエル、27歳。幼いころから暗殺者としての才能がわかり訓練させられ、18歳という若さで暗殺部隊の隊長に任命される。それから、今に至るまで任務を遂行していた。こんなところですか」
「ん、なんで……」
「なんで知っているのか、ですか?もちろん調べたからですよ」
キッと睨みながら、ならなぜ聞くのか聞いた。
「お、お前は何者だ!?」
「私は、あくまで執事ですよ」
「ただ知りたい事があったので、契約で縛られてたりはしないようですね。なるほど、一部でしか使われていないのですね」
「何を言っている!!」
「もう結構ですよ。裏のことも大体分かりましたので。あーそれと、あなたの仕えている相手は、ゲンレル伯爵でしょう?理由は大方、レイン様があの時いっせいに粛清して、あなたの主人はたまたま参加していなく、会場での出来事を聞き自分も消されると思いなら先手をとって殺してしまおうと言ったところですかね」
再度男、ミラーが息を呑む。
「大体合っていますね?結構結構。しかし、主に危害を加えようとすることは、万死に値します」
殺気を漲らせながら睨まれ、ミラーは、震えることしか出来なかった。圧倒的に実力差がある事がわかったのだ。
「たったす……」
「死になさい」
命乞いする暇もなく胴と首が離れた。
「どうしましょうか。主は、この事すら知っているはずですし伯爵のこともご存知でしょうから。しかし、一応判断を仰ぎましょうか。主に刃を向ける輩など消して差し上げましょうか」
クックックックッと実に悪魔らしく笑いながらその場を後にする。