114話 明乃斬姫
内容が薄い…………かも?
sideアシュエル
アシュエルは、現在5対1の状況になっていた。
相手は、バルフェルクの五人だ。
『起動』し、全員が本気の状態だ。
「はぁ!」
一人がアシュエルに突撃する。
それを鈍い動きで避ける。
なぜこんなにも、動きが鈍いのかと言うと、この場に張ってある結界のせいだ。
ステータス低下に思考力低下、魔力阻害、他にも様々なデバフの効果を一身に受けている。それに、完全にレジスト出来ないわけは、抵抗力さえも下がっているからだ。
なんで、無抵抗にも受けているのかと言うと、試しに受けてみようと受けたのが失敗だった。一度かけられたら次から次にかけられ、あっという間に、数百のデバフを受けてしまった。
「あ、はは、体おっもいなぁ~」
「これだけ、受けてもそれだけ動けるだけで、十分化け物だ」
「これだけ、受ければ、指一つ動かすことすら普通なら出来ないのだから」
「それだけじゃなく、その状態で我ら五人を相手にしていることが異常だ」
相変わらずアシュエルは、ニコニコしている。
この状況を心から楽しんでいる。
だけど、
「まだ足りない………」
ぼそっと小声で呟く。
「こんなもの神化すればいいんだけど……そっかこのことを知っていたのか」
レインから神化をすることを禁止されていた。
それは、このことのことを言っていたことに気が付いた。
バルフェルクのの一人の鎖使いが二本の鎖を飛ばす。
「これも重っ」
刀で鎖を弾く。
右からと後ろから同時に飛び掛かる。
アシュエルは真上に飛び、空を蹴る。
「それっ!」
「ぐぐぐっ!?まだこんな力がっ」
「はっ」
鎖を手元に戻し、受け止める。
腕の力を抜き、右横腹を蹴りつける。
ごきっと鈍い音がし、背骨を折る。
「やっと、一人だね」
ふぅ、と息を整えるが、そんな暇はないようだ。
上体を倒し、斧による攻撃を避ける。
ブォンッと空を切る。
「体力も落ちているのか……」
この程度の運動で息を切らすなんてことはない。
それなのに、切れているということは、体力までも落ちていることになる。
さすがに、負けはしないまでも時間がかかりそうだ、そう思ったアシュエルは、刀の本当の力を使うことにした。
「理を殺せ、明乃斬姫!」
呪刀緋姫の真名を呼ぶ。
紅かった刀身が大きく波打つ。どろどろと、血が固まったような色をした液体が溢れ出た。
『呼んだかえ?』
「久しぶり、斬姫さん」
『全くよのぉ、妾をこんな刀に封印するとは、しかもアシュ坊も全然呼んでくれん』
「いや、ごめんね」
困ったように笑いかける。
呪刀とは、呪神を封じ込めた剣だ。普段、呪刀緋姫として使っていた呪いは、明乃斬姫の能力のほんの漏れ出た力の一部でしかない。
そして、本来の力を解放した呪刀に、生半可なデバフは意味をなさない。
「おお!体が軽い!」
『そうだろうそうだろう、というか、アシュ坊。この程度の弱化を喰らうとは、妾は情けないぞよ』
「ほんと、ごめん!」
明乃斬姫と会話している時にも、攻撃は続いている。
剣や斧、鎖による物理攻撃以外にも、スキルだと思われる攻撃、魔法も次から次へと飛んでくる。
「なにを喋っている!?」
「待て!解けているぞ!?」
デバフが解けていることに、気付いた一人が声を荒げる。
実際、弱化がかかっていないアシュエルの動きはキレを増している。
紙一重で全ての攻撃を躱している。
魔法はそもそも効かないため無視しているが。
『アレを使ってみようかえ?』
「いいけど……あれって使った後の反動が……」
『……全く、困った子よな』
「使うけどさ……」
鎖使いの五本に増えた鎖を全部切り落とし、大きく息を吸う。
覚悟を決め、呪刀で手首をザクッと斬る。
「うっ……ぐっッ」
アシュエルの体に呪いが入り込む。手首に文様が現れ、全身にまで広がる。
「ふぅ、久しぶりだね。この感覚」
『ほほほ、その状態だと気分がよかろう?』
「そりゃあね!」
血を濃くした色の文様が広がり、光を増す。
神刀は異空間に入れ、右手に持ち替える。
さすがに、神刀でも解放した呪刀を、しかもこの状態は、耐えることが出来ないだろう。
呪いが体を蝕み、気分が高揚する。
「あはは、最高の気分だよ!」
『アシュ坊、呑まれるな』
「あ……ふぅ、よし」
呪いを体に直接入れるということは、一歩間違えば強力な呪い故死ぬかもしれないのだ。
それに、この状態だと、アシュエルの体は呪いそのものだ。
ヨルダウトの呪い版、と言った感じだ。
「呪え斬姫!」
近くにいた一人の懐に入り、明乃斬姫を突き刺す。
「なに……?ぐわあああああ!?」
刺し口からアシュエルに似た文様が広がり、全身に行き渡る前に絶命した。
呪いに対抗できないものは、一撃で死んでしまう。
呪いの神だ。レジスト出来る者など限られている。つまり、ほとんどの相手に対し、一撃必殺の剣ということだ。
「次っ!」
次に近くにいたバルフェルクの顔を手で掴み、潰す。
『妾を使わんか!』
明乃斬姫が抗議するが、アシュエルは、ごめんと心で謝り次の標的に向かう。
「ひっ」
短い悲鳴を上げ、首を落とされる。
「退け!退け!!!」
残り二人になったバルフェルクは、不利だと悟り、撤退しだした。
だが、それを黙って見逃すアシュエルではない。
呪刀から赤黒い液体が溢れ出る。それを剣を振り、飛ばす。
液体に当たった所から呪いを受ける。
僅か二秒で進行し絶命する。
「これで、終わりっと」
『また妾を封印するのかえ?』
「うん」
明乃斬姫が不満そうに言う。
そもそも明乃斬姫が呪刀と言う入れ物に封印されていたのにも理由がある。
簡単に言えば、呪いの力が強すぎるのだ。
世界にも効果を及ぼしてしまう程に。だから、緋姫と真名を隠すしかなかった。
今だって、呪いの液体を飛ばしたが、対象のみに当たっただけじゃなく、他の場所にも飛び散っていた。
「だめだよ、斬姫さん。レイン様にも言われているでしょ」
『むぅ、創造主との約束は破れぬ』
渋々と言った感じで、ほんっとに仕方なくと言った感じで言う。
『では、困ったときは妾を呼ぶんだぞ?』
「うん、分かった!ありがとね!」
スッと文様が消える。
のと同時に体に激痛が走る。
「ぐぅーーーーいったーーい!」
何度か練習し、慣れたと思っていたが、簡単に慣れれる痛みではない。
肉体だけでなく魂からの痛みでもあるからだ。
「はぁーーーーふぅーーーーよし、落ち着いてきた」
深呼吸を繰り返し、精神を落ち着かせる。
痛みも耐えれるくらいに収まり、動けるようになる。
再度緋姫に戻った刀を撫でる。
「進もう」
第37世界、残って入る生命、残り6人。
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