頼りになりたい
公園の入り口に立ち、辺りを見回す光希と達哉は、まだ壮真が公園に着いていないことを確認し頷き合う。
「達哉レッド!目標が見当たりません!」
「光希ピンク!ここは待ち伏せだ!」
ピシッと敬礼をして、好きな場所に隠れるため達哉と離れる。
達哉は木の影に隠れたようで、公園の遊具の下に隠れた光希からは姿が確認できない。
それにしても1人では段々心細くなってしまう。
もう出ようかどうしようか……と悩んでいると、人の気配を感じソロリと覗く。
公園の入り口には壮真が立っていた。
辺りを見回し首を傾げる姿も様になっている。
内心でキャーキャー騒ぎながらも、壮真がベンチに近付くのを今か今かと待ち望む。
ゆっくりとした足取りでベンチに向かう壮真の背後に回り込む達哉が見えた。
これはチャンスだ……とじっと構える。
壮真がふと何やら感じ取ったのか、背後を振り返り達哉が発見されてしまった。
叫びながら突撃する達哉に合わせ光希も走り出す。
挟み撃ちだー!と抱き付くポーズを取ると、何をしようとしているのか分かったのか、ひらりと交わされてしまった。
当然交わされるのは想定済みだ。でも、走り出した足はそう簡単には止まらない。
案の定向かってきた達哉にぶつかりそうになってしまう。
「ひゃぁ!」
「うわっ!」
寸前で避けると2人して転んでしまった。
痛い……と思いながら立ち上がると、達哉の咳き込む音が聞こえてきた。
パッと視線を移すと、達哉の背中を擦っている壮真の姿が見えた。
達哉!と駆け出し一緒に背中を擦る。
「飲み物は?」
「持ってない……」
「分かった。買ってくるから少し待ってろ」
「大、丈夫……」
もう治まったからと立ち上がった達哉の顔色はあまり良くない。
仕方ねぇな……と言いつつ、背中を差し出す壮真は達哉をおんぶした。
「赤ん坊の頃よりは良くなったけど、無理はすんじゃねぇよ」
「うん。ごめんね壮真」
「謝るのは俺だけじゃねぇだろ」
「光希もごめん」
「ううん。気が付かなくてごめんね」
赤ちゃんの頃より丈夫になったとはいえ、達哉はまだ病弱な部類だ。
それをすっかり忘れてしまっていたのは反省点だと思う。
「そうだ!強くなれるように格闘技……プロレスとか何か習おうよ!」
「そこは柔道とか空手とかじゃねぇのかよ」
「うーん、だって強くなりたいもん」
「は?……もしかしてお前もやる前提か?」
「うん!強くなって達哉も壮真くんも私が守るから!」
グッと拳を握り締めると、2人が同時に吹き出した。
「光希が格闘技……しかもプロレス!」
「コイツには守られたくねぇな」
「酷い!」
むー!と怒ると、壮真が頭をポンッと叩いてきた。
「まあ、身を守る術があるのはいいと思うぞ」
「じゃあ、身を守れる女の子ってどう思う?」
「あ?………頼りになる……か?」
考えたことも無かったのか、悩みながら答えてくれた。
達哉と壮真の頼りになるなんて幸せじゃないか……と意気込んだ光希は、2人と自分を守れるように強くなる決意をする。
公園から楽しげに帰る道。その3人の姿をじっと見つめる男女の姿があったのには、3人は気が付いていなかった。