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龍くんとコウノトリ  作者: もふっとな
≪高校生編≫
26/27

好物はチーズ

日常に戻った所で普段の生活に変わりはなく、いつも通り達哉と春菜と3人で学校生活を過ごし、空手を習いに行って帰る。

変わったのは交遊関係だろう。

戦いが終わって数日後、スマホに知らない番号から電話がかかってきた。

誰だろう?と出てみると、なんとあの女性からだった。

彼女は黒川佐久という壮真の親戚らしく、話してみると好きな食べ物や飲み物が同じだったり、最近欲しい物まで一緒などと、細かい所が同じで、一緒に話すと楽しくて仲良くしてもらっている。


日曜日の昼下がり。達哉も含め3人でレストランで話をする。

後でもう1人来ますというと、6人でも悠々と座れる席に案内してくれた。

達哉は俺今日はここ!と言ってわざわざ狭いお誕生日席に座り、佐久は少し考えて広々とした椅子を選ぶ。

なら私は長椅子だな……と座ると、椅子の席より狭かった。

全員注文を済ませ、届くまでの間に話をし始める。

本日の議題は角が折れた時の対処について。


「解決策はありますか?」

「あります」

「あります」


クイズで使うようなボードはないけど、ボードに見立てたメニュー表を見せて聞くと、同じ答えが即答で返ってきた。

2人は姉弟ですか?なんて聞きたくなるほどのコンビネーションだ。

感心したように頷いていると遂に主役の登場だ。

戦っている時は必死でそれどころじゃ無かったけど、店内を悠々と歩く姿が格好良い。

壮真ー!と達哉の呼ぶ声に軽く手をあげる姿も様になっている。

テーブルに近付いた壮真は暫く沈黙し、光希の隣に座ろうとする。


「ここ狭いから椅子席の方が良いよ」

「良いからとっとと奥行け」


親切心で言ったのに不機嫌になられてしまった。

とはいえ隣に座ってくれるのは嬉しいし幸せだ。

メニューを手渡すと、お前は何を頼んだんだ?と問いかけられた。


「グラタン!」

「は、ガキの頃から変わってねぇな」


チーズがとろーっとしたグラタンは、子供の頃から大好きで今も好物の1つだ。


「壮真くんだってチーズハンバーグ好きじゃん」


幼馴染み一家総出でレストランに行くと、壮真は決まってチーズハンバーグを頼んでいた。


「俺は別にチーズハンバーグが好きな訳ではねぇな」

「そうなの!?」


チーズ好きとしてはその発言は頂けない。

鉄板の上でジュワジュワと音を立て、肉汁溢れるハンバーグ。

そのハンバーグの上には表面を覆うとろけたチーズ。

ナイフで切り、フォークで一切れのハンバーグを取るとこれでもかというくらい、チーズが伸びる。

伸びたチーズを絡めて食べるチーズハンバーグは、光希にとって嗜好の1品だ。

グラタンかチーズハンバーグで悩んでいたくらいで、今もチーズハンバーグのことを考えると頼んでおけば良かったかなと思ってしまう。

でもそんなに頼めないし……と考えていると、店員さんによって、達哉と佐久が頼んだ日替わり定食とグラタンが運ばれてきた。


「すみません。注文良いですか」

「はい」

「チーズハンバーグ。ライス付きで」


決めるのが面倒なのか結局壮真はチーズハンバーグにするようで、好きなんじゃないか……と壮真を見る。


「面倒だからとっとと決めただけだ。ほら、早く食え」

「はーい。頂きます!」


程なくして届くチーズハンバーグは本当に美味しそうで、小さな頃同様少しだけ壮真に貰うのであった。

その優しさが嬉しくて、締まりのない笑みを溢す。


「もう、本当に壮真くん好きー!」


煩わしそうにされるのは分かっていても言いたい。

案の定、顔を顰めて不機嫌そうにしていたけれど言えて満足だ。

その様子を真正面で見ていた佐久は、呆れた……と呟いた。


「黒の龍と壮真って似てるな」

「そうなの?」

「うん。あっちは気持ちを言葉に出すけど」

「へぇ、龍にしては良い男じゃない」


佐久は感心したように頷き、食事を再開させている。

光希もグラタンを食べながら、達哉の言う通り確かに似てる部分もあるなと考えた。


「白の龍もだけど、黒の龍も格好良かったよね!」


雰囲気とか声とかが格好良くて、壮真に少し似ていた。

そう伝えると、壮真にどこが?と鼻で笑われてしまった。


「そのうち光希が惚れ込んだりして」

「そんなことないよ!……そんなことないからね!?」


達哉に否定した後、壮真にも改めて念を押すと、うるせぇ……と呟かれる。


「分かったから少し静かにしろ。他の客に迷惑だ」

「……はい」


騒がしくしてしまったと達哉と2人で反省していると、何だか昔を思い出す。

変わったことはあるけれど、変わらないものだって沢山ある。

その中で重要な位置を占めているのは幼馴染みとの関係だ。

幼馴染みを思う気持ちはいつも変わらない。










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