2匹の龍とコウノトリ
コウノトリの原作に載っていたのは小さな子供たち。
子供たちが地上を観察して、悲しい思いをしている大人たちの中で、気に入った人に会いに行く。そんなお話だった。
会いに行く時に使っていたのが絵本にも登場するコウノトリだ。
コウノトリの背中に乗って空を散歩しながら、赤ちゃんは次第に眠りに落ちていく。
次に気が付いた時には母親に抱かれ、無邪気に笑う姿だった。
コウノトリは何人も何人も運び、人間以外にも数多くの動物も運んでいった。
そんなコウノトリの最後のお仕事は、白と黒の龍の親を見付ける仕事だった。
2匹は選り好みをしているのか、中々良い両親が見付からない。
そうすると必然的に一緒に過ごす時間が増えていく。
2匹の龍とコウノトリは種族を越えて友達となり、いつの間にか黒の龍とコウノトリは相思相愛になっていった。
コウノトリは2匹の両親が見付からなければ、いつまでも一緒にいられるのに……と考えてしまうようになった。
でも、ここにいても2匹は無駄に時を過ごすだけだ。
別れたくないのに、別れなければならない。
そんな苦しい気持ちを吐き出すと、コウノトリの頭上から声が聞こえてきた。
「君は、2匹が好き?」
「……はい。私は2匹が大好きです」
「でも君は、2匹のために別れようとしているんだね?」
「はい。でももし、もし可能なら……一緒に過ごしたい……」
「そうか。なら、少し年月はかかるかも知れないけれど、必ずその時が来るよう祈ろう」
そんな日はきっと来ない。
そうホロホロと涙を流すコウノトリは、2匹がシャボン玉に包まれているのを発見した。
「残念だが、時間切れだ。彼らには2人で生きてもらうようにしよう」
「せめて、せめて、お別れをさせてください」
コウノトリの願いは通じ、大きなお山のてっぺんに落ちていき、今もシャボン玉の中で眠っている2匹にソッと話し掛けた。
「いつか君たちといれるくらい、私は強くなるから。私はいつも見守っているよ」
いつか僕も素敵なお友だちや家族に出会いたい。
それが2匹だったらどんなに幸せだろう。
コウノトリは2匹の額に口付けを落とし、涙を流しながら別れていった。
読み終えた光希はポロポロと涙を溢す。
仲良くなって離れて……それでも強くなって見守りたい。
そんなコウノトリの気持ちが痛いほどよく分かる。
何だかコウノトリと自分は良く似ている。
それにお山のてっぺんに落ちていった2匹の龍は、達哉と壮真に似ているような気がして、フフッと微笑んだ。




