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龍くんとコウノトリ  作者: もふっとな
≪小学生編≫
2/27

幼馴染みはヒーロー

小学校が終わって宿題を終わらせれば、夕飯の時間までは自由時間がやってくる。

光希と達哉は一緒に宿題を終わらせ、両親に許可を得たらすぐに公園へと向かった。

公園のベンチにはいつもと同じように壮真がいる。

ここは壮真のお気に入りのようで、気持ちのいい風に辺りながら小説を読むのが好きらしい。

壮真は同じ中学校の女子に囲まれているようで、煩わしそうにしていた。


言ってしまえば壮真はかなりモテる部類だろう。

頭脳明晰で成績優秀。スポーツも出来て先生からの評判も上々だと光希の両親が話していた。

小学生でも付き合う付き合わないの話が出てくる今、中学の壮真の人気は更に高まるに決まっている。

ただ、そんな壮真を見るのは2人にとって面白くない。

何せ自分が大好きなお兄ちゃんを取られるような物だ。

むー!と頬を膨らませる2人に気が付いたのか、苦笑いをした壮真は、ベンチから立ち上がり2人に近付く。


「黒川くんどうしたの?」

「コイツらと約束してるから」


2人の頭をポンポンと叩いた壮真は、あからさまに睨んでくる人や、そうなんだーと言いながら去っていく女子達を見てため息を吐いた。


「面倒くせぇ……」


その一言で2人の気分は上々だ。

同い年の女の子よりも自分達を選んでくれた。

それが何より嬉しくて、2人で壮真に抱き付くと煩わしそうに引き剥がされる。


「で、今日もヒーローごっこか?」

「うん!」


幼稚園の頃から続けているのは2人くらいだろう。

でも身近に壮真というヒーローがいるのだから、いつまで経ってもヒーローから卒業が出来なさそうだ。

最近、ヒーローには新必殺技が出てきた。

達哉がやるレッドは腕に炎を宿し、その炎が猛獣になって敵を倒す。

壮真が担っているブルーは水の操り、海の動物の力を借りて敵を倒す。


そして光希がやるピンクは、背中から翼を広げ空を飛びながら敵を薙ぎ倒していく。

よーし!と滑り台の上に登った光希は、ピンクの必殺技を叫びながら滑り台を滑り降りようとする。

でも滑り降りる寸前で転び、滑り台の上でバランスを崩してしまった。

このまま行くと落ちてしまうと、悲鳴を上げて体を縮こまらせる。


「光希!」


舌打ちをしながら壮真が駆け出す。手を伸ばして必死に光希を掴もうとしたものの、間に合いそうにない。

このままでは怪我をしてしまう……と壮真も光希も思ったが、寸前の所で滑り台を登った達哉に助けられた。

腕を引かれ達哉に引き寄せられる。


「なにやってんだよ!」

「ごめ、ごめん……っ!」


ヒックヒックとシャックリを上げて謝る光希の体は震えている。

壮真はその光景を見て自身の腕を握り締め息を吐いた。

降りてきた達哉の頭を撫で、光希の鼻をぐいっと引っ張る。


「痛い!」

「落ちたらもっと痛かったんだぞ。お前はもう基地待機だ」

「えー!やだー!」

「やだじゃない。達哉良くやったな」

「うん!だって俺ヒーローだもん」

「ああ、お前は立派なヒーローだ。これからも光希を守ってやれよ」

「勿論!」

「そろそろ帰るか。ほら、ヒーローは泣いてる奴を助けなくちゃな」

「おう!行くぞ、光希!」


得意気にふんぞり返る達哉は、光希の手を引き歩いていく。

2人が先に歩く道。べそをかいていた光希はハッと目を見開き後ろを振り返る。

壮真は2人から少しだけ離れ、2人の様子を観察しながら歩いていた。


「壮真くん?一緒に行こう」

「汚い手で触らないなら良いぞ」

「涙は汚くないもん」

「はいはい。泣き虫さんの仰せのままに」


壮真を真ん中に挟んでの帰り道。


「泣き虫さんは壮真くんが慰めてください」

「泣き虫さんには暫く静かにしておいて欲しいんで却下です」

「むー!なんでー!」

「うわ、結局うるせぇ……」

「おー、壮真凄い。1発で泣き止んだ」

「関心してんじゃねぇよ。今度はお前がやれ」

「やだー!壮真くんがいい!」

「俺も慰められるなら壮真が良い!」

「クソうるせぇ。ついでに達哉は気色わりぃ」


怒る2人を見て笑う壮真。何でもない日常がとても幸せで楽しい。











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