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哀しみの向こう側  作者: たい焼きと宝石
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5.一族の秘密


「俺たちの一族には外の世界にある一点だけ関わりがある。

それは写魔の管理だ。」


「ん?写魔ってのはなんのことだ?」


「里を含め世界には大気中に魔素と霊体が存在しているのは知っているか?」


「あまり詳しくはないが魔族や魔物はそれらから生まれるってのは聞いたことがある。」


「世界に存在する人外はほぼ魔素の影響を受けている。

魔物は動物に魔素が結合したもの。

魔族とレイス系統のものは魔素と霊体が結合したもの。

人の死体に魔素でアンデット等々。

妖精のシルフなんかは風に魔素と霊体が結合した変わり種だな。数も少ない。

様々な人外がいる中、人に存在が忘れられるほど珍しくまた認識することが困難な種が一つある。

魔素と霊体そして人の感情が結合した存在、それを写魔という。」


「人の感情が自然のものと交わるなんてことあんのか!?」


「一族ではそう考えられている。

例えばそうだな。

笑い転げている者をずっと見ていると自分もつられて笑ってしまう。

または楽し気な集団につまらなさそうな者がいると場がしらけてくるといった具合だな。

人は自らの感情をなんらかの形にして発信しているという考えだ。

実のところ写魔については一族ですら把握できていないんだ。」


「わかった。

そういう存在がいると仮定して話を聞くことにするわ。

続けてくれ。」


「人の視点で見た場合、写魔の力は弱い。

極めて希薄な存在だ。

だが稀に写魔が暴発して天災のようなものを起こすことがある。

天災と違うのは放っておいてもおさまらないことだ。

一族はそれをおさめる術を持っている。

里の一部の者が外の世界で写魔の監視、魂鎮めを行っている。

魂鎮めとは写魔の暴発を収めることだと思ってくれ。

そしてこのことは外の世界で王国制を敷いている国の国王にだけ口伝で伝わっている。」


(うっそだろ!知ってりゃ5年もかけずに済んだんじゃねえか!)


「なんだ?知り合いの国王でもいたのか?

だが聞いたところで教えはしなかったと思う。

彼らは自衛の手段をもたない。

仮に魂鎮めのやり方を習得したとしても一族の者以外では写魔は制御できないのだから。

ゆえに外の世界で活動する監視者達は行動の自由を約束されている。」


「そうか。確かに今更知ったところでだよな。

切り替えることにするよ。」


「写魔の特徴は先ほど言ったとおりだが里に生きる写魔はそれとは異なる。

里には外の世界に影響がでないように結界が敷いてある。

里には元々その土地にいたもの、結界内でうまれたもの、外から連れ帰ったものがいる。

結界内で一族とともに暮らす写魔は外の世界の写魔とは比べ物にならない力を持つ。

様々な能力を扱い、なかには具現化でき会話まで行える個体もいる。

共通のものとして己の持つ感情特性の研究をするという習性があるとされている。

一族では感情特性を喜・哀・楽で分類している。」


「研究ってなんだ?」


「例えば喜の写魔はまず自分や人がどうすればあるいはどんな時喜ぶのか成長の過程で学び実践するようになる。

人を真似るようになるともいえる。

最終的に自分レベルで解を得たとき生涯を終える。

ここでいう解とは人と同じ喜びを感じた、もしくは与えたとその個体が認識することをさす。

もともと知能が低いので基本的に簡単に解を得て消滅する個体は多い。

逆に知能が高いと研究密度が濃いため長寿になる傾向がある。」


「もうひとつ、感情特性に怒がないのはなぜだ?

普通は喜怒哀楽じゃないか?」


「俺たちの一族は怒らない。故に怒の写魔は生まれない。」


「は?」


「外の世界の人間は怒るらしいな。だがないものはない。理由もない。」


(こりゃあれだ。いつものそういうもんだと受け入れろってやつだな。へいへい。)


ディオはシバの話の内容に常識という武器を持って戦うことをすでに放棄していた。


「そんな写魔との共生をしてきた一族だが、今から200年前ある一体の写魔に滅ぼされかけた歴史がある。

その写魔を俺たちは[哀しみのイーダ]と呼んでいる。」




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