3.ディオの酒
「オヤジ、一番キツイ酒くれ!」
「あいよ。」
一人残った酒場の片隅でディオは酒を煽る。
いつからだろう。酒がまずいと感じるようになったのは。
それでもディオは酒を飲む。
あの楽しく、美味く酒を飲めた頃を思い出そうとするように。。
「まさかこんな結果になるとわな。」
この五年間ひたすらに救いを求め、わずかな手掛かりを頼りに世界中を駆け回ってきた。
髪、髭は伸びに伸び、心労から目元は窪み頬は痩せこけている。
昔の自分を知る者がい見たらとてもではないが同一人物だとは思わないだろう。
それほど彼は憔悴しきっていた。
ディオは天井を見上げ眼をつぶった。
<先輩、いや師匠とよばせてください!>
<あん?だれだ?テメェ。>
<ほう、変わった武器使うじゃねえか。>
<確かに外の世界の人が刀使っているのは見たことないですね。>
<そうじゃねえ!剣ってのは重量を活かすもんだ!>
<いやぁ、勉強になるなあ。
うちの一族の武技にも何とか活かしたいなあ。
だいぶ幅が広がると思うんだけどなあ。>
<ねえ、師匠。今度弟連れてきてもいいですか?
あいつ歳離れてるけど俺より筋いいんですよ。>
<弟?なんだそりゃ。
おめえよりもいじめていいってか?>
<はは。勘弁してくださいよ。
でもあいつ俺より根性ありますよ。
刀はまだまだ譲るつもりはないですが剣はもしかするとすぐ抜かれちゃったりして。>
<今までお世話になりました!自分これから里に戻ります!>
<そうか。俺から受けた恩返す気あんだろうな?>
<うっ、善処いえ、必ず返しますんで期待しててください!>
<ふん、まあ、ちったぁ使えるようにはなったよ。ほれ、これ餞別。>
<いいんですか?嬉しいなあ。じゃあ、最後にこれ使って一振り見てもらっていいですか?>
その一挙種一等測は森で見た光景とダブって見える。
ディオは静かに目を開け杯を煽る。
「この借金泥棒め。
この俺様がわざわざ貸しを回収しにはるばる会いに来てやったっていうのに。
そりゃぁないぜ。なあ、カッシュ。」
杯を持つ手は微かに震えていた。
「あ~~、今日は一段と酒がまずいな。」